レビュー

瞬時に、どこでも、さまざまなコンテンツに触れ、情報を得られる時代に、読書をするとはどういう行ないなのか。書籍とはいわばスローなメディアといえる。

1ページずつめくりながら、書いてある言葉を咀嚼してゆく。その行ないが深くなればなるほど、自分の人生の「血肉」となる。よく噛んで食べたものは、よりよく吸収されて栄養化するのだ。
本書のナビゲーターで、NHK「100分de名著」プロデューサーの秋満氏は、この血肉化のとっかかりとして、「本を『自分に向けて書かれた手紙だと思って読む」ことを心がけているという。すると、そこに書かれている何もかもが自分ごととなり、より深く考えざるを得なくなる。斎藤幸平さん、小川公代さん、安田登さんという三者の、読書にまつわる人生が描かれているが、本と真摯に向き合い、自分の身体、精神に取り込んでいるからこそ、読書という行為が何をもたらすのかについて、ここまで克明に言語化できるのだということがわかる。
本書で紹介されている「血肉となる読書」の方法は、専門家の読みではあっても、人間らしい悩みや葛藤から導き出された共通点があり、誰にとっても響くものを見つけられるだろう。読み終えたとき、あなたの人生の色は、少し彩度を増しているはずだ。あなたにとっての「血肉となる読書」を、ぜひ書きつづっていただきたい。

本書の要点

・本書は、「それぞれの立場から本を人生に役立てる読み方」を教えてくれるものである。
・名著は「無意識下にある怪物と向き合うためのガイドブック」になるのかもしれない。
・読書は、「自分とは異なる他者の思考パターン、深層心理、喜びや苦しみを少し分けてもらう行為」である。


・古典を読むべき理由は2つある。「次のシンギュラリティ」を考えるため、そして温故知新のためだ。



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