7月8日スタートのドラマ『ドライな同期の溺愛癖』(BSテレ東、水曜深夜0:00)は、碧依ぺき氏による同名コミックを実写化した“胸キュン”オフィスラブストーリーだ。相手の“匂い”から心の声を読み取れる特殊な能力を持つ花澤彩芽(ゆいかれんさん)と、潔癖症で無表情、さらに彩芽でも心を読めない同期・宮嶋翠(藤林泰也さん)。
不器用な2人が少しずつ距離を縮めていく恋模様が描かれる。

元宝塚トップ娘役が明かす“キュンとさせる技術”とは?「10年...の画像はこちら >>
彩芽役のゆいさんは、2015年に宝塚歌劇団に入団し、娘役として長年活躍してきた。2023年に宝塚歌劇団を退団して以降は、ドラマなどの映像作品をメインに、以前とは違う形で多くの人を魅了している。そんなゆいさんに、宝塚と映像作品の作り方の違いなど幅広く話を聞いた。

キュンキュンはお手の物?

――彩芽を演じる中で、「宝塚での経験が今回の作品に生きた」という瞬間はありましたか?

ゆいかれんさん(以下、ゆい):
「キュンキュンさせるお芝居」という部分では生かせたと思っています。娘役として約10年間、毎日男役さんにキュンキュンさせていただきながら、その気持ちがお客様にも伝わるようなお芝居をしてきました。宝塚では、お客様が娘役に自分を重ねてキュンキュンするので、こちらがキュンキュンしている様子をちゃんと見せることが大切なんです。その経験は今回生きました。

元宝塚トップ娘役が明かす“キュンとさせる技術”とは?「10年間、毎日恋する芝居をしてきた」
ゆいかれんさん
――視聴者が彩芽に重ねられるように、どういった工夫をしましたか?

ゆい:
まず「等身大の女性でいたいな」と思って。メイクもすごく薄くしてもらい、お芝居もナチュラルかつ繊細にして、“親しみやすい等身大の女性”の雰囲気を目指しました。

宝塚時代の娘役とは異なるアプローチ

――ナチュラルさを演出する部分をこだわったと。

ゆい:
そうですね。見た目もそうですが、声のトーンも意識しました。高すぎず低すぎず、聞き取りやすい声で。
また、動き方もキビキビ動くのではなく、なるべくゆっくり目に。人を見る時も、自信のある人って視線を合わせると思うんですが、彩芽はそういったタイプではありません。人が見ていない時にそっとこちらから見る。でも直視しすぎない。こういった細かいところまで意識しました。

元宝塚トップ娘役が明かす“キュンとさせる技術”とは?「10年間、毎日恋する芝居をしてきた」
©「ドライな同期の溺愛癖」製作委員会
――宝塚時代の娘役とは、異なるアプローチが必要だったのではないですか?

ゆい:
やはり宝塚では奥手でおしとやかな役でも華やかさを求められます。ただ、今回は存在感を抑えながらも、それでいて彩芽としての芯は残す。「そのバランス調整が面白いな」と思いながら演じていました。

宝塚という世界にいられるだけで幸せだった

――宝塚時代の印象的な思い出を聞かせてください。

ゆい:
宝塚は全ての成績が数字で出る世界で、ちょっとでも成績が落ちたら落ち込むし、努力して上がったら嬉しいし、如実に評価されるんですよ。

――本当にシビアな世界なのですね。

ゆい:
そうですね。思ったような役が来なかった時とかは、ひどく落ち込むこともありました。
ただ、「次はもっといい役をもらえるように頑張ろう」と、その悔しさを毎回お稽古にぶつけていました。

元宝塚トップ娘役が明かす“キュンとさせる技術”とは?「10年間、毎日恋する芝居をしてきた」
ゆいかれんさん
――10年間それを続けるのは、相当しんどくなかったですか?

ゆい:
そのおかげで、だいぶメンタルは落ちにくくなったかなとは思います(笑)。でも、「メンタルが強くなった」というよりは、もともと純粋に宝塚が好きだったんですよね。「宝塚という世界にいられるだけで幸せだった」というのがすごくあって。「好き」がずっと上にあって、「しんどい」がそれを超えることはなかったです。

舞台とドラマの違い

――最近はドラマで演じる機会が増えていますが、どういうところに舞台と映像での作り方に違いを感じますか?

ゆい:
宝塚は1つの作品に対して、お稽古に1カ月半ほどかけて、本番を2~3カ月行うんですね。毎日毎日同じ芝居をするから、どんどん新しいものが生まれていくんです。舞台は生ものと言われますが、本当に初日と千秋楽では全然違うお芝居になっていきます。

ただ、映像は一発本番で、テストも多くて3~4回ほどです。だからこそ、深く作り込む作業は自宅でやらなければいけないので、そこへの責任感はすごく大きいですね。

――実際に映像を見て、「もっとこう演じておけば良かった……」と思うこともありますか?

ゆい:
ありますね。放送されたものを半年後に見て「えっ、こんなお芝居してたの!?」と思うこともあります。
ずっとすり合わせの連続ですね。

また、映像は「正解が見えない」という不安もあります。宝塚は全ての成績が数字で出るので、努力の結果がわかりやすいのですが、映像は「この努力は正しいのか」という答えが見えない。ただ、正解が出ないからこそ台本を読めば読むほど新しい感情が生まれてきたりして、突き詰めることができる楽しさもあります。

――また、「観客がいるかどうか」も影響しそうですね。

ゆい:
そうなんです。宝塚のファンの方には、舞台上でも笑顔や拍手でいつも勇気をもらっていたので、撮影中にそれを感じられないのは、達成感を自分の中で作り出さなきゃいけないという部分があります。ただ、今はSNSのコメントなどで「見たよ」「すごく良かった」という声をいただけるので、それが頑張る糧になっています。

<取材・文&人物写真/望月悠木>

【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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