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 近ごろSNS上で、実在する店舗の写真を無断使用し、「閉店セール」や「在庫処分」を装って商品を格安で販売するとうたう詐欺投稿が相次いでいます。ゲームショップやおもちゃ店、PCショップなどが狙われており、こうした手口は通称「閉店詐欺」と呼ばれています。


 被害をX上で告発したのは、愛知県名古屋市の大須に店舗を構えるゲームショップ「MEIKOYA」。Threads上で、同店とは無関係のアカウントが店舗外観の写真を勝手に使用し、「閉店するため在庫を処分する」と称して、「Nintendo Switch 2」を8000円で販売する詐欺投稿を行っていたといいます。



 定価約6万円の新型ゲーム機が、新品で8000円になることなど通常は考えられません。ところがThreads上を検索すると、同様の投稿が相当数確認でき、MEIKOYA以外にもさまざまな実在店舗の写真が悪用されていました。


 そこで今回、編集部では「閉店詐欺」の裏側を探るため、実際に相手とのやり取りを開始。巧妙さとお粗末さが入り交じる、その手口をレポートします。

■ 謎の個人LINEへ誘導 そして「本物そっくり」な偽佐川急便ページへ

 Threads上で詐欺とみられる投稿を確認すると、購入希望者をLINEへ誘導するためのIDが記載されていました。


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Threadsの詐欺と思しき投稿


 記載されたIDをLINEで検索すると、女性名を名乗る個人アカウントが表示されました。アカウント名やプロフィールを見ても、ゲームショップの公式窓口であることを示す情報は見当たりません。


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現れたのは女性の名前と思われる個人アカウント


 このアカウントに「スレッズでSwitch2の販売を見た」とメッセージを送ると、「あと3台残っているので販売可能」との返信が。画像も添付し、さも在庫があるかのようにアピールしてきます。


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現れたのは女性の名前と思われる個人アカウント


 支払い方法として銀行振込を希望すると、相手は「注文の手続きを進める」と言い、メッセージ上で一つのURLを送りつけてきました。


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Switch 2を購入したい旨を伝える


 リンクをタップして開くと、驚いたことに画面には大手運送会社「佐川急便」の公式ウェブサイトに酷似したページが現れました。


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大手運送会社「佐川急便」の公式ウェブサイトに酷似したページ


 ページ内の「送信者情報」という項目には、相手の氏名(LINE名とは異なるもの)や商品名、金額「8000」、一部が伏字になった電話番号や住所がもっともらしく記載されています。


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ページ内の「送信者情報」


 一見すると本物と見分けがつかないほど作り込まれていますが、URLを確認すると、正規のドメイン(https://www.sagawa-exp.co.jp)とは異なり、「sagawa※.com」(※は伏せ字)という文字列を含む別のアドレスが使われていました。


 また、ページ内の「お知らせ」欄が2025年で更新を止めているなど、細部にはいくつもの不自然な点がありました。それでも、最初から疑って見なければ気付きにくいほど、巧妙に作り込まれていました。

■ 矛盾の指摘でダンマリ 突然始まる「口座凍結」の自作自演劇

 ページが偽物であるとはっきりしたため、ここでLINEの相手にいろいろ質問してみることに。


 まず、「閉店した店はどこなのか」と尋ねると、相手は「もう触れたくありません。店はすでに閉店しました」と、店名を明かそうとしませんでした。


 さらに、発送元がThreadsの投稿とは異なる「愛媛県」と記載されていたため、その点を尋ねると、「実家の住所です」と説明。


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矛盾を指摘してみる


 そこでいよいよ「教えてもらった佐川急便のページはなぜ公式ではないのか?」とズバリ指摘したところ、それまでテンポよく届いていた返信がピタリと停止。既読はつくものの、以降は完全なダンマリを決め込まれてしまいました。


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ページが偽物であることを指摘すると以降ダンマリ


 この時点で撃退には成功しましたが、手口をさらに深掘りするため、偽の佐川急便ページにあえて架空の氏名や住所、電話番号を打ち込んで手続きを進めてみました。すると画面には振込先となる銀行名、支店名や口座番号といった相手の金融情報が表示されます。


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手続きを進めると振込先情報が表示


 さらに手続きを進めると、突然「送り状番号の取得に失敗した」というエラーメッセージが出現。そして「なぜか銀行口座が凍結され、アップグレード認証が必要となったため、カスタマーサービスに連絡して本人確認を完了させてください」という、驚きの急展開を突きつけてくるのです。


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なぜか突然口座が凍結……?

