地上から約440m。高所恐怖症の人には永遠に理解できない場所で、プロポーズを行ったロシア人カップルがいる。
2人はアメリカ・ニューヨーク市にあるエンパイア・ステートビルに無許可で登り、愛と平和を訴える横断幕を掲げるパフォーマンスを行った。
そして男性がその場で跪き、女性に指輪を差し出してプロポーズを敢行。女性はこれを受け入れて、見事プロポーズは成功した。
地上約440mで繰り広げられたロマンチックな行動は、世界中の注目を集めたが、2人はその後警察に拘束され、複数の容疑で訴追されることとなった。
エンパイア・ステートビルのてっぺんでプロポーズ
2026年7月1日、ニューヨークのエンパイア・ステート・ビルのてっぺん付近で、黒衣をまとったカップルが黒い横断幕を掲げた。そこにはこう書かれていた
愛の力が権力への愛に勝る時、世界は平和を知る
2人はその後、やや低い位置にある足場まで降りていくと、おもむろに男性が女性の前に跪く。どうやらここで、彼は彼女にプロポーズをしたようなのである。
ニューヨーク市警(NYPD)の発表によると、2人の姿が確認されたのは、7月1日正午ごろのことだった。
すぐにNYPDの緊急対応部隊が出動し、現場周辺の道路を封鎖。警察のヘリコプターやドローンが周囲を飛び、上空から状況を確認した。
立ち入り禁止区域に強引に侵入した疑い
エンパイア・ステートビル全体の高さは約443mだが、一般客が入れるのは102階の屋内展望台までである。
その上には高さ約61mの放送用アンテナが伸びているが、一般客の立ち入りは認められていない。彼らが侵入したのは、このアンテナ部分である。
捜査関係者によると、2人は前日の6月30日に展望台の入場券を購入して建物内へ入り、そのまま館内に隠れていた疑いがあるという。
当日の午前5時ごろ、2人が102階のアンテナ部分へ通じる保安扉を通過する様子が、防犯カメラに記録されていた。保安扉の錠は意図的に破壊されていたそうだ。
「救助」のためにアンテナの電源を停止
2人が侵入したアンテナは、放送設備として実際に使用されており、「人体に危害を与えるほど強力になり得る」高周波の電波を発していた。
そのため、NYPDが2人を「救助」するために現場に向かうには、まずアンテナの電源を停止する必要があった。
緊急対応部隊はアンテナの電源が切られるまで、約30分間待機せざるを得なかったという。
2人は自力でアンテナから降りた後、特に抵抗せず、警察官に身柄を拘束された。2人にケガなどはなかったそうだ。
NYPDが公開したボディカムの映像には、警察官が2人に対し「ここにいてはいけない」と告げる様子が記録されている。
2人は「ルーフトッパー」として有名なロシア人カップル
この前代未聞のプロポーズをしてのけたのは、ロシア出身の「ルーフトッパー」、アンジェラ・ニコラウ[https://www.angelanikolau.us/]さん(33)とイワン・ビアカス[https://www.instagram.com/beerkus/]ことイワン・クズネツォフさん(32)のカップルだ。
ルーフトッパーとは高層ビルやクレーン、超高層建築物などに無断で、しかも安全装備を使わずに登り、主にその様子を配信する人たちのことである。
2人はルーフトッパーの中でも特に知られた存在で、これまで世界各地の超高層建築物へ登る様子を発信してきた。
2024年には、2人の活動と関係を追ったNetflixのドキュメンタリー映画、『スカイウォーカーズ:ある愛の物語[https://www.netflix.com/jp/title/81758544]』が公開されている。下は公式のトレイラーだ。
そしてこちらは、日本向けのトレイラー。
死と隣り合わせの危険な行為
アンジェラさんは1993年にモスクワで生まれた。両親はサーカスの芸人で、自身も幼い頃からアクロバットや新体操に親しんで育ったという。
アンジェラさんの父親のドミトリーさんは、今回の件について次のように語っていたという。
どの国であっても、アメリカであっても、屋上に登ることは普通のことだと思っています。どの憲法に照らしてもね。
(娘が逮捕されたことについて)なぜ心配する必要があるんですか? 私だって屋根くらい登りますよ
一方のイワンさんは1994年生まれ。10代の頃からモスクワのルーフトッピング・シーンに関わり、ルーフトッパーとしての活動を続けてきたそうだ。
