新しく事業を始める人の4人に1人が、女性です。日本政策金融公庫の2025年度調査によると、開業者に占める女性の割合は25.7%と、調査開始以来最も高くなり、4年連続で過去最高を更新しました。
なぜ、いま40代の女性が起業を選ぶのでしょうか。理由のひとつは、子育てや家事の経験、パート先で身につけたスキル、地域の人とのつながりといった、これまで積み重ねてきたものが、そのまま仕事の種になりやすい時代になったからです。パソコンやスマートフォンさえあれば、教室を開いたり、相談に乗ったり、ハンドメイド作品を売ったりできます。ごく身近な形から、無理なく始められるのです。もう一つは、家計を助けたい、自分らしく働きたい、という気持ちを口に出しやすい時代になったこともあります。
とはいえ、いきなり大きく踏み出す必要はありません。同特別調査によれば、開業者の平均月商は男性で504万円なのに対し、女性は166万円と、その3割ほどにとどまります。多くの女性起業家が、家計を支える柱としてではなく、家計の足しや自己実現の一環として、小さく事業を続けている姿が見えてきます。
では、何から始めればよいのでしょうか。まず、自分がこれまで人からよく相談されてきたこと、無理なく続けてきたことを書き出してみてください。料理、片づけ、子どもの学習サポート、手芸、地域のつながり、パソコンの使い方。どんな小さなことでも構いません。次に、それを喜んでくれそうな一人を思い浮かべましょう。無料でも身内が相手でもよいので、一度サービスとして受け取ってもらいます。感想を聞くことで、「これはお金をもらってよい価値なのだ」という感覚が芽生えてきます。この一歩は、講座や道具にお金をかけるよりも、ずっと確かな準備になります。
こんな進め方をした人がいます。
頼れる支援もあります。自治体や商工会議所には、女性の起業を後押しする無料相談窓口が多くあります。日本政策金融公庫にも、女性・若者・シニアを対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金(女性、若者/シニア起業家支援関連)」の融資制度が設けられています。一人で抱え込まず、公的な支援を上手に使うと、遠回りをせずに済みます。また、家族の理解も大事な土台です。始める前に、家事や育児の役割、使える時間、お金の流れをどうするかを、家族と一度話しておくと安心です。
統計は、私たちに「もう特別な人だけの話ではない」と教えてくれます。
(新井 一/起業コンサルタント)
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