40歳を超えてから、スタートアップ企業「令和トラベル」に転職。
第50回は、ハワイに来て8か月が経った大木さんが、これまでのハワイ生活を振り返っています。(以下大木さん寄稿)
ハワイ移住8か月を振り返る
ハワイに移住して、気がつけば8か月が経ちました。私も夫も、そして子どもたちにとっても、海外で暮らすのは今回が初めて。言葉や文化、生活習慣の違いに戸惑うことも少なくありませんでしたが、そのたびに家族で話し合い、支え合いながら、一歩ずつ新しい生活を築いてきました。
振り返ってみると、「家族で力を合わせて生きている」という感覚を、これまで以上に強く感じる8か月だったように思います。
「憧れのハワイ暮らし」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか。
今回は、そんなハワイ生活の中で見えてきた「移住前に抱いていたイメージ」と「実際に暮らしてみて感じたこと」のギャップについて、3つお話ししたいと思います。
第1のギャップ:観光では見えなかったハワイ
まず、ハワイに来ていちばん最初に感じたのが、気候に関するギャップでした。旅行で訪れていた頃のハワイは、ただただ気持ちのいい場所。心地よい貿易風が吹き、青空の下で食事をしたり、アウトドアを楽しんだりできる。そんな快適な季節が一年中続くのがハワイの魅力だと思っていました。
実際、その印象は今も変わりません。ハワイの気候は、移住してからも「期待を裏切らない素晴らしさ」があります。
ただ、暮らし始めて驚いたことが一つありました。
それは、想像以上に空気が乾燥していることです。
日本の夏といえば高温多湿。蒸し暑さはあるものの、乾燥を意識することはあまりありません。一方でハワイは、気候が爽やかで過ごしやすい反面、空気は驚くほど乾燥しています。
そのため、私がハワイに来て1週間ほどで「絶対に必要だ」と感じたのがリップクリーム。頻繁に水分補給が必要で、唇や肌の保湿も欠かせません。夏のような陽気だからといって、日本の夏と同じ感覚で過ごしていると、思った以上に乾燥の影響を受けてしまいます。
「一年中快適」というイメージは間違いではありません。でも、その快適さの裏側には、日本とは異なる気候の特徴がある。
第2のギャップ:外国なのに感じる心理的安全性の高さ
ハワイには日本人やアジア系の方が多いということは、移住前から知っていましたが、実際に暮らしてみると、その多様性は期待をはるかに超えていました。
アジア系の人がいることも、英語が母語ではない人がいることも特別なことではありません。日本にルーツを持ちながら、日本語を話さない人。英語を第一言語として生活している方もいれば、さまざまな国や文化的背景を持つ人たちが自然に共存しています。
だからこそ、「英語が完璧ではない」「文化が違う」といったことに対して、周囲の目がとても寛容です。コミュニティ全体に、相手の違いを受け入れようとする空気があり、心理的安全性のある環境だなと感じています。
もちろん、その背景には長い日系移民の歴史があります。日本人がこの土地で長い年月をかけて信頼を築いてきたからこそ、私たちも自然にコミュニティの中に溶け込むことができている。その事実に触れるたび、日本人として、先人たちへの感謝の気持ちを感じます。
移住前は、「外国で暮らすのだから、もっと肩身の狭い思いをしたり、嫌な思いをしたりすることもあるだろう」と覚悟していました。
もちろん、まだ移住して8か月。これからさまざまな経験をすると思います。それでも今のところ、私たち家族は大きなストレスを感じることなく、安心して生活することができています。
子どもたちも私たち夫婦も、のびのびと過ごせている。この心理的安全性の高さは、移住前には想像していなかった、ハワイの大きな魅力の一つだと感じています。
第3のギャップ:外国人になって初めて見えたもの
一方で、移住してみて改めて感じているのが、「外国人として暮らすこと」の緊張感です。ハワイのコミュニティには温かく受け入れてもらっている一方で、制度の上では私たちはあくまでも外国人です。アメリカの移民政策やトランプ政権の動向がニュースで取り上げられるたびに、「政治の変化が自分たちの生活に直結している」という感覚を持つようになりました。
私たちはビザを取得してハワイで生活しています。だからこそ、常に「滞在を許可されている立場」であることを意識しています。
もしも何か手続きのミスをしたら。何かルール違反があったら、すぐにビザが取り消されてしまう。ある意味、恐怖に似たような感情もあります。
私は親会社からの出向という形で赴任してきましたが、現地には前任者もおらず、マニュアルもありませんでした。
家探しから子どもたちの転校手続き、数々の行政手続きまで、すべてが手探りの状態。特にアメリカで生活するために必要なソーシャルセキュリティナンバーを取得するまでの道のりは、本当に大変でした。
ちょうど赴任してきたタイミングで、アメリカの一部政府機関がシャットダウンを宣言。その影響も重なり、何度も役所へ足を運びました。慣れない英語で説明を理解し、手続きを進めなければならないプレッシャーは想像以上でした。
半年ほど経ってようやく生活基盤が整い、今は正直ほっとしています。
こうした経験を通して、自国ではない場所で暮らすことには、根底に「立場の弱さ」があることがわかりました。
この経験は決してマイナスだけではないとも思っています。日本でも移民や外国人労働者をめぐる議論が続いていますが、実際に外国人として暮らしてみたことで、これまでよりも当事者に近い感覚でそうした問題を考えられるようになったと思います。
異国の地で暮らす難しさも、受け入れてもらえるありがたさも、その両方を経験できたこと。それは、ハワイ移住によって得られた大きな学びの一つだと感じています。
ハワイ移住8か月の現在地
家探しや行政手続きに奔走し、慣れない環境の中で試行錯誤を繰り返す毎日。振り返れば、想像以上に泥臭く走り続けてきた8か月だったように思います。
日本でも、円安や物価高、ハワイの家賃の高さなどがニュースで取り上げられることがありますが、実際に生活してみると、その大変さを日々実感しています。正直なところ、生活がラクになったとは言えません。
それでも、この暮らしの中で得たものもたくさんありました。
家族で自炊をする機会が増え、お金をかけなくても豊かに暮らせることを知りました。便利さや消費だけではない、暮らしの豊かさがあることにも気づかされました。
もともとは子どもたちの教育環境や家族の将来を考えて決断したハワイ移住でしたが、今振り返ると、一番大きな冒険をして、一番多くの経験値を積んでいるのは私自身かもしれません。
まだ移住して8か月。これから先、楽しいことばかりではないと思います。それでも、この場所でしかできない経験を大切にしながら、家族とともにハワイでの冒険を楽しんでいきたいと思います。
<文/大木優紀>
【大木優紀】
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。2児の母
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