株式投資成功の秘訣は「月次情報」から企業の調子を汲み取ること...の画像はこちら >>


投資初心者にとって、株式投資はややハードルが高いと感じるもの。どの銘柄を選べばいいのかがわからず、なかなか一歩を踏み出せないという人は多いだろう。



そんな人をサポートするべく、株式入門サイト「株Biz」やYouTube「【株Biz】勉強会TV[4K]」などで株式投資に関する情報を発信しているのが、投資家VTuberのはっしゃんさん。

「毎月5万~10万円を入金し、株式投資を継続すれば、誰でも資産1億円は目指せる」と話すはっしゃんさんに、投資を始めたきっかけやこれまでの経験について聞いた。

高校生の頃から興味を持って見ていた「株式欄」

「私が投資を始めたのは、30年近く前のことです。きっかけは、勤めていたIT企業の従業員持株会に入ったことでした。当時はバブルが崩壊した後だったので、投資に対してネガティブな意見が多かったんです。ただ、私は『安いうちに積み立てておいたほうが値上がりしたときに利益が出るから、投資を勉強して持株会も多めに入れたほうがいいかな』と思って、上限に近い月3万円くらいを入れていました」(はっしゃんさん・以下同)

はっしゃんさんの同僚も投資に懐疑的で、「持株会に入れるのは最低限の1000円だけ」という人が多かったそう。そのなかで、はっしゃんさんが投資に積極的でいられたのは、高校時代の経験があるという。

「高校生の頃、毎日のように新聞のスポーツ欄でプロ野球の試合結果や選手の打率などを見ていたんです。その流れで株式欄が目に入り、全銘柄の株価が載っている表をなんとなく見るようになりました。その頃は写真部に所属していたんですが、ミノルタ(現コニカミノルタ)が『α-7000』という史上初のオートフォーカス一眼レフカメラを発売して、話題になっていたんですよね。そのタイミングで『ミノルタがストップ高』という見出しを見て、多くの人が注目すると株価が変動するということを知りました」

ミノルタの件がきっかけで、高校生のはっしゃんさんは野球選手の打率の変化を見るのと近い感覚で、株価の動きも追いかけていったそう。

「高校生の頃から毎日、ミノルタやキヤノン、リコー、ニコン、旭光学(現ペンタックス)などの株価を見ていて、社会人になって初めて買った銘柄は旭光学でした。なぜかというと、自分が使っていたカメラがペンタックスだったことに加えて、高校生の頃に500円程度だった株価が200円台になっていたからです。

そのときは倒産のリスクなどは考えず、『いまは安いけど、いずれもとに戻るだろう』という感覚で購入したんですが、結果的に株価が500円くらいになりました。いま思えばビギナーズラックだったんですが、ITバブルが崩壊して右肩下がりだった持株会の損を自分で取り戻した気持ちでしたね」

企業が公表する「月次情報」が投資のヒントになる

好調に始まったように見えた株式投資だが、すぐに「そんなに甘くない」と感じたとのこと。

「ITバブル崩壊の影響を受けて、勤務先の株価が100分の1になったんです。そのときに『もっとちゃんと勉強しないとダメだな』と思いましたね。そこから四季報や日経新聞、決算について解説する本を読むといった正攻法で学び始めました。当時は持ち合い株(※)が多かったこともあり、主に持株比率や自己資本比率を見て選別していました。いま振り返ると、とても危ない状況での投資もありましたが、結果的に危機管理の勉強になり、リーマン・ショックや東日本大震災を超えたところわずかな含み損でとどめることができました。その後、日経平均株価が10倍になり、私の資産も10倍になったので、売却せずに持っていてよかったなと」

※2つ以上の企業が、互いに相手の株式を保有し合うこと。

拠出し続けていた持株会も、時間をかけてトータルで6倍になった。持株会の資産が1000万円を超えたら引き出し、株式投資に充てたという。

「投資や決算について勉強するなかで、行きついたのが『月次情報を見る』という手法でした。主に小売業などが毎月の決算をニュースリリースで発表しているので、それをもとに判断していくというものです。月次の業績が好調な企業の株式を買うと、株価が上がるということに気付いたんです」

