昨年12月に14年ぶりに活動再開を発表。今年3月9日より15年ぶりの全国ツアー『Reunion Tour 2026』を開催し、全国で21公演を行ってきたレミオロメン
地元山梨の2Days公演で12日にファイナルを迎え、来年のツアースケジュールも発表となった。ファイナル公演のオフィシャルライブレポートが到着した。

■オフィシャルライブレポート

 2026年3月9日、バンドの代表曲のタイトルと同じ日に東京・NHKホールからスタートした、レミオロメン15年ぶりの再始動ツアー『Reunion Tour 2026』。全国を巡ったツアーの終着点は、7月11日、12日、山梨YCC県民文化ホール。彼らの生まれ故郷であり、音楽の原点でもある地元・山梨のステージである。万感の思いとともにツアーファイナルを迎えた彼らの姿は、長い歳月を経てより強固になった3人の絆と、音楽性の成熟を鮮やかに証明してみせた。

 BGMの音量が上がり、会場が暗転すると、大きな歓声とともに拍手があがった。レミオロメンが帰ってきた。この時点ですでに胸が熱くなった人もいたのではないだろうか。BGMが途切れ、青い光に包まれたステージに、藤巻亮太(Vo&Gt)が奏でるギターが響く。一曲目を飾ったのは「追いかけっこ」だ。一灯のライトが照らすのは藤巻ただ一人。
藤巻の弾き語りによる1コーラスめが終わり、2コーラスめに入ると、神宮司治(Dr)の静寂の中に浮かび上がる、抜けのいいドラムがリズムを刻み始める。さらに2コーラスめの終わりに、前田啓介(Ba)の情感豊かにうねるベースラインが合流した。まさにタイトル通り、追いかけっこのように、一人、また一人とメンバーが集まっていく。音が重なるたびにバンドの輪郭が鮮明になっていくその演出は、“3人が集まれば、そこがレミオロメンになる”ということを、これ以上にない説得力で提示していた。

 続いて「まめ電球」「フェスタ」と、この山梨で生まれた初期の楽曲を立て続けに披露。自分たちの原点を丁寧になぞりながら、またここから羽ばたくんだという決意を表明すると同時に、「いてくれて 有難うね」(「まめ電球」)と14年間の活動休止という長い冬の時代を、彼らを信じて待ち続けてくれたコアなファンに向けて、最大級の感謝の想いを伝えた選曲だったと思う。各会場でメンバーが、“今回のライブが初めての人”のアンケートを取っていたが、だいたい半数近くの人が手を挙げていた。この3曲のオープニングは、彼らを初めて観る層には新鮮に映り、当時からのファンにはたまらないカタルシスを与えたに違いない。

 「ただいまー、山梨―!」と藤巻が第一声を投げかけると、会場のあちこちから「お帰りー!」と声が届けられた。「今回のツアーは、みんなに感謝を伝えるためのツアーだと思っています。久しぶりに今日観てくれる方も、初めてライブを観るという方も、楽しんでいただけるように、練りに練ったセットリストでお届けしたいと思いますので、どうぞ最後まで楽しんでいってください」というMCに続いたのは、「春夏秋冬」。ここからサポートキーボードの皆川真人が加わった。
ステージ上には余計な装飾など一切なく、4人の楽器と機材が並ぶだけ。その潔いほどシンプルな空間を、より表情豊かに、エモーショナルに彩ったのが照明の演出だった。「春夏秋冬」では、楽曲の展開に合わせて照明が劇的に移り変わっていった。春は桜のピンク、夏はひまわりの黄色、秋は紅葉のオレンジ、そして冬は雪のような白い光と、一節ごとに色が移り変わっていく。エンディングの3人の声が重なるコーラスパートも、皆川の余情漂うピアノのアウトロも、目と耳と心を釘付けにしていく。軽快に一歩を踏み出すような開放感のある「ドッグイヤー」から、「Sakura」「明日に架かる橋」へと続く流れでは、春の訪れのようなみずみずしさと、未来へ向かう力強さがフロアを満たしていった。神宮司のタイトでパワフルなビートと、藤巻のソリッドで歪みのあるギターが疾走感を駆動させ、前田のグルーヴィーなベースが躍動感を加えた「モラトリアム」で、会場の熱気は最高潮に達した。

 ここで藤巻は、バンド結成当初を振り返り、今回のリハーサルを重ねていく中で「いろんな関係性を歌っている曲が多いなと思うんですよ」と、気づきについて語り始めた。それはラブソングの中の男女の関係性や、夢と現実、田舎のきれいな景色と都会のスピード感。そこから生まれた楽曲たちは「僕らの財産になっているんだと思います。今を生きるみんなにも届くものがあるんじゃないかと信じて」と、「Wonderful & Beautiful」へと繋げる。不完全でも素晴らしいと肯定するメッセージが、包容力のあるスケール感とともに客席に広がっていった。
そして、内省的でありながら圧倒的な世界観をもつ「アイランド」では、照明演出がその世界観を鮮烈に印象付けた。まるで深い海底にいるかのような深い青い光と、水面を揺らす繊細な光に満たされる冒頭。楽曲が熱を帯びるにつれ、何本もの白い光がステージから客席へと向かって放たれた。暗闇から光を掴み取ろうとするバンドのアンサンブルと、ダイナミックな光の洪水が見事にシンクロし、ただただ息を呑む瞬間だった。夏の湿度をまとったグルーヴの「電話」は、ギターのアルペジオやバンドサウンドが徐々に余韻を残す形でフェードしていき、入れ替わるように「粉雪」の静かなイントロが始まる。夏から冬へと温度が変わっていく様子が、そのサウンドからも感じられた。イントロの静けさから、サビでの爆発的なエモーション。ダイナミクスが生む静と動のコントラストは実に鮮やかで、藤巻のボーカルは情感豊かに伸びていった。