■ 友だち数「4人」の公式アカウント?担当者たらい回しの泥沼へ

 表示されたボタンをタップすると、再びLINEアプリが立ち上がり、今度は「Sagawa Express」という名前のサポートセンターを名乗る未認証アカウントが表示されました。


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偽の佐川急便アカウント


 本物の公式アカウントであれば何千万人もの登録者がいるはずですが、このアカウントの登録者(友だち)数はたったの「4人」という、およそ大手運送会社の公式アカウントとは思えない数字です。


 この「Sagawa Express」とトークを開始すると、「取引の安全性を確保するため、アカウント認証レベルをアップグレードする必要がある」として、実名と連絡先電話番号の提示を求めてきました。ただ8000円のゲーム機を個人間取引するだけのはずが、通常のやり取りでは考えられないような手順を踏まされます。


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通常では考えられない手間が……


 さらにこちらが氏名や銀行名(もちろん架空)を伝えると、今度は「ただいま担当スタッフによる受理手続きを承りました。下記より追加登録をお願いいたします」と、また別のLINEアカウントのURLを送りつけられ、別担当者との「本人確認契約締結手続き」を行うよう指示されました。


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別のアカウントとやり取りを行うよう指示が


 担当者を次々とたらい回しにして、相手を混乱させる……いわゆる特殊詐欺で頻繁に見られる典型的なパターンです。

■ 「だから電話で説明するの!」最後は逆ギレして強制終了

 案内された「サポートセンター」と称するアカウントとやり取りを始めると、今度は「実名認証手続きのため、通話を行う必要がある」と電話を強く求めてきました。


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サポートセンターとやり取り開始


 「なぜチャットではなく通話が必要なのか」「実名認証とは一体何のための手続きなのか」と文字で至極真っ当な質問を重ねると、相手は焦ったのか「だから電話で説明するの!」「理解出来ないですか?」と、まるで子どものような乱暴な口調で逆ギレのメッセージを送ってきました。いよいよボロが出始めたようです。


 ちなみに、こうした逆ギレは、これまでの詐欺潜入取材でもたびたび遭遇しています。矛盾を指摘されたり、だまし切れないと判断して撤収に入ったりする場面で、相手が急に攻撃的な態度へ転じるケースです。


 こちらを責め立てることで、「自分の理解が悪いのではないか」「相手を怒らせてしまったのではないか」と思わせ、冷静な判断を鈍らせる狙いがあるとみられます。気の弱い人であれば、相手の勢いに押され、言われるまま通話や手続きを続けてしまう可能性もあるでしょう。


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まるで子どものような乱暴な口調で逆ギレのメッセージ


 とりあえず逆ギレされたところで再度「今チャットで十分にやり取りができているのに、なぜ頑なに通話が必要なのか」と追及を続けてみます。すると詐欺グループ側はこれ以上の騙し込みは不可能と判断したのか、「時間の無駄です。では失礼致します」と捨て台詞を残し、一方的にやり取りを強制終了させてしまいました。

■ 個人情報や金銭を狙う罠 「うまい話には裏がある」を肝に銘じて

 今回の一連のやり取りの過程には、氏名、詳細な住所、電話番号、さらには金融機関口座の情報を入力・送信させる巧妙なトラップが何重にも仕掛けられていました。


 もしも相手の「閉店セールで格安」という嘘を信じて手続きを進めてしまっていたならば、個人情報が盗み取られるだけでなく、高確率で金銭やクレジットカード情報、重大な金融情報まで根こそぎ奪われていたことでしょう。


 何より、実在する企業のロゴや有名タレントのビジュアルを悪用した偽の佐川急便ページの作り込みが非常に巧妙であり、ネットの知識が浅いユーザーや、新型ゲーム機をどうしても手に入れたいという焦りがある心理状態では、騙されてしまうリスクが非常に高いと感じました。


 今回の「閉店詐欺」のように、実在する店舗の画像を悪用してユーザーの安心感を誘う手口は今後も現れると予想されます。「異常なほどの安値には必ず裏がある」という防犯の基本を常に念頭に置き、怪しいリンクや見知らぬ個人LINEへの誘導には決して応じないよう、冷静で慎重な判断を心がけるようにしましょう。

<記事化協力>
MEIKOYA 最新ゲームからレトロゲームの販売&買取(@meikoya)


(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026072204.html
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