【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#105


『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』(1968年11月22日発売)⑤


  ◇  ◇  ◇


■『レボリューション1』


『ホワイト・アルバム』の中で、いちばん最初にレコーディングされたジョンの曲である。


 シングル『ヘイ・ジュード』(68年)のB面曲『レボリューション』(数字なし)の方が先に世に出たが、レコーディング自体はこの『1』の方が早い。


 シングル版を聴き慣れた耳には、テンポが緩く、何とも「いなたい」。


 歌詞の内容はタイトル通り「革命」を歌っている。が、「ジョン×革命」というと、のちの彼の戦闘的なイメージもあって「今すぐ革命だ!」「戦うぞ!」「いてまえ!」的な内容かと思ってしまうが、実は性急な革命志向を「いなす」内容になっている。【オリジナル記事で試聴する


「破壊しようぜって考えには俺は乗れないよ」「社会の構造を変えるより、まずは自分たちの頭の中を変えるべきだよ」


 ただ、とりあえずは「革命」というテーマを取り上げていることや、「毛沢東(チェアマン・マオ)」が歌詞に入っていることに驚くべきだ。


 1968年は、世界的に、若者を中心とした社会変革のが吹き荒れた時代だ。ビートルズの最年長メンバーとして、社会的な事象を歌にしないことの方が不自然だというものだろう。


 戦闘的なイメージを持つ前にジョンは、革命を「いなたく、いなす」歌を歌っていたのだ。


■『レボリューション9』


 ビートルズの数多いすごみの中の一つは、新しい音楽の潮流と出合っても、それにどっぷりハマらず、「切り口の一つ」として相対化しながら取り込み、最終的にポップな楽曲に仕立て上げるところである。


 このあたり、ビートルズだけを聴いていると分かりにくいが、68年ごろのブルースロックやハードロック、プログレッシブ・ロックに触れると、すぐに分かる。なぜなら、そのほとんどが「あぁ、どっぷりハマって、ポップを手放してるよな」と思わせるものだから。


 何が言いたいかというと、『レボリューション9』とは、ビートルズとしては珍しく、ジョンがテープ編集という技にどっぷりハマって作った、ポップでも何でもない作品だということだ。


 その上、8分台と尺が長いのだから、何とも始末に負えない。


 こんなことだったら、このときお蔵入りとなったジョージの『ノット・ギルティ』(『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』=96年に収録)を入れてあげればよかったのにと思う。


 そんな作品だ。無理して聴くことはない。


▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966‐2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。


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