オリオン座で赤く光るベテルギウスは、寿命が尽きつつあり、いずれ超新星爆発を起こして生涯を終える星である。
ヨーロッパ南天天文台(ESO)の天文学者チームがチリのアルマ望遠鏡を使って観測したところ、、周囲より800度も熱い、高温領域が写り込んでいた。
過去のデータと比較した結果、この極端に熱い領域は少なくとも7年以上も同じ場所にとどまり続けていることが判明した。
現在の恒星モデルでは説明がつかない、謎に満ちた現象である。
この研究成果は『Astronomy & Astrophysics』誌に受理され、査読前論文がarXiv(2026年8月19日付)[https://arxiv.org/abs/2608.19339]で公開されている。
アルマ望遠鏡がとらえたベテルギウスの詳細な姿
地球から約600光年離れたオリオン座にある恒星「ベテルギウス」は半径が太陽の約800倍もある赤色超巨星だ。
いずれ超新星爆発を起こして生涯を終える運命にある。
現在の姿を確かめるため、ヨーロッパ南天天文台の天文学者ビル・デント氏が率いる研究チームは、チリにあるアルマ望遠鏡でベテルギウスを観測した。
アルマ望遠鏡は標高約5000mの高原に並べた多数のアンテナをつなぎ、全体をひとつの巨大な望遠鏡として働かせる装置である。
2023年に行われた観測では、アンテナ同士をもっとも遠くまで離した配置が使われ、これまでにない細かさで星の表面が撮影された。
公開された画像には、輪郭が波打ち、でこぼこに乱れたベテルギウスの姿がはっきりととらえられている。
表面の見かけの半径は、場所によって最大で6%も違っていた。
周囲より800℃も熱い超高温領域を発見
アルマ望遠鏡による高解像度の観測は、ベテルギウスの大気の詳細な温度分布も明らかにした。
この赤色超巨星の平均的な大気温度は約2030℃である。しかし、星の円盤の北東部と南西部には、周囲よりもさらに熱い領域が少なくとも2つ存在していることが判明した。
特に最も明るい超高温領域は、周囲のガスよりも最大で約800℃も温度が高い。
研究チームは、この不均一な特徴は、星の内部で起きている激しい対流によって生み出されていると考えている。
深い層から上昇した熱いガスは、大気に達したときに衝撃波を発生させ、巨大な泡のような塊を作る。
この塊は対流構造と呼ばれ、恒星モデルの計算では、しばらくすると崩れて別の場所へ移り、表面の模様も入れ替わっていくとされてきた。
7年以上消えない謎の超高温領域
更にこの超高温領域は長年失われずに残されていたことも明らかになった。
研究チームが2023年の観測データを2015年に取得された同様のデータと比較した結果、星の北東部にある巨大な超高温領域が、ほぼ同じ場所、ほぼ同じ強度で存在し続けていることがわかったのだ。
これは、現在の恒星モデルが予測する対流構造の寿命よりもはるかに長い期間、少なくとも7年以上にわたってこの超高温領域が維持されていることを意味している。
この発見は、これまでの天文学の予測を覆すものであった。
超高温領域が消えない理由は今後の観測に期待
研究チームは論文の中で、ひとつの可能性を挙げている。
2か所の超高温領域は、ベテルギウスの極にあたると推定される場所の近くにあり、極付近では対流が特に活発で、なおかつ安定しているのかもしれないという。
星の極の向きは、ベテルギウスの伴星シワルハがどの面を回っているかとも関わってくる。
ただし、今回の観測結果だけで伴星との直接的な関係が証明されたわけではない。
天文学者たちは今後もアルマ望遠鏡を使用して高解像度の観測を続け、これらの超高温領域が固定されたものであるか、そして星の質量放出や大気構造の進化とどのように関係しているのかを解明していく予定である。
ベテルギウスが最終的に超新星爆発でその生涯を終えるその日まで、この巨大な星に対する監視と調査は続けられる予定だ。
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References: ALMA Reveals Long-Lived Hotspots on Betelgeuse’s Bubbling Surface | ALMA Observatory[https://www.almaobservatory.org/en/audiences/alma-reveals-long-lived-hotspots-on-betelgeuses-bubbling-surface/]











