仕事のできる人は会話でどんな言葉を使っているのか。マーケティングコンサルタントの宮脇啓輔さんは「質問に答える際に、予防線を張ったり、発言のハードルを上げたりするには、枕詞を使うといい。
枕詞により、発言の期待値や自信度を伝えられると、相手は潜在的な依頼を汲み取ることができて、双方にメリットがある」という――。
※本稿は、宮脇啓輔『一言で話せ。仕事ができる人の1%会話術』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。
■枕詞を使った期待値調整
ビジネスシーンで有効な枕詞は、大きく次の2種類に分けられます。
(1)会話の形式を伝える

(2)期待値を調整する
枕詞の役割は、相手に自分の話を聞く準備をさせる仕掛けです。それではひとつずつ見ていきましょう。
(1)会話の形式を伝える
これは、話者が話しかけるタイミングで、どんな会話をしたいのか相手に知らせるために使います。具体的には、次のようなイメージです。
会話の形式は、大きく3つに分けられます。
1.雑談「よもやま話ですが」「ただの雑談ですが」「まったく関係ない話なのですが」

2.相談「困ってまして」「悩んでいまして」「意見を伺いたくて」「壁打ちしたいのですが」「教えて欲しいのですが」

3.共有「進捗共有させてください」「一旦共有しますと」「結果を伝えると」

話す会話の形式に合わせて、「相談ですが」「共有ですが」「雑談なのですが」と枕詞を入れてください。
大原則(1)の報告の例でも、それぞれの展開で入れているのを確認できます。「結論、……」「理由は2点あって……」「ただし……」と入れることで、今何を説明してくれているのか相手にわかりやすくなっているのです。

■話し手の目的と温度感を伝える修飾語
相談であればしっかり聞かないといけないし、共有なら話を聞けばいいだけだし、雑談だと仕事モードを緩めて会話してあげる必要もあります。
話しかけた側は雑談したいだけなのに、聞き手が報告だと思うと、「これはつまりなんの話ですか?」や「結論から教えてください」という気持ちになってしまうのです。
枕詞で最初に会話の形式がわかるだけで、聞き手がどんなテンションで、どんなモードで会話すればいいかわかるので、双方に大きなメリットがあります。
より丁寧に伝えたい時は、修飾語をひとつ付け足します。
「2分で終わる相談ですが」

「ただの共有ですが」

「まとまっていない雑談なのですが」
この枕詞を加えるだけで、話し手の目的と温度感が非常にわかりやすくなります。話しかけられる側は、常に“不意に”時間を奪われています。その時間はあらかじめ予定に組み込むことができず、予定が狂っている時間になります。
だらだら10分、15分も話してしまうと、聞いている側は予定に間に合わなかったり、タスクの納期が遅れる場合だってあるのです。「すぐに終わる相談なら聞くけど5分以上かかるなら3時間後にして欲しい」などの事情もあるでしょう。
そのため、この枕詞は「相手への最大限の配慮」としてぜひマスターしてください。
ここで使える一言『2分だけ相談です』/『ただの共有なのですが、……』

■聞き手は話し手の自信度を読み取る枕詞
(2)期待値を調整する
これは質問に答える際に、発言の期待値や自信度を伝えるために使います。次のようなイメージです。

「これは以前考えたことがあって」

「今パッと考えたことなのですが」

「思考がうまく整理できていないのですが」
これにより、予防線を張ることもできれば、発言のハードルを上げることもできるのです。
この枕詞が付け加わるだけで、聞き手は話し手の自信度を読み取ることができます。「答える側が求めているであろう聞き手」になることができます。
例えば、「思考がまとまっていない」と言われた時は思考の整理に付き合うべきだし、「明確な回答があって」と言っている時はしっかり目に突っ込むべきです。
つまり、潜在的な依頼を汲み取ることができるのです。自己認知と他者認知のズレを埋めるために、非常に有効な枕詞なのです。
部下から上司に使うことが多いテクニックですが、期待値調整におけるメリットは
(1)予防線を張ることによる発言のハードルを下げられる

