レビュー

法令の条文、遠きにありて、思うこともなし。そう感じるのは、現代口語からかけ離れたように見える言葉選び、冗長に感じる言葉運びに惑わされるからだろう。

それに、ふだんの生活で法律を意識する場面は、限られているものだ。
しかし、法治国家で暮らす以上、何かしらのかたちで法律に関わることはある。そのときになって慌てて、いきなり条文にあたっても、暗中模索となってしまうかもしれない。
本書は、言語や伝達、理解に関心を持つ法学者が、現代的なテーマを素材としつつ、「楽しみながら、いつの間にか、条文や判例などの法律文章の『読み方がわかる』ようになること」を目指して書いたものである。
条文や判例には、文法のようなちょっとした約束事がある。しかし、それを「初歩から整理して伝える」ことは、法学のカリキュラムでも軽んじられてきたという。法学教育では「既存の条文を個別の事例に適用する営みが関心の中心」にあり、条文を書くプロである行政部門の考え方と距離ができてしまっている。そのギャップを埋めるために構想されたのが本書だ。条文とは、誤解の生まれないように、緻密に積み上げられた文章なのだということがわかる。
ここで基本の読み方を身につけられれば、日常を取り巻くさまざまな制度の、枝葉の知識にも自分で立ち向かっていけるだろう。法務関係者だけでなく、あらゆる人が通過しておきたい本である。

本書の要点

・「規範→事実→適用」の法的判断のセットである法的三段論法は、「一般的な規範のもとで個別の事実について結論を導く場合の、法的判断の枠組み」を示す。


・条文が重要なのは、「一般的に通用するルールを言語化したものだから」だ。ここには細かな内容が正確に書いてあり、読めるようになれば制度の概要の把握に役立てられる。
・条文特有の頻出語はたくさんあるが、とりわけ「これを知っているかどうかで大違いとなるもの」がいくつかある。
・法令の条文は、「どのような事例にも適用される」一般的なルールである。その個別事例への適用の代表格が、裁判所の判決だ。



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