【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#112


『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』(1968年11月22日発売)⑫


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■『バースデイ』


『ホワイト・アルバム』まで来ると、ちょっと懐かしい感じになっているロックンロールな2曲を、今回はご紹介したい。


 ディスク2(2枚組LPの「C面」)の冒頭を飾るのは、もう久々のど真ん中ロックンロール。

ジョンとポールの共作も、この段階では珍しく、一種の原点回帰のような曲だといえよう。


 バンド全体がぐんぐんグルーヴして「やっぱビートルズはロックンロールだよな」などと、何とも薄っぺらな感想を言いたくなる(でも分かっていただけますよね?)。


 ディストーション(ファズ)の効いたギターが曲の顔になっているが、個人的にはリンゴのドラムスに惹かれる。


「♪ストットットトン」という、イントロのフィルインもめちゃくちゃかっこいいが、試聴リンク再生時間「0:42」から約15秒間のドラムソロ(といっても、特別な手さばきなど何一つしていないが)は、やっぱりリンゴのドラムスは、ポールと比べてモノが違うと痛感させられる。【オリジナル記事で試聴する


 なおコーラスには、オノ・ヨーコとジョージの妻=パティ・ボイドが参加している。


 さて「バースデイ」とは誰の誕生日だったのか。録音されたのは1968年の9月18日。ブライアン・エプスタインの誕生日の前日であり、この時点でポールの恋人だった、リンダ・イーストマンの誕生日の6日前だったが、真相はいかに。


■『「エヴリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキー』


 全ビートルズソングの中で、もっとも長い曲名。


 長過ぎて、ユニバーサルの公式サイトの一部も、カタカナ表記の曲名が途中で切れているではないか(告げ口みたいですいません)。


 タイトルを訳すと「誰もが何かを隠してる。俺と猿は別だけど」。

一説に「猿」はオノ・ヨーコのことだという。こちらも大騒ぎのロックンロール。この曲といえばやはりエンディングだろう。再生時間「1:59」から、ボーカルが「カモン、カモン……」と騒いでいる中でのベースとギターの動きが実にかっこいい。


 とはいえ、まぁ『ホワイト・アルバム』に多いB級感漂う曲の中の一つだろう。こんな曲をカバーしているシンガーがいるのかと思ったら、何と森高千里がカバーしているではないか(アルバム『STEP BY STEP』94年)。それも原曲そのまんまのアレンジで。さすが森高、趣味がいい(というか、変わってるというか)。 


▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966‐2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。

日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。


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