(2)発言の自信度を伝えることによって精度の高いフィードバックをもらえる
などがあります。ジャストアイディアには甘めにフィードバックされると思いますが、2週間考え抜いたアイディアは厳しさ全開モードでフィードバックが入ります。
なので、厳しいフィードバックが欲しい時はあえて、自信満々であることを伝えるのも、仕事の質を高めるという目的においては有効なのです。
枕詞をうまく取り扱うことで、上司から品質の高いマネジメントやフィードバックをぜひ引き出してください。
■「できる」と思われ、お互いに多大なメリット
ここまでは枕詞を、聞き手への最大限の配慮として解説してきましたが、実は、使う側にも次のようにメリットがたくさんあります。
敬意が伝わる

この人は自分の時間を大切に思ってくれている、いい人だと思ってもらいやすくなります。
その結果話しかけてもらいやすくなるので、関係構築もスムーズに進みます。
「仕事ができる」と思われる

枕詞を使いこなすことで、ビジネス会話の基礎力の高さをアピールすることができるのです。「仕事がしやすい人だ」と認められたり、発言を求められやすくなります。場合によっては抜擢に繋がるでしょう。
より良い情報を獲得できる

相談の質が上がるため、本当に自分が欲しかった情報を引き出しやすくなります。結果的に自分の成長にも繋がります。
このように枕詞を巧みに扱うことで、話し手・聞き手の双方に大きなメリットがあるので、必ず習得しておきましょう。
そして、「報連相」を行う前に、枕詞が反射神経で出てくるように意識的に何度も使っていきましょう。
■現場で使える枕詞フレーズ集
最後に、実際に現場で使える「フレーズ集」をまとめます。状況に合わせて、ぜひ活用してください。
「明確な答えがあって」使用場面:すでに考えたことがあり、即答できる時に、使う。
「かなり自信があるのですが」
使用場面:ほぼ間違いないと確信している時に、使う。

「考えながら話すのですが」
使用場面:思考が整理できてなくて申し訳ない時に、使う。
「完全な主観なのですが」
使用場面:自分が強く思っているだけの時に、使う。
「仮説の域をでないのですが」
使用場面:間違いはないと思っているが、立証できない時に、使う。
「うまく言語化できないんですが」
使用場面:話したいことはあるが、言葉がなかなか出てこない時に、使う。
「一旦聞いていただきたいのですが」
使用場面:確実に反論やツッコミが入りそうな時に、使う。
「あくまで聞いた話になるのですが」
使用場面:自分の意見でも一次情報でもない時に、使う。

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宮脇 啓輔(みやわき・けいすけ)

unname 代表取締役、マーケティングコンサルタント、日経COMEMOキーオピニオンリーダー

1991年3月生まれ。滋賀出身、立教大学卒。2014年、新卒でサイバーエージェント入社。社会人としてのスタンス、コミュニケーション力、基礎動作などのソフトスキルを習得し、Web広告運用コンサルタントとして月間1.5億円の運用実績をあげる。2017年、上場前のBASEに入社し、アプリマーケティングを担当。2018年、ペイミーにCMOとして参画し、BtoBマーケの立ち上げから、ビジネスチーム全体のマネジメントまで行う。
2019年、unnameを創業。BtoB企業を中心に累計約50社のマーケティング支援を行う。現在は総合マーケティングカンパニーとして、支援業務以外に、研修事業、プロダクト事業などを展開している。社内Slackで情報発信をしていたところ、「外に発信しないともったいない」と言われ、Xとnoteで20~30代向けに発信を始める。その一つである“「頭の回転が速い」を科学する”がnote社主催の創作大賞2024入選。

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(unname 代表取締役、マーケティングコンサルタント、日経COMEMOキーオピニオンリーダー 宮脇 啓輔)
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