Tシャツをアートに変えてきた40年。シルクマスターが挑んだ「スケートボードアート」誕生秘話
▲まのでまりな氏とナカオテッペイ氏の作品
「滑るための板」が、アート作品に見えた瞬間
2019年1月、ロサンゼルスの現代美術館「The Broad」。館内には、ジャン=ミシェル・バスキアの作品がプリントされたスケートボードデッキが展示されていました。
木材ならではの立体感や独特の曲線、そしてアートとの美しい融合。
その光景を目の当たりにした瞬間、1982年の創業以来、40年以上にわたりシルクスクリーン印刷を通じて「Tシャツ」という自己表現のキャンバスを支えてきた私たちの中に、一つの想いが芽生えました。
「私たちが培ってきたプリント技術で、スケートボードにも新しい価値を生み出せるのではないか。」
これが、株式会社シルクマスターの新たな挑戦の始まりでした。
40年の印刷技術と、立ちはだかった「前例のない壁」
近年、世界ではストリートカルチャーと現代アートが融合し、アーティストやブランドとのコラボレーションデッキがコレクションアイテムとして注目を集めるなど、市場は大きく変化していました。帰国後、私たちはアメリカや中国の工場へ問い合わせを行いました。しかし、スケートボードへの高品質なフルカラープリント技術は各社の重要なノウハウであり、詳細な情報を得ることはできませんでした。
当時、日本国内で同等の技術を量産レベルで確立している事例は、ほとんど見当たりませんでした。
それでも、「作品の魅力をもっと伝えられる方法をつくりたい」という想いを諦めることはできませんでした。
海外の動画や限られた資料を何度も見返しながら、ゼロから独学で研究開発をスタート。前例のない挑戦が始まりました。
最大の壁は"強度"。約2年半に及ぶ試行錯誤
開発は困難の連続でした。最初に立ちはだかったのは「色彩表現」です。アート作品が持つ繊細な色彩を木製デッキ上で忠実に再現するため、何度もインクの調整を繰り返しました。
そして、発色を実現できた先には、さらに大きな課題が待っていました。
それが「耐久性」です。
スケートボードは激しい衝撃や摩擦を受ける道具です。どれほど美しい発色でも、簡単に剥がれてしまうプリントでは意味がありません。
色が出ない。
剥がれる。
割れる。
シワになる。
失敗したデッキは数え切れません。
何度もやり直しを繰り返し、思うような結果が出ない日々が続きました。
それでも、「日本でこの技術を実現したい」という強い想いを胸に、独自の下地技術の開発に挑み続けました。
発色と密着性という相反する要素を両立させるため、試験と改良を積み重ねた結果、約2年半に及ぶ研究開発を経て、量産可能な品質を実現することができました。
スケートボードを「飾る文化」へ。日本のものづくりを世界へ
長い研究開発を経て、2021年11月、私たちは国内でも数少ないスケートボード専用プリント工場を設立しました。現在では、1枚からの小ロット生産にも対応し、「今つくりたい」というクリエイターの想いに応えるため、短納期で制作できる体制を整えています。
これまでに、多くのアーティストやブランド、企業とのコラボレーションを実現してきました。
私たちが目指しているのは、スケートボードを競技用品としてだけではなく、アートやインテリアとして楽しめる存在へと広げていくことです。
silkmasterSBでは、特許取得済みの壁掛けフックを活用し、お気に入りのアートを選ぶように、好きな音楽を飾るように、スケートボードを暮らしの中に取り入れる新しい文化を提案しています。
アメリカ西海岸で生まれたスケートボードカルチャーを、日本の印刷技術とものづくりで新たな価値へと昇華する。
「滑るための板」から、「飾るアート」へ。
これからもsilkmasterSBは、スケートボードというキャンバスの可能性を広げ、新たな価値を世界へ発信し続けます。
▲スケートボード工場と展示風景
silkmasterSBについて
silkmasterSBは、株式会社シルクマスターが展開するスケートボードプリントブランドです。40年以上培ったウェアの印刷技術を活かし、アーティストや企業、ブランド向けに高品質なオリジナルスケートボードを製作しています。
1枚からの小ロット対応、国内生産、短納期を強みとし、スケートボードを新たな表現媒体として提案しています。
■公式サイト
https://silkmaster-sb.com
■運営会社
株式会社シルクマスター