【写真】7月18日に対戦する山下実優と現女王・荒井優希【2点】
3.29両国国技館で見事、チャンピオンになった荒井優希。もはや「元SKE48」という説明もすらいらなくなってきたぐらい、プロレスラーとしての実績を重ねてきたが、ベルトを巻いてから、さらに評価が高まってきている。防衛ロードを不安視する声もあったが、毎回、大熱戦の末にベルトを守り抜き、いろんな意味で「逞しさ」が増してきている。
そんな荒井優希に挑戦状を叩きつけたのが山下実優だ。いつかは倒さなくてはいけない相手であり、山下を倒してこそ真のチャンピオン、と見る向きも多いのだが、もうちょっとあとになってから実現するものだとばかり思っていた。たしかに上昇気流に乗っている荒井優希ではあるが、上昇から安定飛行に移行してから、満を持しての頂上決戦でもよかったのではないか、と。
もうひとつ引っかかることがあった。4月に山下実優を取材したとき「いつでも挑戦できるコンディションは整っているが今ではない。私がベルトを奪ったあとの面白いビジョンが浮かんできたら動きます」と話してくれた。わずか2カ月ちょっとで「面白いビジョン」がポーンと浮かんできたのだろうか?
「そうなんですよ。6月にイギリスでEVEインターナショナル王座を奪取したんですけど、リング上でベルトを巻いたときに『あっ、今だな』って。このベルトを巻いたまま、東京女子のベルトも巻く。
視野に入れているのは海外だけじゃないですよ。今、東京女子プロレスは選手層が厚くなって、ものすごく充実している。若い選手の中にもなにかきっかけがあれば、今すぐに飛び出してきそうな存在が何人もいる。いままでベルトを巻いてきたときは、周りの様子を見ながらタイトルマッチをやってきましたけど、今度、私がベルトを巻いたなら、積極的にこちらから挑戦者を指名していきます。これもいままでにはなかった新しいビジョンじゃないですか」
イギリスでベルトを獲得した山下は即、帰国。当初、来場予定のなかった後楽園ホールに直行し、ベルト獲得を満員の観客に報告するのと同時に、荒井への挑戦をブチあげた。現在、日本に軸足を置きながらアメリカやイギリスでも闘いまくっているからこそのフットワークの軽さだが、そんな独自のプロレス生活が山下を大きく変えたのだという。
「やっぱり柔軟性が出てきましたよね。日本だけで闘っているときは“強さ”の定義を狭めていたような気がするんですよ。いろんな国で闘うことでこういう価値観がある、こういう感覚もあるって知ることができたし、闘い方も変わりました。過去の自分とは“強さ”の種類は変わってきている。
ファンのあいだでも「さすがに山下実優を倒すのは難しいのではないか?」という声は大きい。東京女子プロレスの『ラスボス』であるのと同時に、昨年12月にシングルマッチをおこなった際にはわずか65秒で山下が秒殺してしまった、という印象がいまだ強烈に残っているからだ。
「そんな声は前哨戦で荒井自身がぶっ壊せばいいと私は思うんですけどね。まぁ、あのあとシングルマッチではないけれど、私は荒井のサソリ固めでタップアウトしてしまっている。その悔しさは忘れていないし、この試合でもサソリ固めは食らいたくないですよ。
以前、道場で荒井を指導してきたときに『蹴りだけは安定させるな』って教えてきたんですけど、それを今でも守っているのか、荒井の蹴りはずっと威力を増してきているんですよ。それこそ蹴りの角度がミリ単位で変わってくる、みたいな話になってくるので、なかなか客席からはわかりにくいかもしれませんけど、前哨戦を闘っていると蹴りの威力をすごく体感して、ゾクゾクしていますよ」
インタビューをしていても、まるでチャンピオンと話しているような貫禄を感じてしまうのだが、その貫禄やオーラはもちろんのこと、山下実優の強さの根源はまったくブレない考え方や姿勢にあると思う。ブレない山下を叩き潰すことは容易なことではないし、荒井優希にとってはチャンピオンになって最大の壁にして、最大のピンチを迎えることとなる。
「どんな相手であろうと受けて立つのがチャンピオンだし、それは荒井もわかっているはず。この試合では今までに見たことがない『ヤバい荒井』を見たいというか、『ヤバい荒井』を引きずりだしてみたい。そうなったらピンチを招くだけ? いやいや、自分でもどんなものなのかはわからないけど、倒される前に『ヤバい山下』が顔を出すんじゃないですか(ニヤリ)。
まぁ、激しい試合になることは間違いないですよ。
誰も見たことがない「ヤバい荒井」と「ヤバい山下」がリングに現出すれば、想像できないような闘いになることは必至。はたして荒井優希は「真のチャンピオン」として認められるようになるのか? それともラスボス・山下実優が世界戦略へ大きな一歩を踏み出すのか? どちらが勝っても夏以降の東京女子プロレス、いやマット界の情勢が大きく変わる一戦に注目したい。
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