せっかくの楽しい買い物が、たった一人の非常識な行動で台無しになってしまったら……あなたならどうしますか?

今回は、人気のパン屋さんで起きた理不尽な騒動と、それに遭遇してしまった女性のエピソードをご紹介しましょう。

人気のパン屋で、まさかの横取り騒動

ある土曜日の朝。相田夏希さん(仮名・33歳)は、オープンしたばかりの話題のパン屋さんを訪れていました。


人気のパン屋で、“限定食パン”の横取りを目撃! 思わず声をか...の画像はこちら >>
SNSで見かけてずっと気になっていたんです。特に数量限定の食パンが人気だと聞いていたので、少し早起きして並んだんですよ」

開店前から行列ができるほどの人気店。列に並んでようやく入店できた夏希さんは、焼きたてパンの香りに包まれワクワクしながら店内を回っていたそう。

「店内には家族連れや若いカップル、近所の常連らしき人たちの姿もあり、誰もが楽しそうにトレー片手にパンを選んでいたんです」

夏希さんもお目当てだった限定食パンの棚へ向かいました。

「そしたら一人の若い女性がお店の奥からやって来て、最後の一斤だった限定食パンを手に取り自分のトレーへ乗せたんです。私も欲しかったですが、心の中で女性に対し『ラス1ゲットできてよかったね』と思いました」

するとその時、近くにいた60代ぐらいのおばさんが、突然女性のトレーへ手を伸ばし「それ、私が先に取ろうとしてたのよ!」と大声で叫んだそう。

あまりに突然の出来事に、パンを選んでいた周囲の客たちも何事かと顔を上げます。

怯えながら食パンを差し出した女性

「若い女性は明らかに驚いた様子でした。ですが、おばさんは聞く耳を持たず『私が先に見つけたの! 私のなんだから触らないで!』と声を荒らげ始めたんですよ」

人気のパン屋で、“限定食パン”の横取りを目撃! 思わず声をかけたら…“協力者”が現れて予想外の展開に
パン屋さんで限定食パンを横取りするおばさん
しかし、その言い分はあまりにも理不尽でした。女性はきちんと棚から食パンを取り、自分のトレーへ載せています。それにもかかわらず、おばさんはまるで自分の所有物を奪われたかのような勢いで女性を責め立てたそう。

「女性は困り果てた表情を浮かべると、しばらく黙り込み小さくため息をつき『そこまで欲しいのなら、どうぞ……』そう言って食パンを差し出したんだそう」

周囲から見ても、その女性が譲りたくて譲ったわけではないのは明らかでした。

「その時の彼女、本当に怯えているように見えたんです。
もう関わりたくないって感じで」

女性は食パンを渡すと、そのまま店を出ようと歩き始めました。それはまるで、買い物そのものが嫌になってしまったかのような後ろ姿だったそうです。

夏希さんの勇気あるひと言

「その瞬間、私は思わず『待ってください! その食パンは先に彼女が取ったのを私は見ていました』と声を上げていたんです」

人気のパン屋で、“限定食パン”の横取りを目撃! 思わず声をかけたら…“協力者”が現れて予想外の展開に
注意する 指をさす 非難する 女性
店内の視線が一斉に夏希さんへ向きましたが、そのまま続けて「言いがかりをつけて横取りするのはやめてください!」と言い放ちました。

「正直、心臓はバクバクで。でも、どうしても見過ごせなかったんですよ」

すると驚いたことに「私も見てました」「私も棚から取ったところ見ましたよ」「その女性が先でしたよね」と、あちこちから声が上がり始めました。

先ほどまで静観していた人たちも、夏希さんの言葉をきっかけに次々と証言し始めたのです。

すると、おばさんの顔色がみるみる変わっていったそう。そこへ騒ぎを聞きつけた店員さんが駆けつけます。事情を説明すると「複数のお客様がご覧になっていたとのことですので、その食パンは最初に取られたお客様のものとして対応させていただきます」と落ち着いた口調で伝えました。

最後まで非を認めなかったおばさん

「店員さんに呼び止められた若い女性は、恐縮しながら戻ってきました。食パンを返されると『ありがとうございます』と、声を上げてくれた人たちに深々と頭を下げていました」

本来なら、何も頭を下げる必要はなかったはずです。それでも女性は何度もお礼を口にし、ほっとしたような表情を浮かべていたそう。

ところが、おばさんは納得いかなかったよう。
「はぁ?! みんなして私を悪者にするわけ?! まったく感じの悪い店ね!」と叫ぶと、ブツブツと文句を言い続けながら店を出て行ってしまいました。

店内には何とも言えない静けさが残りましたが、直後に誰かが「よかったね」と女性へ声を掛けると、周囲にもホッとした空気が広がったそう。

「正直、あの時は勇気がいりました。でも、もし誰も何も言わなかったら、あの女性は泣き寝入りしていたかもしれません」

「今でも、あの日の出来事を思い出すたびに『声を上げてよかった』と思えるし、あの女性の笑顔を思い出すんですよね」と微笑む夏希さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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