TBSドラマ「VIVANT」の絶好調を受けて、ロケ地巡りや自治体の便乗キャンペーンも大賑わいだ。なかでも力が入っているのが島根県。

主人公の自衛隊諜報工作組織「別班」メンバー乃木憂助(堺雅人)の実家の撮影に、奥出雲の県指定有形文化財「櫻井家住宅」が使われているからだが、出雲大社、古刹の一畑薬師、県庁舎、地元小学校も登場する。県はシーズン2に合わせて特設サイトをリニューアルして、ロケ地巡りの観光客を呼び込もうと必死だ。


 隣の鳥取県は、ドラマの舞台の中央アジアの砂漠と鳥取砂丘を重ねて、「鳥取砂丘でVIVANTごっこを楽しんでください」と知事も悪乗り。鳥取砂丘コナン空港など県内のロケ地を考察して投稿すると、抽選で松葉ガニが当たるという。


 敵側の内通者とバレた刑事・新庄浩太郎(竜星涼)が、タイの富豪の別荘で納豆をかき込むリビングは、岐阜県庁1階の交流スペース。古い町並みが残る恵那市・岩村町本通りやかつての豪商の町家も、商社幹部の会合シーンで使われた。


「岐阜県は続編のロケ誘致のために協議会をつくって、ドラマ仕様のラッピング列車を走らせたり、市民がエキストラで参加したりと全面協力だそうです。自治体としては、ヒットドラマに登場すれば観光PRになるし、ふるさと納税が集まることも期待できます」(埼玉県内の元副市長)


 東京でロケ地巡りを楽しむなら──。乃木が通りかかると必ず一礼する神社は、神田祭でお馴染みの神田明神。緊急招集のサインで境内に置かれる赤い饅頭が、「別班饅頭」と焼き印を押されて売られている。乃木の自宅も明神下という設定で、江戸時代から続くうなぎ屋など下町風情が残る一角である。


 乃木と警視庁公安部刑事・野崎守(阿部寛)が情報交換したのは、日本橋三越本店の絢爛な天女の像の前。

あんなところで目つき鋭いオヤジがボソボソしゃべっていたらかえって目立つだろうに……。ほかにも、豊洲市場や築地の本願寺裏手の路地などでも撮影が行われた。


 海外ロケ地巡りツアーまで企画され、阪急交通社のアゼルバイジャン6日間ツアーは約30万円~、タイのバンコク・パタヤ4日間は約15万円~。


 ドラマそのものはストーリーやトリックにかなり無理が目立ち、AIが都合よく何でも答えてくれるというご都合主義に鼻白むが、それがまた考察のヒントになるなど仕掛けがうまい。ロケ地の賑わい、まだ続きそうだ。


 (コラムニスト・海原かみな)


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