22日から上演される女性6人の演劇ユニット「Ova9」公演「王女たち」に出演。18日から新宿K'sシネマで上映される「メモリードア」(加藤悦生監督)では主人公の若年性認知症の女性を演じている。


 ──映画と舞台では正反対の役柄ですね。


「映画では認知症の患者が集うカフェに迷い込んだ青年が恋に落ちる年上の女性ですし、舞台は15世紀イングランドの薔薇戦争時代で、私が演じるイザベル・ウォリックは、リチャード三世の妃アン・ウォリックの姉です。今回の物語では女王の座を狙う欲深な悪役として描かれています。宮殿中にありもしない噂を広めたり、何としてでも女王の座を手に入れようと画策します」



「現代にも通じる“喜劇”として見ていただきたいです」

 ──何だかどこかの国の首相みたいですね(笑)。


「史実を独創的に書き換えた脚本なので、単なる歴史劇ではなく、マウントを取り合う女同士の権力争いを、現代にも通じる“喜劇”として見ていただきたいです」


 ──「Ova9」とは不思議な縁があるとか。


「2014年に『安部公房の冒険』という舞台のオファーをいただきまして、嫉妬に狂って夫の愛人を鬼のような形相で罵倒する妻の役。『挑戦したい!』と思ったのですが、その時、小さなスタジオでの友人の公演に出ることが決まっていましたので、お断りしました。でも、演出の荒戸源次郎さんから何度も連絡をいただき、最終的にはスタジオ公演の降板を申し出ました。土下座して謝罪したら仲間が、『せっかくのチャンスだから、頑張って!』と送り出してくれて……。その時の主宰者が、『Ova9』旗揚げ公演でボスニア紛争下でトラウマを抱えた女性たちを描いた『Necessary Targets~ボスニアに咲く花~』の翻訳家・石川麻衣さんです。過去に一度手放した作品が、『Ova9』という帰るべき場所に戻ってきて、今回の『王女たち』という新たな挑戦へと地続きになっている。不思議な縁を感じます」



「『今、生きていること』がとても生き生きと描かれています」

 ──映画の役は?


「若年性認知症という難しい役どころではありましたが、『今、生きていること』がとても生き生きと描かれています。

ユーモアや温かさにもあふれていて、たくさんの方に見ていただきたいです」


(聞き手=山田勝仁)


▽辻しのぶ(つじ・しのぶ) 1973年2月16日、東京生まれ。実力派俳優として映画、舞台で活躍。InterFM「Voyage」のパーソナリティー。Ova9「王女たち」(作=ノルマン・ショレット、翻訳=山上優、演出=ロラン・クルタン)は7月22~24日、トーキョーコンサーツ・ラボ。25~26日は早稲田奉仕園スコットホール講堂で上演。ほかに松熊つる松、山上優、ひがし由貴、上野裕子、小谷佳加が出演。8月15日はサックス奏者・坂田明と朗読ライブ「三輪車」を東中野・宗清寺で開催。


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