作者のうみの韻花氏は、自身が14歳の時にした整形体験をベースに制作されたコミックエッセイ『14歳で整形した私』(同)を手掛けているが、同作とはまた違った切り口で「未成年の整形」を描いている。今回、うみの氏に本作の制作経緯から作画へのこだわりまで、幅広く話を聞いた。
フィクションという形で、社会に問いかけたかった
今回『娘に整形したいと言われたら』の制作背景について、「これまでエッセイという形で自身の体験を描いてきましたが、ルッキズムという根深いテーマをより普遍的な『物語』として社会に問いかけたいという思いがあり、フィクションの構想を練っていました」と話す。制作が決まった時の心境について、「プレッシャーと同時に『エッセイでは描けなかった領域にやっと踏み込める』という強いやりがいを感じましたね」と振り返った。
本作も「未成年の整形」をテーマにしているが、前作との違いはどこに据えているのか。
「前作は『過去の自分への救済』というノンフィクションでしたが、本作は『現代社会への問題提起』を目的としたフィクションです。主観から客観へ、視点を大きく広げた点が最大の違いです」
ただ、「根底にある『自分の顔が許せない』という焦燥感のリアリティは変わりません」とも付け加えた。
「親」の目線を入れることの効用
本作の大きな特徴が、娘・ひかりだけでなく母・彩の視点からも物語が進む点だ。なぜ「親の目線」を取り入れたのか。「当事者の視点だけでは、どうしても『個人の苦しみ』で完結してしまいやすい。一番近くにいる第三者であり、子どもにとって絶対的な存在でもある『親』のフィルターを通すことで、この問題を社会全体の異常さとして浮き彫りにできると考えたんです」
ただ、自身に娘はいないため、親が子に向ける「無条件の愛」と、それを拒絶された時の「喪失感」を想像力で補うことには相当苦心したと語った。
感情の限界をシミュレーションする
作画面でも独自のこだわりがあるという。感情が大きく揺れ動く重要なシーンを描く際、うみの氏は登場人物の気持ちになりきって自分で演技し、それを動画に撮影し、作画の参考にしたと話す。「彩が次第に追い詰められ、狂気を帯びていく描写は、とことん『おぞましく』なるようにこだわって描きました。
ちなみに、本作を制作するために、TikTokやXで中学生の整形ビフォーアフター動画をチェックし、そのうえで「コメント欄まで徹底的に読み込んだ」という地道なリサーチを行ったという。そういった積み重ねが作品のリアリティを支え、ひかりや彩の葛藤に心を動かされるのだろう。
【うみの韻花】
美容整形の体験談を漫画に描き、XやInstagram、TikTokで配信中。リアルでユーモア溢れるエピソードで人気を博している。著書に『14歳で整形した私 「ブス」の呪いから解けて自分を好きになる日まで』(KADOKAWA)。
X:@umino_otoka、Instagram:@umino_otoka、TikTok:@umino_otoka
<取材・文/望月悠木 漫画/うみの韻花>
【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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