韓国の経済界をリードするサムスン電子のイ・ジェヨン会長が、米国で開催中の「サンバレー会議」に出席し、AI(人工知能)半導体や半導体受託製造(ファウンドリ)分野での戦略的な連携強化を模索していることが分かった。韓国の主要メディア「朝鮮日報(チョソン・イルボ/The Chosun Ilbo)」や「毎日経済新聞(メイル・キョンジェ・シンムン/Maeil Business Newspaper)」が7月9日までに報じたところによると、イ会長は今回の会議を通じて、世界のIT業界を牽引する巨大テック企業のトップらと非公開の会合を重ね、次世代半導体の供給体制や共同開発の可能性について協議を行ったという。


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 サンバレー会議は、米アイダホ州の保養地で毎年夏に開かれる国際会議で、世界中のメディア、IT、金融業界の有力者が集まる「億万長者のサマーキャンプ」として知られている。各社の報道を総合すると、イ会長の今回の主な目的は、爆発的な需要拡大が続くAI向け高性能半導体の市場で、いかにして競争優位を確保するかという点にある。特に、現在サムスン電子が注力しているファウンドリ事業において、米国の主要な顧客企業を囲い込み、最新の微細加工技術を用いたチップの受託生産を拡大することが重要な議題となった模様だ。

 「毎日経済新聞(Maeil Business Newspaper)」は、イ会長が会議の合間を縫って、生成AIプラットフォームを展開する米国のビッグテック企業の経営陣と相次いで個別面談を行ったと伝えた。これらの企業は、AI学習や処理に不可欠なグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)や、高帯域幅メモリ(HBM)の安定的な調達を求めており、サムスン電子にとっては、これら巨大顧客の需要をどれだけ自社の生産ラインに取り込めるかが、2026年後半以降の業績を大きく左右する鍵となる。イ会長自身、今回の訪米において「業界の変化のスピードはかつてないほど速く、我々は既存の枠組みを超えた大胆な連携が必要だ」と、関係者に対して危機感と決意を語ったとされている。

 この動きは、日本の半導体産業にとっても決して対岸の火事ではない。韓国メディアの「朝鮮日報(The Chosun Ilbo)」は、今回の会談が、半導体製造の川上部分を支える素材や製造装置のサプライチェーンに及ぼす影響についても言及している。サムスン電子がAI半導体の生産能力を増強し、ファウンドリ事業を拡大させることは、同社の製造工程で使用される日本の高純度化学材料や最先端の露光装置、検査装置への需要が一段と高まることを意味する。かつて半導体製造で協力関係を築いてきた日韓の両企業だが、現在は技術革新のサイクルが非常に速まっており、サムスンの戦略変更は、日本のサプライヤーに対しても、より高度で迅速な製品供給体制の構築を迫るものとなる。

 アナリストの分析によれば、今後、サムスン電子がAI半導体の受託生産で一定のシェアを確保できれば、それは日本の半導体装置メーカーや素材メーカーにとって、大規模な受注機会の創出につながる可能性がある。しかし、一方でサムスンがライバルである台湾のTSMCとの競争を制するために、より低価格での供給や技術的な歩留まり改善を日本企業に強く求める可能性も指摘されている。
韓国メディア各紙も、イ会長の動向が「日韓両国の半導体エコシステム全体を動かすトリガーになる」と報じており、今後数カ月間にわたり、サムスンを軸とした新たな資本提携や技術開発のニュースが相次ぐとの見通しを立てている。

 今回のサンバレー会議でのイ会長の活動は、一人の経営者の動きという枠を超え、世界的なデジタルインフラの勢力図を塗り替えようとする巨大な地殻変動の一端を象徴している。韓国企業が米国市場での足場を強固にする一方で、その背後で日本の高度な技術力がどのように組み込まれ、利益を享受できるのか。日本の製造業関係者は、この夏、米国で交わされたトップ同士の密談の行方を、極めて高い関心を持って見守ることになりそうだ。
【編集:af】
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