ロシアによるウクライナ侵攻で、北朝鮮軍が再び大規模な地上戦に投入される可能性が浮上している。仮にその行き先がロシア領内ではなくウクライナ東部の主戦場となれば、北朝鮮兵はこれまで以上に激しい消耗戦に直面することになりそうだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、テレビ番組「統一ニュース」のインタビューで、北朝鮮から3万~5万人規模の要員をロシア領内に置くことが決まったとの認識を示した。
これが事実だとすれば、建設、工兵、警備、ミサイルなどの要員を差し引いても、相当規模の歩兵や砲兵などの戦闘部隊が含まれる可能性は排除できない。
とりわけ注目されるのが、歩兵部隊がロシア軍の「突撃戦力」として使われる可能性だ。
ロシア軍はウクライナ東部で、小規模な歩兵部隊を繰り返し前進させ、陣地を一つずつ奪取していく消耗戦を続けてきた。大規模な機甲部隊を一気に前進させればドローンなどに発見されやすいため、徒歩やオートバイなどによる少人数での浸透も多用されている。
こうした戦闘では、攻撃側が大きな人的損害を出しながら前進を続ける。「肉挽き器(meat grinder)」と形容されるゆえんだ。
北朝鮮軍が2024年秋にロシア西部クルスク州へ派兵したのは、ロシアとの「包括的戦略パートナーシップ条約」が定める相互軍事援助を根拠として、参戦を「ロシア領土の解放」と位置付けることができたためと見られる。
現在、ロシア領を占領するウクライナ部隊はないが、ロシアはドネツク、ルハンスク、ザポリージャ、ヘルソンの4州を自国領に併合したと一方的に宣言している。北朝鮮軍は今回、これらの地域で攻撃作戦に加わる可能性があるが、そこで待ち受ける戦場は厳しい。
ウクライナ東部の主戦線には長年にわたり構築された陣地が連なり、その周辺を多数の偵察ドローンが監視する。兵士や車両が発見されれば、FPVドローン、砲兵、航空爆弾などによる攻撃につながる。
こうした環境下でのロシア軍の死傷者数を正確に把握することは困難で、ウクライナや欧米による推計には幅があるものの、近年の攻勢でロシア側が極めて大きな損失を出しているとの分析は共通している。
仮に数万人規模の追加派兵の目的の一つが、ロシア軍で不足する突撃歩兵の補充にあるとすれば、北朝鮮兵はロシア兵と同じ戦場環境に置かれる。
北朝鮮の部隊が、クルスクでの実戦経験に基づき戦闘技術を向上させているとしても、より長く戦い続けてきたウクライナ軍やロシア軍をはるかに上回る能力を備えていると見るのは難しい。突撃戦に投入されれば、ロシア軍と同程度、あるいはそれ以上の犠牲を出すのは不可避だろう。








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