 メンバー紹介をしたあと、再始動に向けて3人だけでスタジオに入ったときのことを、「そのときに3人で笑顔が止まらなくて。いいねって、そのときすごい楽しかったんですよ。で、これは僕たち3人だけが楽しいっていうのもいいんだけれど、やっぱり聴いてもらいたいねって、心から3人が思ったんです」と藤巻は振り返り、「いっときの再活動じゃなくて、自分たちのペースで、自分たちの歩幅で、これからもレミオロメンの音楽を届けていけたらなと思っています。いろんなところに音楽を届けていきながら、また何度でも地元・山梨で音楽を届けたいと思います」と、今の心境を語った。


 そして、皆川のピアノイントロから静かに歌い出したのは「もっと遠くへ」。1コーラスめはピアノと歌だけで、その後は光の方へと進んでいく厚みのあるバンドサウンドになって、感動へと導いていく。余韻の中で投下されたのは、再始動に向けて書き下ろした新曲「さあはじめよう」だ。アップテンポなリズムに合わせて、観客がタオルをくるくると回り始めると会場のボルテージは一気に跳ね上がった。メンバーとファンが一体となって、新しい始まりを祝福する光景は、まさに圧巻の一言だった。その熱量のまま「雨上がり」「スタンドバイミー」とアップチューンで盛り上げ、本編ラストは「南風」。山梨の心地よい風をステージに呼び込むような爽快なポップチューンで、会場全体を笑顔で包み込んだ。

 鳴り止まないアンコールに応えて、再びステージに登場したメンバー。ここで藤巻からファンが歓喜するサプライズが発表された。「前に前に進みたい、レミオロメンの音楽をどんどん伝えたいという思いが……次のツアー回ります!2027年全国ツアーが決定しました。『Re Dialogue Tour 2027』という名前です。来年の3月9日東京ガーデンシアターから全22本、また回りたいと思います」。


 今回のツアーを経て、音楽には言葉を超えた対話があるなと実感し、『Re Dialogue Tour 2027』と名付けたそうだ。再始動した当初から、時間がかかっても全都道府県を回ると公言していたメンバー。その言葉を証明するように、次のツアーが決定した。喜びで沸く中で演奏されたのは、「そしてあなたに会いに行くから」と締めくくる「太陽の下」。この楽曲がもつ温かさが、ファンの心をじんわりと満たした後、もう一つの新曲「100億の承認欲求」の演奏前に、藤巻は今回の再始動にあたり、2人と対話をしたときに、自分と同じように2人も苦しんでいたのだと気づいたのだと語った。お互いの痛みを理解し、それを分かち合えたからこそ、再び3人で音を鳴らすことができた。そんな思いが込められた「100億の承認欲求」は、現代を生きる人々へのメッセージと同時に、3人がそれぞれの孤独を越えて再び巡り会えたことの証明のようにも響き、深く胸を打った。そして、この長い旅路を締めくくるのは、やはり「3月9日」だった。3月9日にNHKホールから始まったこのツアーが、巡り巡って地元・山梨でファイナルを迎えた。この美しい円環を閉じるように奏でられた「3月9日」は、メンバー3人からファンへ、そしてファンからメンバーへの、新たな始まりを祝福する歌へと昇華していた。

 16年という歳月を経て、山梨のステージに立っていたのは、バンドを始めた頃のようなシンプルな機材を背に、お互いの傷さえも音に変えて圧倒的な光を放つ、あの頃以上に強くて優しいレミオロメンだった。原点をなぞり、現在地を示し、そしてファンとの約束を胸に未来へと歩みを進めた3人。
ここまで書いたレポートを読み返しても、本当に真面目でかっこいいバンドなのだけれど、各地で繰り広げられてきたちょっと緩いMCにも定評のあるレミオロメン。陽だまりのような音楽と、思わず笑ってしまう3人のMC。そのどれもがレミオロメンというバンドの魅力だ。その温もりを、ぜひ次のツアーで実際に体感してほしい。ここからまた続いていく、新たなレミオロメンの物語に期待したい。

(文・大窪由香)

■セットリスト
M01. 追いかけっこ
M02. まめ電球
M03. フェスタ
M04. 春夏秋冬
M05. ドッグイヤー
M06. Sakura
M07. 明日に架かる橋
M08. モラトリアム
M09. Wonderful & Beautiful
M10. アイランド
M11. 電話
M12. 粉雪
M13. もっと遠くへ
M14. さあはじめよう
M15. 雨上がり
M16. スタンドバイミー
M17. 南風
【アンコール】
EN1. 太陽の下
EN2. 100億の承認欲求
EN3. 3月9日
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