栄養価が高いと言われる卵。どんな食べ方をするといいか。
内科医の木内麻里さんは「卵の白身に含まれる『アビジン』は、皮膚の炎症を防いでくれる働きがあるビタミンB群の一種である『ビオチン』の吸収を防いでしまう。卵かけごはんを食べるなら、適した生卵のかけ方がある」という――。
※本稿は、木内麻里(著)、日比洋子(監修)『その食べ方は栄養を吸収してません』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■毎日「卵かけごはん」の落とし穴
生卵にちょこっとしょうゆをたらしかきまぜ、ふっくらアツアツの白いごはんにのせて食べる、「卵かけごはん」。卵はたんぱく質が多く含まれる栄養価が高い食品。時間がないときにも食べやすいものです。
ただ、本当に卵の栄養価を活かして食べるなら、白身は加熱したほうがいいのです。
その理由は、卵の白身に含まれる「アビジン」が、ビタミンB群の一種である「ビオチン」の吸収を妨げるから。
アビジンは卵の白身に含まれているたんぱく質。加熱することによって不活性化します。
卵の消化・吸収がもっともいいのが、半熟卵の状態。温泉卵にするのがおすすめです。
白身が加熱されてちょっと白っぽくなっていればOK。
生卵のほうが栄養が豊富なイメージがあるかもしれませんが、消化が早い順に並べると、半熟卵(温泉卵)→かたゆで卵→生卵→目玉焼き→卵焼きの順番です。
以前、患者さんで、ふと見ると湿疹がひどい方がいました。
そこで「毎日、生卵を食べていませんか?」と聞いたら、「食べています。なんでわかるんですか?」とその方は驚かれていました。
ビオチンは、皮膚や粘膜の維持などに深くかかわっており、皮膚の炎症を防いでくれる働きがあります。
■健康維持に効果的な卵の食べ方
通常の食生活をしていれば、ビオチンが不足することはまずありませんが、毎日、長期間にわたって生卵を摂取していると、不足してしまう可能性があります。
とはいえ、卵はほぼ完全栄養食。現代人にたんぱく質不足の人が多いなか、アビジンのことを気にして卵を避けてしまうのは、本末転倒です。
そこで、食べ方を工夫しましょう。
卵かけごはんを食べるなら、黄身だけ使うようにすればいいのです。なかなか濃厚な卵かけごはんができますよ。

「じゃあ、白身は捨てちゃうの?」と思われるかもしれませんが、大丈夫。
残った白身は、みそ汁やスープに入れて一緒に飲むのはどうでしょう? そうすれば白身も加熱され、ビオチンの吸収阻害を気にする必要もなくなります。
なお、生卵に限らず、卵を食べる場合は、何日かごとに食べない日をつくりましょう。毎日食べると、アレルギーとなってしまうこともあるからです。
■卵にこの「2つの栄養素」を加えれば最強
卵はよく「完全栄養食」といわれますが、先に触れたように、正確には「ほぼ完全栄養食」です。
卵が完全栄養食といわれるのは、そのバランスがパーフェクトだから。アミノ酸スコアは、食品に含まれるたんぱく質を構成する必須アミノ酸のバランスを数値化したものですが、卵はこのアミノ酸スコアが100点満点です。
これだけでも卵は十分に優れた食材なのですが、これに2つの栄養素を加えたら最強です。それがビタミンCと食物繊維。卵に足りないこの2つの栄養素を補えば、「真の完全栄養食」になります。
最近は食品が値上がりして、スーパーで買い物をするのも躊躇してしまいがち。卵も例外ではありません。

でも、そのお値段の差は数百円程度です。栄養面を考えると、卵は非常にコスパがいいので、できればいいものを買うことをおすすめします。
殻が薄いものや、黄身が小さいものは、それだけ栄養価も低い可能性があります。平飼いの卵を、とまでは言いませんが、いつもの卵より“少しだけ”いいものを買うことを意識してみましょう。
■栄養価が高そうなら積極的に購入
「値段=鶏の飼料がいい」ということでもあります。
たとえば、日本人が不足しがちなビタミンDを増やしたければ、サプリメントを摂るのもひとつの方法ですが、飼料にビタミンDが添加された卵を食べれば摂ることができます。
栄養監修を担当している日比洋子さんによると、栄養カウンセリングでビタミンDの血中濃度が意外と高めの方に話を聞くと、ビタミンD入りの卵を食べているケースもよくあるそうです。
スーパー以外にも、養鶏場の直売所などで卵が売られていることがあります。新鮮で栄養価が高そうなものを見つけたら、ぜひ買ってみてください。
《食べ方アドバイス》
サラダを食べるとき、ビタミンCが豊富に含まれるパプリカや、ビタミンCと食物繊維が含まれるレタスにゆで卵をトッピングすると、真の完全栄養食のサラダになります。
ブロッコリースプラウトを加えるのもいいですね。スーパーフードとも呼ばれていて、ビタミンCや食物繊維はもちろん、βベータ-カロテンや葉酸などのビタミンやミネラルも多く含んでいるので、サラダのトッピングにぴったりです。

■たんぱく質は「嚙んで摂る」のが正解
たんぱく質の重要性が広く理解されるようになってきました。「たんぱく質を意識して摂るようにしています」という人も増えてきましたが、その中身はというと、肉や魚、卵や豆腐だけではないようです。
最近は、たんぱく質摂取のためにプロテイン飲料を飲む人も増えています。効率的にたんぱく質が摂れるので、毎日のように飲んでいる人もいるでしょう。
でも、プロテイン飲料はただ飲めばいいわけではありません。
プロテイン飲料ばかり飲んでいると、ビタミン不足を招くことがあるだけでなく、胃腸の機能が弱い人が飲むと、消化不良を起こして腸内環境が悪化し、下痢をすることもあります。
とくに朝イチの空腹の状態でプロテイン飲料を飲むと、胃腸に負担をかけてしまいます。食事は嚙むことが大事だといわれますが、これは嚙むことによって胃腸の準備ができるからです。胃に入ったら今度は小腸や大腸が連動して働きます。
朝、起き抜けにプロテイン飲料を飲むのは、体が何の準備もしていない状態で、いきなり胃に高たんぱくのものが流れ込むということ。たとえるなら、準備運動をせずに猛ダッシュさせられるようなものです。
プロテイン飲料を飲むこと自体が悪いわけではありませんが、あくまでもたんぱく質は食事から摂ることが基本。
「今日の食事はたんぱく質が少なかったな」と思ったときに少しプラスする程度にしましょう。

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木内 麻里(きうち・まり)

金内メディカルクリニック副院長

医学博士。人間ドック健診専門医。日本医師会認定産業医。高濃度ビタミンC点滴療法認定医。聖マリアンナ医科大学を卒業後、日本大学医学部第三内科に所属し、内科診療を中心に臨床経験を積む。その後、米国ハーバード大学医科学研究所に留学。消化器内科、糖尿病診療を軸とした内科医療に加え、予防医療やアンチエイジング医療にも取り組んでいる。

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日比 洋子(ひび・ようこ)

管理栄養士

オーソモレキュラー分子栄養医学協会認定栄養カウンセラー。管理栄養士として10年間、病院・介護施設で栄養管理・栄養指導を行った後、歯科・美容皮膚科・整骨院・内科クリニックなどで7000人以上の栄養相談・カウンセリングに携わる。現在はクリニックでの栄養カウンセリングを行う傍ら、セミナー講師としても活動している。

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(金内メディカルクリニック副院長 木内 麻里、管理栄養士 日比 洋子)
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