【関連写真】二所ノ関親方時代の若島津さんと高田みづえさん
今年3月、夫で元大関・若嶋津の日高六男さんを亡くした(享年66)。四十九日を過ぎたころに出演の話が届き、高田さんは「ちょっとだけ一歩踏み出してみたい」との思いから決断したという。長らく歌手活動から離れていたが、今回の出演に向けてカラオケで1日1時間ほど練習。本番ではブランクを感じさせない伸びやかな声を響かせた。
番組の終盤、今後も歌う可能性を問われた高田さんに、親交の深い岩崎宏美が「親方がこのきっかけを作ってくださったのなら、歌いなさい!」とひと言。放送後には、高田さんを「僕の音楽人生の母」と慕う歌手のNOBUが、SNSで「みづえさんの歌手活動復活を祈ります」などと投稿した。"一夜限り"で終わってほしくないという思いは、ファンだけにとどまらなかった。
近年、こうした「昭和の歌姫」の復活が相次いでいる。
元キャンディーズの伊藤蘭は、1978年のグループ解散から41年後の2019年5月にアルバム『My Bouquet』でソロ歌手デビュー。同年6月に初のソロコンサートも開催した。2023年にはNHK『紅白歌合戦』にソロとして初出場。
さらに「完全復活」を印象付けているのが中森明菜だ。7月1日に約10年ぶりのシングル「ごめんと、すきと、」を発売し、同日から東京・大阪・名古屋の3都市を巡る20年ぶりのライブツアーを開始。バラエティ番組にも久々に登場し、7月17日にはテレビ朝日系『ミュージックステーション』に30年ぶりに出演。新曲と人気曲「難破船」を披露した。順調な活動を見せていることから、「今年は紅白に出るのでは」と期待を集めている。
また、1970年代に「わたしの彼は左きき」が大ヒットした麻丘めぐみも、2020年1月に29年ぶりの新曲「フォーエバー・スマイル」を発表。2024年11月には、15年ぶりとなる単独ライブを開催した。長く女優業を軸に活動していたが、再び歌手としての存在感を示している。麻丘についても、変わらぬ歌声に称賛の声が多く寄せられている状況だ。
昭和の歌姫たちのカムバックが、これほど歓迎されるのはなぜなのか。
一つの要因として挙げられるのが、当時の歌手の「歌唱力の高さ」だ。70~80年代は各局に歌番組がひしめき、人気歌手ともなれば1週間に何本もの番組に出演する。当時はTBS系『ザ・ベストテン』やフジテレビ系『夜のヒットスタジオ』など、生放送かつ生歌唱の番組が多く、一発勝負の本番でしっかりと歌い切る実力が求められた。グループアイドル全盛の現代と異なり、ソロや少人数の編成が多かったことも影響しているだろう。
また、現在では歌番組やライブでピッチ補正技術が使われることが珍しくないが、当時は歌声を整えるツールが一般化していなかった。アイドルであっても、デビュー前から厳しいレッスンを積み、生放送やライブで生歌が通用するように実力を磨いていた。
実力の高さに加え、「懐かしさ」が大きな魅力になる。高田さんの「私はピアノ」、中森の「難破船」、キャンディーズの「春一番」など、代表曲を本人が歌えば、当時を知る世代は青春の記憶がよみがえる。一方で、若い世代にとっては、サブスクサービスや動画サイトでしか聞いたことがなかった昭和歌謡の名曲を本人の歌声でリアルタイムに体験する機会になる。
昭和ならではの実力の高さ、そして人々の記憶を呼び起こすヒット曲。昭和の歌姫の復活が歓迎される最大の理由は、「昔はよかった」「懐かしい」で終わらず、彼女たちが今も観客を沸かせる歌の力を持っていることなのかもしれない。
高田さんは2027年にデビュー50周年を迎えるが、はたして"一夜限り"の先はあるのか。
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