フランス「ドラゴンボール」テーマパーク計画に東映アニメ「一切...の画像はこちら >>


 「フランスに『ドラゴンボール』のテーマパークが誕生する」――。そんなニュースが海外から伝えられ、日本でもファンの注目を集めていました。


 ところが、ここに来て肝心の権利元側から待ったがかかりました。



 東映アニメーションは8月31日、「フランスにおける『ドラゴンボール』テーマパーク建設報道に関する当社の見解」を発表。


 フランスでのテーマパーク建設が決定したとの報道について、同社ならびに権利元関係各社は「一切のライセンス許諾を行っておらず、当社が把握している事実はございません」と明らかにしました。


フランス「ドラゴンボール」テーマパーク計画に東映アニメ「一切許諾していない」 でも現地行政は正式発表?調べてみた
東映アニメーションの発表

■ 「ドラゴンボール」パーク報道 権利未許諾の指摘後も行政が発表

 今回の話は、単なるネット上のうわさが広がったというものではありません。


 フランスでは8月24日、パリ北西部のセルジー=ポントワーズ周辺で、大規模な開発を進める構想が発表されました。最大3つの主要なエンターテインメント施設やホテル、それらを補完するレジャー施設などを整備する複合開発です。


 その中でロイターが同日、フランス大統領府(エリゼ宮)の話として、フランスとサウジアラビアがパリ近郊でテーマパーク開発を進めることで合意したと報道。「ドラゴンボールZ」の世界を題材とした施設が計画され、サウジアラビアの政府系投資企業であるキディヤ社(Qiddiya)が資金を提供すると伝えました。


 ところが2日後の8月26日、フランス紙「Le Monde」がこの計画について取材。計画に詳しい複数の関係者への取材から、「ドラゴンボール」のキャラクターやブランドを使用するために必要な許諾が、少なくともこの時点では得られていないと報じました。


 これで話はいったん立ち止まるかと思いきや、今度は8月31日、パリを含む周辺地域の行政を担うイル=ド=フランス地域圏が公式に発表。3つのテーマパークのうち、一つを「ドラゴンボール」の世界に捧げた施設として明確に紹介。


フランス「ドラゴンボール」テーマパーク計画に東映アニメ「一切許諾していない」 でも現地行政は正式発表?調べてみた
イル=ド=フランス地域圏が8月31日に公開した公式発表。「Dragon Ball」の名称が明記されている。


 つまり、報道だけが先走っていたわけではありません。

権利処理が済んでいないとの指摘が出ていた一方で、フランス側ではその後も、地元行政が「ドラゴンボール」の名前を明記して計画を正式に発表していたことになります。

■ 政府やキディヤ社の公式発表に「ドラゴンボール」の名はなし

 フランスとサウジアラビア両政府が8月25日に発表した共同声明を確認すると、セルジー=ポントワーズで約60億ユーロを投じ、最大3つの大型娯楽施設などを整備する構想には触れているものの、「ドラゴンボール」の名称は記されていません。


 キディヤ社が8月24日に発表したフランス政府との覚書でも、新たなエンターテインメント複合施設について今後、事業範囲や開発モデルなどを定めていくとしているのみで、「ドラゴンボール」への言及はありません。


 こうした公式発表を見る限り、大規模開発そのものは具体的に動き始めているものの、「ドラゴンボール」を題材とする部分については、少なくとも正式決定と呼べる段階には至っていなかったようです。

■ 報道に使われたのはサウジのパーク画像 同じキディヤ社が関与

 さらにこの話をややこしくしているのが、各種報道で使用されていたテーマパークのイメージ画像と、今回の投資企業として名前が挙がっているキディヤ社と「ドラゴンボール」の関係です。


 東映アニメーションの発表によると、報道に登場したコンセプト画像や映像は、2024年3月22日に同社とキディヤ社が発表した別のプロジェクトのもの。こちらはフランスではなく、サウジアラビアのキディヤ・シティに建設予定の「ドラゴンボール」テーマパークです。


 サウジアラビアの計画については、広大な敷地に7つのエリアを設置し、30以上のアトラクションや高さ約70メートルの「神龍」などを建設することが正式に発表されています。


 今回フランスで報じられたものとは別物であり、東映アニメーションも「これらの画像・映像は当該報道とは一切関係はございません」としています。


 しかし、実際に進行している別プロジェクトの画像が使われ、さらにそこで東映アニメーションと組んでいるキディヤ社が今回のフランスの計画にも関わっているとなれば、仮にまだ構想段階だったとしても、話が現実味をもって受け止められたとして不思議ではありません。

■ どうしてこうなった?

 ここまでの情報を整理すると、大規模開発そのものは政府間でも具体的な構想として進められていました。しかし、「ドラゴンボール」を題材とする部分については、権利元からの許諾を得る前に、具体名を伴った情報が外部へ広がっていった可能性があります。


 さらに、権利未許諾との指摘が出た後にもかかわらず、イル=ド=フランス地域圏が「ドラゴンボール」の名を明記して正式発表していることから、少なくとも発表主体ごとに、計画に対する認識や情報の出し方に差があったことはうかがえます。


 日本でいうところの「ホウレンソウ」が、どこかでうまくいかなかったのでしょうか。

真相は現時点では分かりませんが、政府や地元行政、実際の事業主体まで登場する中で、権利元だけが「許諾していない」というなんとも不思議な状況になっています。


 フランス側ではかなり具体的な大型開発計画として発信された一方、「ドラゴンボール」を使うことについては権利元から許諾を得ていなかった今回の一件。政府や実際の事業主体も関わっている以上、ドラゴンボールだけに、この話が今後どう転がっていくのか注目されそうです。


<参考・引用>
東映アニメーション「フランスにおける『ドラゴンボール』テーマパーク建設報道に関する当社の見解」(2026年8月31日)
イル=ド=フランス地域圏「3つの新たなテーマパーク、そのうち1つはDragon Ball」(2026年8月31日)
フランス大統領府「フランス・サウジアラビア共同声明」(2026年8月25日)
Qiddiya Investment Company「フランス政府との覚書締結」(2026年8月24日)
Reuters「France, Saudi Arabia agree on €6 billion Dragon Ball Z theme park project near Paris」(2026年8月24日)
Le Monde英語版「‘Dragon Ball’ theme park project near Paris still lacks approval from Japanese rights holders」(2026年8月26日)
東映アニメーション「世界初となる『ドラゴンボール』テーマパーク建設へ!」(2024年3月22日)


(宮崎美和子)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By おたくま編集部 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2026090308.html
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