通称「3マス」、NHK・Eテレ「3か月でマスターする」シリーズが好評だ。


 若いころに放り出してしまった難解な学問や楽器を、「習得し直しませんか、それも3カ月で」という教養番組なのだが、難しいお勉強や繰り返しの練習は一切なし。

「そうだったのかあ」「すぐ弾けるじゃん」と、“目からうろこ”で人気なのである。


 たとえば、アンコール放送中の「世界史」(金曜夜9時30分)。中学・高校では最悪の暗記ものだが、文明の始まりはオリエントで、遊牧民がそれを広げ、中世ヨーロッパは辺境だったと、西洋中心ではない“新しい世界史”が解説される。ペルシャ(イラン)こそ文明誕生の地で、そこを攻撃しているトランプ大統領は蛮族のなれの果てなんて見方をすると、世界史は俄然面白くなる。


 ピアノ編は教則本ではなく、いきなりショパンやベートーベンに挑戦する。講師役のピアニスト本田聖嗣のメソッドは、「何度やってもつっかえるなら、しばらく練習をやめればうまくできる。ピアノは脳トレと肉体の連携ですから」とユニークで、そのおしゃべりだけで楽しい。


 これまで、「アインシュタイン」「西洋美術」「絵を描く」「数学」「人体」などのテーマを取り上げていて、現在の本放送(水曜夜9時30分)は「ギター」。家の奥で眠っているギターを引っ張り出してきて、寺尾聰の「ルビーの指環」や中島みゆきの「糸」を弾こうという。


■わかった気になれる


「こういう番組は、とにかくやさしくわかりやすくとなりがちですが、3マスは逆に難しさ、難解を楽しむエンターテインメントなんです。ただし、専門用語は使わず、動きで見せる。アインシュタイン編の時は、生徒役の福田麻貴(3時のヒロイン)が自転車と踏み台で、相対性理論の『時間のズレ』を表現しました。

本当に理解できたり、習得できるかはともかく、わかった気になれるというのがこの番組の面白がり方です」(メディアアナリスト)


 30分番組で3カ月(12回)でマスターというコンパクトさも人気の理由だ。歴史系で人類誕生やリアル戦国史、科学系で地球は宇宙のどこにあるのか、医学系でウイルスと進化、文科系で日本語の誕生、レッスン系で漢字と習字なんてやってくれないかな。秋の夜長にピッタリの番組である。


(コラムニスト・海原かみな)


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