2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロ事件の影響を受けて、飛行機を利用する人や海外に行く人が減ったため、旅行会社のHISの株価が下がっていた。

そのときにはっしゃんさんはHISの月次情報を見て、株価との関連性に気付いたそう。

「毎月の業績を見て流れに乗るという手法を実践するきっかけになったのは、ゼンショーホールディングスです。20年ほど前にゼンショーが手掛けるすき家が自宅の近くにできたのですが、その頃は狂牛病の問題で牛丼屋から牛丼がなくなり、豚丼が売られていたんですよね。そのなかでいち早く安全な牛肉を確保し、牛丼の提供を始めたのがすき家で、業界トップに上り詰めたんです。当然ながら月次情報も好調で、私もゼンショーの株式を買い、優待券で牛丼を食べに行っていました。株価も30倍くらいになり、その後は外食チェーンを買収して規模を拡大し、現在は世界進出という成長戦略を掲げています」

ゼンショーホールディングスへの投資をきっかけに、月次情報をもとにした投資判断の手法や長く保有する意義などを実感していった。

「突然株価が10倍になるということは少ないですが、月次で15%ずつでも成長していけば、いずれ10倍になるんですよね。月次で成長を続けていたら、3年先、5年先の大きな成長につながることも見えてきました。また、さまざまな企業を見ていくなかで、増収増益でどんどん成長する企業、もしくは成長限界を超えて日本から世界に出ていくような企業を投資という形で長期的に応援するスタイルが、自分には合っていると感じたんです。いまでも、投資家として社会に貢献できるようなことがしたいと思っています」

投資のポイントは「継続的な入金」と「計画的な運用」

個人投資家としてさまざまな企業と向き合い、投資経験を積み重ね、いつしかはっしゃんさん自身が人のため、社会のためになることをしたいと考えるようになったとのこと。25年以上勤めた会社を退職し、投資家VTuberとしての情報発信を始めた。

「もともとIT企業でソフトウェアの開発などを行っていたので、いずれはビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのように独立・起業したいという夢はあったんです。

実際にその一歩を踏み出せたのは、資産が3億円に到達してファイナンシャルインディペンデンス(経済的自立)が実現し、好きな仕事を選べるようになったから。投資をしていると下り坂になることもありますが、途中で離脱せず、安いときにコツコツ購入してきたのが大きかったように思います」

はっしゃんさんが時間をかけて資産を3億円まで築くことができたのは、定期的に入金し、株式の購入を継続してきたからだという。

「6月に出した著書は『50万円を10年で1億円にする株式投資』というタイトルなので、『元手50万円』と思われてしまうかもしれませんが、実際は『毎年50万円』です。収入や働き方、家族構成などによって投資できる金額は異なり、一概にはいえませんが、ある程度の年齢になって収入が増えていて、派手に使うことがなければ、月5万円程度を入れられる人は多いと思います。入金を継続して、計画的に運用していけば、“NISA貧乏”にならずとも資産1億円は目指せるでしょう」

株式投資において大切なのは、「継続的な入金」というわけだ。ただし、「計画的な運用」も決して忘れてはならないポイント。

「私は、成長余地のある割安な銘柄を買うことが重要だと考えています。ニュースで取り上げられるような人気の銘柄ではなく、不人気の銘柄に目を向けることです。日本には、きちんと成長していて配当ももらえるのに、なぜか割安という銘柄がたくさんあります。それを見つけて賢く投資することで、数年後にその銘柄が評価されたときに大きな資産になる。そんな投資を皆さんにも実践してほしいですね」

各企業の決算を地道に分析し、長期投資を実践したことで、資産を大きくしてきたはっしゃんさん。後編では、「計画的な運用」の具体的な手法について伺う。



(取材・文/有竹亮介)

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