彼らのInstagramには、エッフェル塔や凍りついた上海タワー[https://www.instagram.com/p/kI0tCUgbV4/]など、高所恐怖症の人なら見ただけで胃がキュッとなりそうな画像・映像がてんこ盛りである。
2人が出会ったのは2016年、中国・天津の超高層ビル「高銀金融117」へのルーフトッピングだった。
すでにモスクワのルーフトッパー界隈で知られた存在だったイワンさんが、アンジェラさんをプロジェクトに誘い、その後交際に発展したという。
この、高さ約597mの超高層ビルで撮影された写真や動画は世界中で拡散され、大きな話題を呼ぶこととなった。
ただし、こうした活動は常に議論を呼んできた。高層建築物への無許可侵入は多くの国や地域で違法行為にあたり、安全面からも問題視されている。
ルーフトッピングに魅力を感じる人がいる一方で、危険な行為として批判する声も少なくない。実際にルーフトッピングは、過去に複数の死亡事故を生んでいる。
2015年、ニューヨークの52階建てのビルから、コナー・カミングスさん(24)[https://www.youtube.com/watch?v=FvzxcatHpwc]が転落して死亡。2017年には中国の人気ルーフトッパー、呉永寧さん(26)が62階建てのビルから転落死[https://www.youtube.com/watch?v=HY4DHWZcxSI&rco=1]した。
また、2023年にはフランス人ルーフトッパーのレミ・ルシディさん(30)[https://www.instagram.com/remnigma/]が、香港でのパフォーマンス中に命を落としている。
エンパイア・ステートビル提供の公式プロポーズプランをどうぞ
7月2日、2人はマンハッタン刑事裁判所に出廷した。不法侵入や危険行為など複数の容疑で訴追されたが、この日は罪状認否は行わず、監督付きで釈放された。次回の出廷は8月24日に予定されている。
釈放された2人は地下鉄の駅まで歩いて行くと、大勢の人の前で熱烈なキスを披露していた。
イワンさんは捜査官に対し、アンジェラさんへのプロポーズのために、「何か特別なことをしたかった」と語っているそうだ。
また、弁護側は今回の件で適用された罪状が、2人の行為に対し重すぎると主張しているとのこと。
現場となったエンパイア・ステートビル側は、この出来事を「許可されていない事案でした」と説明している。
なお、同ビルでは、展望台を貸し切ってプロポーズができる「Happily Ever Empire[https://www.esbnyc.com/buy-tickets/happily-ever-after]」という公式のプランを提供しているんだそうだ。
このプランの内容は以下の通り。
- 86階展望台の半プライベートなプロポーズエリアを利用できる
- 優先入場(VIPアクセス)
- 専属スタッフによるサポート
- 展示エリアのプライベートガイドツアー
- プロポーズ後に102階展望台へ案内
- シャンパンで乾杯
- 料金は1組1000ドル(約162,000円、税・追加オプション別)
ビル側によると、「ニューヨークで一番ロマンチックなプロポーズ」を提供しているそうで、ぜひ無許可で危険なルーフトッピングではなく、公式のプランを体験してほしいとのこと。
このプランは数に限りがあるため、最低でも24時間前までには予約してほしいという。家族や友人などは、別途エクスプレス・チケットの購入が必要だそうだ。
一世一代のプロポーズをスタイリッシュに決めたい人は、ぜひ検討してみてはいかがだろうか。
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References: New details emerge about Empire State Building daredevil climbers, as couple released from jail[https://abcnews.com/US/empire-state-building-climbers-expected-court-thursday/story?id=134401909]











