栄養価豊富な米を食生活に摂り入れるにはどうしたらいいか。内科医の木内麻里さんは「白米より玄米のほうが、食物繊維やビタミン、ミネラルを豊富に含んでいる。
ただ患者さんから玄米を食べにくいとよく言われるため、最近おすすめしている米がある」という――。
※本稿は、木内麻里(著)、日比洋子(監修)『その食べ方は栄養を吸収してません』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■玄米でも白米でもない「おすすめの米」
健康のことを考えて、玄米を積極的に摂っている人もいるでしょう。玄米には、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
私も患者さんにおすすめすることがありますが、どうしても「ぼそぼそして固くて食べにくい」と言われることがよくありました。そこで最近では「5分(ぶ)づき米」をおすすめするようにしています。
分づき米とは、白米を10割の精米率としたとき、何割精米しているかをいいます。
3分づき、5分づき、7分づきなどがあり、数字が大きいほど白米に近い精米になります。玄米は、まったく精米していないもの。5分づき米は、糠(ぬか)や胚芽の部分を半分精米したもの。玄米と白米の中間ということになります。
私も近所のお米屋さんに精米してもらい、家では5分づき米を食べていますが、白米と比べても遜色(そんしょく)なく、とても食べやすいです。
ただし、分づき米は酸化が早いため、できるだけ精米したてのものを購入しましょう。
■農薬のリスクも減らせる分づき米
近所に精米店がない場合は、ネット通販で購入したり、街中にあるコイン精米機などで玄米を精米したりする方法もあります。
いきなり5分づき米にするのはハードルが高いという人は、まずは白米にかなり近い7分づき米から慣らしていくのもいいですね。
かつて、玄米に含まれるフィチン酸がミネラルの吸収を邪魔するといわれていましたが、最近ではたっぷりの水で長時間浸水して発芽させることによって、ミネラル吸収を阻害する作用が弱まることが知られてきました。
通常の炊飯をしていれば、それほど心配することはないでしょう。
また、玄米の糠や胚芽には、残留農薬がたまっているともいわれています。無農薬米や減農薬米を購入できるならそれがベストですが、その分、お値段が高価になります。
残留農薬のリスクを減らす意味でも、胚芽部分にあるミネラルなどの栄養が摂れると同時に、農薬のリスクも減らせる分づき米はおすすめです。
■ダントツに鉄が多く含まれる食材の最終結論
血液中にある赤血球は、全身に酸素を運搬する重要な働きをしています。ミネラルのひとつである「鉄」は、この赤血球のなかのヘモグロビンの材料。そのため、鉄不足は貧血を招きます。
鉄を摂っているのに貧血が改善しない、血液検査で数値がよくならない――このような人は、鉄がうまく吸収できていない可能性があります。

鉄には肉などの動物性食品に含まれるものと、野菜や大豆製品などの植物性食品に含まれるものがあり、種類が違います。
動物性食品に含まれるのはたんぱく質と結合している「ヘム鉄」、植物性食品に含まれるのはたんぱく質と結合していない「非ヘム鉄」です。
積極的に摂ってほしいのは、動物性のヘム鉄のほうです。ヘム鉄の吸収率が10~20%なのに対し、植物性の非ヘム鉄の吸収率はわずか2~5%だからです。そして病院で処方される鉄剤は、実は非ヘム鉄です。
鉄は、汗や便でも排出されていきます。女性の場合、生理でも失われるため、日頃の食事で意識的に鉄を摂っていただきたいものです。
摂るなら、圧倒的に吸収率がいいヘム鉄が含まれる動物性食品から摂りましょう。なかでもおすすめはレバーです。ダントツに鉄が多く含まれているからです。
■鶏胸肉だけではなく赤身肉も
患者さんにレバーをおすすめすると、「レバーは苦手です」「臭みが気になって食べられません」と言われることがよくあります。「小さく刻むなどして、少しずつでいいから食べてください」とお伝えしているのですが……食べ方のコツは最後にお話しします。

また、鉄分入りの牛乳やヨーグルト、お菓子などの商品も出ていますが、食品に添加されている鉄は、体に吸収されにくい非ヘム鉄であることがほとんどです。
「これひとつで1日分の鉄分が摂れる」などと謳われていても、摂取量=吸収量ではありません。このような商品を活用するのはいいことなのですが、「これで鉄分が摂れているから大丈夫」と思わず、動物性食品などもプラスしましょう。
ちなみに、筋トレの定番メニューである「鶏胸肉」は、「鉄」が少ないのが難点。肉類にはヘム鉄が含まれているのですが、鶏胸肉よりも赤身の肉のほうにより多く含まれています。
たまには牛赤身肉なども摂りましょう。そのほかに魚では、まぐろ、かつおなどもおすすめです。
《食べ方アドバイス》
レバーは臭みがあって苦手、調理が面倒という人は、焼き鳥を買うときにレバーを1本入れましょう。タレがついているので、比較的食べやすいはずです。
中華料理にはレバーが使われていることが多いので、惣菜や外食でレバニラ炒めなどを選ぶといった方法でもOK。レバーペーストも食べやすくおすすめです。
また、ウスターソースはレバーの臭み消しになります。
レバーの調理が苦ではない人は、ゆでたレバーをウスターソースに漬けたり、ウスターソースで煮たりすると、食べやすくなりますよ。
■ほうれん草を食べるなら酢の物かポン酢を
鉄を摂るなら動物性食品がベスト。でも、植物性食品にも含まれていますから、上手に取り入れたいですね。
そこで、とっておきのコツを伝授しましょう。鉄を多く含む植物性食品を摂るときは、酸味やビタミンCとセットで摂るのです。
植物性食品に含まれる非ヘム鉄には、酸味やビタミンCと一緒に摂ると、体に吸収されやすくなるという特徴があります。
そこで、非ヘム鉄が含まれるほうれん草や小松菜、海藻類を食べる際は、酢の物にしたり、ポン酢などをかけたりして食べましょう。
サラダに添えられることが多いパセリも、非ヘム鉄が多く含まれています。ドレッシングにレモン汁を加えるのもいいですね。
レモン汁は、プルーンを食べるときにかけるのもおすすめですが、残念ながらドライプルーンに含まれる鉄は、プルーン10個(100g)あたり非ヘム鉄が1mg程度と、それほど多くありません。
一方で、食物繊維やカリウムやポリフェノールが豊富に含まれていますので、そうした栄養を摂ることをメインに考えたほうがいいかもしれません。
なお、ドライフルーツには糖質も多く含まれているため、摂りすぎには注意しましょう。


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木内 麻里(きうち・まり)

金内メディカルクリニック副院長

医学博士。人間ドック健診専門医。日本医師会認定産業医。高濃度ビタミンC点滴療法認定医。聖マリアンナ医科大学を卒業後、日本大学医学部第三内科に所属し、内科診療を中心に臨床経験を積む。その後、米国ハーバード大学医科学研究所に留学。消化器内科、糖尿病診療を軸とした内科医療に加え、予防医療やアンチエイジング医療にも取り組んでいる。

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日比 洋子(ひび・ようこ)

管理栄養士

オーソモレキュラー分子栄養医学協会認定栄養カウンセラー。管理栄養士として10年間、病院・介護施設で栄養管理・栄養指導を行った後、歯科・美容皮膚科・整骨院・内科クリニックなどで7000人以上の栄養相談・カウンセリングに携わる。現在はクリニックでの栄養カウンセリングを行う傍ら、セミナー講師としても活動している。

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(金内メディカルクリニック副院長 木内 麻里、管理栄養士 日比 洋子)
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