フィリピン南部ミンダナオ島の中心都市ダバオ市で、ベトナム発の電気自動車(EV)タクシー「Green GSM(グリーンGSM)」の運行が本格化している。鮮やかなシアンカラーの車体が街中を走り、市民や観光客の新たな移動手段として定着しつつある。
陸上交通フランチャイズ規制委員会(LTFRB)第11地域局が割り当てたEVタクシー枠のほぼ全てを同社が確保し、公共交通の近代化と環境負荷低減を象徴する存在となっている。

その他の写真:2026年7月10日ダバオ市トリル地区で撮影

 LTFRBダバオ地方局によれば、承認された計600枠のEVタクシー事業者枠のうち、実に596枠をGreen GSMが占める。同社は2025年末に参入を発表し、営業許可や充電インフラ整備、行政手続きを経て、2026年に正式な運行許可(暫定権限)を取得した。すでに市内にはベトナムの自動車大手ビンファスト(VinFast)製「VF 5」など約500台が投入され、日々稼働を広げている。最大乗車定員は運転手を含め5名で、車体にはビンファストの「V」エンブレムが冠され、側面には配車用ホットライン(02-7777-8080)や行政通報番号(1342)が明記されている。

 Green GSMはビングループ(Vingroup)傘下のGSM社が展開するグローバルブランドで、フィリピンではマニラ首都圏に続く地方都市での初の大規模展開となる。2026年7月現在、乗車した市民からは「騒音や振動がなく、極めて静かで快適」との評価が高い。航続距離は1充電あたり最大約326キロメートルと公表されており、都市部での1日の運行に十分対応可能だ。利用方法はスマートフォン専用アプリや電話配車のほか、街中での「流し」や特設乗車拠点からの利用も可能である。

 一方、この急速なEVシフトに対しては、既存タクシー事業者や一部自治体から営業権を巡る異議申し立ても寄せられ、市場参入に伴う摩擦が生じている。

 排気ガスを出さないゼロエミッションのEVタクシーは、慢性的な渋滞と大気汚染に悩む都市部にとって有効な解決策となり得る。地元業者との共存や急速充電スタンドの拡充など課題は残るものの、ダバオ市が掲げる「持続可能なスマートシティ」への移行に向け、ベトナム製EVが強力な推進力となっていることは間違いない。

【編集:Eula】
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