私たちの生活に欠かせない、スマートフォンやパソコンでのインターネット通信。ネットで動画を見る、メッセージを送るなどの何気ない行動を支えているのが「データセンター」と呼ばれる施設です。
例えばSNSでメッセージを送る場合、メッセージは自分のスマホから相手のスマホに直接届くのではなく、メッセージを一時的に預かるサーバーを経由して、相手に届いています。そのサーバーが多く集まる場所が「データセンター」です。
AIの需要の高まりなどから、データセンターの市場規模は急速に拡大しています。今後さらに需要が高まると予想されるなか、建設されたセンターの近隣の人たちが困惑する事態も生じています。一体何が起きているのか。現地を取材しました。
ひときわ大きな建物…データセンターの内部を取材
京都府精華町。ここは、緑豊かな丘陵に住宅のほか研究施設や文化施設が立ち並ぶエリアです。そのなかにひときわ大きな建物が…。NTTデータが今年4月に開業した「京阪奈OSK11データセンター」です。
インターネット上の膨大なデータを保存して管理する情報インフラの拠点。その内部を特別に案内してもらいました。
(NTTグローバルデータセンター・吉村学企画部長)
「(Q人いませんね)オフィスとは違うのでそれほど人は多くありません。
施設の心臓部「サーバルーム」に潜入!
厳重な管理の先にあるのが「サーバールーム」。
顧客企業から預かったデータをここで保管・処理します。いわば施設の心臓部でセキュリティの関係上、実際にデータが保管されている部屋を見ることはできませんが、今後ここにも大量のデータが保管され、24時間、計算や処理をし続けるといいます。
(NTTグローバルデータセンター・吉村学企画部長)
「スマートフォンで何か入力したら返事がきますよね。検索したら返ってくるとか、そういうところを中に入るサーバーが検索をしてお返ししたりとか。絶対に止まってはいけない情報システムをお預かりするというのが特徴です」
停電が起きても通信は止めない!非常用発電機も
4階部分にあたる施設の屋上は、非常用発電機を設置しているフロアになっています。
施設の機器が万が一動かなくなると、通信サービスが麻痺して大きな混乱をきたします。停電が起きても膨大な電力を一時的にまかなえるよう、非常用発電機は不可欠です。
(NTTグローバルデータセンター・吉村学企画部長)
「非常用発電機を動かすことで、この建物全体の電力を供給すると。これと同じものが最大で20台、この建物には入ることになっています」
京都・精華町は「データセンターの集積地」に
精華町はいま、データセンターの集積地へと姿を変えつつあります。
理由のひとつが地盤が強いこと。地震などでの倒壊リスクが低いため、NTTデータ以外にも多くの事業者がデータセンターを作り始めています。
しかし、その裏では周辺の住民が頭を抱える事態が発生していました。
「できたら夢であってくれ…」近隣は困惑
(精華地区まちづくり協議会・岩本泰一さん)
「なかった時の風景とは全然違いますので、できたら夢であってくれと思うくらいです」
京都府精華町のまちづくり協議会で会長を務める岩本泰一さん。3年前に自身の会社の真向いにできた海外の事業者が運営するデータセンターに頭を抱えていました。
(精華地区まちづくり協議会・岩本泰一さん)
「ずらっと煙突を並べられているところが非常に違和感があります。無機質な…建物自体も壁ですからね。(京都府の)厳しい景観の条例でよくこんなものが建ったなと思っています」
人の出入りも少なく不気味に感じていると話します。できた当初は、こんなことも…
煙突から一斉に真っ黒の煙が…騒音や振動も
(精華地区まちづくり協議会・岩本泰一さん)
「日頃感じたことのないような、鼓膜に振動を感じて。あれっと表に飛び出たら、8本から10本くらい煙突が一気に排煙を吹き出していた」
これは3年前の映像です。道路に面した煙突から一斉に真っ黒の煙が吹きあがります。
このデータセンターでは、非常用発電機を点検するため、不定期で試験運転を実施。その際に発生した煙や騒音、振動などが周辺の人たちを驚かせたのです。
(精華地区まちづくり協議会・岩本泰一さん)
「お客さまを送り出すときに排煙と鉢合わせると、振動もにおいも全部来ますのでイメージダウンですよね」
騒音や煙の量は減ったけど…「環境問題が解消しない限り、本当は望んでいる握手をできない」
岩本さんら「まちづくり協議会」は、このデータセンターを運営する海外の事業者などに対し、煙や騒音の解消を求める要望書を提出。
その結果、試験運転は人が少ない週末だけになり、騒音や煙の量も減っているといいますが、岩本さんは「完全に解決したわけではない」と話します。
(精華地区まちづくり協議会・岩本泰一さん)
「基本的には環境問題を消滅させてもらいたいと。企業仲間として一緒にこのまちを盛り上げていきたいというのは、たぶんデータセンター側さんも思っているでしょう。この環境問題が解消しない限り、本当は望んでいる握手をできないです」
近隣の困惑にデータセンター運営する事業者は…
このデータセンターを運営する海外の事業者は、MBSの取材に対し「景観については正しいプロセスを経て建築関連法令にも適した建物」と、回答しました。
一方、煙の問題については「排煙については低減策を実施済みとなります。近隣の皆さまから申し入れをいただいておるのは大変心苦しく感じておりますが、頂いたご意見を踏まえて追加の対応策を検討して参ります」としています。
建設相次ぐデータセンター 地元側とのトラブルも
データセンターは、AI=人工知能の活用が進むにつれて需要が拡大し、近年、首都圏や関西圏を中心に建設が相次いでいます。それに伴って、施設を受け入れる地元側とのトラブルも増えています。
データセンターは建築基準法上『事務所』や『その他』
事業者と住民側のトラブルが各地で起きるのはなぜなのか。都市計画の専門家は
「法制度が伴っていない」と、指摘します。
(京都大学大学院経営管理研究部・大庭哲治教授)
「データセンターは建築基準法上『事務所』や『その他』の扱いで立地している。限定された場所ではなくて、比較的多くの場所で立地することが可能な状況になっているところが、ひとつトラブルのもとになっているんじゃないかなと」
とはいえ、データセンターなしでは社会生活が成り立たず、どう共生するかが今後問われてくると話します。
(京都大学大学院経営管理研究部・大庭哲治教授)
「(住民側も)データセンターがどういうものなのか理解することが大事だと。ある意味『公共性』を有しているものなんだと、われわれの日常生活にはもうなくてはならない存在になっている」
“あの”煙突の周りに「防音壁」が出現 近隣は少し安堵も…
6月6日。京都府精華町にあるあのデータセンターに再び向かうと、問題となっていた煙突の周りに「防音壁」が積まれていました。
非常用発電機の点検運転が行われ、一部の煙突から煙が上がりましたが、黒煙はほとんど出ず、音も匂いも軽減されていました。
様子を見に来た近隣住民たちは少し安堵の表情を浮かべていました。
「当初よりはだいぶ少なくなったなあ」
「多少は収まっているんと違うかなと」
近隣は少し安堵も複雑な思い 共生の道とは?
しかし、複雑な思いもまだあるようです。
「これが僕らの生活に直接関係あるデータセンターやったらまだあれかなと思うけど、全くなあ…」
「(Qきっと何かにつながっているのでは?)そりゃどっかでつながっているとは思うけど…つながっててもなあ…やっぱり」
急増するデータセンター。便利な生活を支える裏で一部の人に負担が偏らないよう実情に合ったルール作りが求められています。
(2026年6月30日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)

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