~立案者・株式会社シンフォニード 取締役副社長 兼 COO 植田祐介が語る、構想から正式提供までの舞台裏~
株式会社シンフォニード(本社:東京都港区、代表取締役社長:松田智久)は、2026年8月12日、組織可視化AI「SymVal AI(シンバル エーアイ)」の正式提供を開始しました。社員のパソコン上の行動(稼働記録)をAIが解析し、セキュリティ・生産性・コンディションの3つのスコアと解説で、組織の"見えない"を見える化するサービスです。人材紹介という"1対1で伴走する"仕事を17年続けてきた私たちが、なぜ"1対N"で組織の信頼を支えるAIプロダクトの開発に至ったのか。
■「見てもらえない」が、人を動かしてしまう時代に
コロナ禍以降、リモートワークが不可逆的に広がったことで、「人」をどう経営資源として可視化し、活かすかが、企業経営の重要なテーマとなっています。2023年3月期決算から始まった有価証券報告書での人的資本情報開示の義務化、そして2026年3月期からのさらなる開示拡充も、その流れを後押ししています。働く場所がオフィスに固定されなくなり、さらにAIが多くの業務に組み込まれはじめたことで、「机にいる時間」と「生み出す価値」の距離は、かつてないほど開いています。
そんな中で、人材紹介業を17年営んできた当社は、全国の企業経営者や人事、求職者から、さまざまなお悩みを聞いてきました。「リモートで、部下の働きぶりが把握できない」と不安を抱くマネージャー層の声。そして、「ちゃんとやっているのに、見てもらえない」と感じ、転職を考える社員の声。
そうした声を多数聞く中で、当社は多くの企業の現場に内在する、3つの経営課題に気づきました。
1:社員の負荷の偏りがもたらす、離職の増加
2:パフォーマンスを適切に評価できないことによる、生産性の低下
3:情報漏えいなどのリスクの予兆を把握しきれない、セキュリティの問題
既存のツールでは対応しきれないと、考えた私たちが開発したのが、組織可視化AI「SymVal AI」です。マネジメント層が社員一人ひとりを「ちゃんと"見てる"」ことを伝え、信頼を育む共通言語として使ってもらえるよう、さまざまな議論を重ねながら作り上げたプロダクトです。
■SymVal AI設計思想を支えた原体験——"見えない努力"が組織を壊す
私は2008年、銀行での融資業務からキャリアを始めました。その後、医療特化の人材紹介ベンチャーや大手人材紹介会社での人材コンサルタント、KDDIグループでの人事マネージャー職を経て、2016年に株式会社シンフォニード(入社当時は株式会社T.Y.Mコーポレーション)へ参画しました。入社を決めたのは、当時の役員から何度も声をかけられ、その熱意に心を打たれたからでした。そのとき、条件をひとつだけ出しました。
「役職者ではなく、メンバーとして働かせてほしい」
当時のシンフォニードは、社員一人ひとりの仕事に対する想いがとても強い会社でした。一方で、仕事の進め方のルールはほとんど整っておらず、追うべき指標も定まっていませんでした。社員のポテンシャルに依存し、全員が別々の方向へ全力で走っている状態を見て、「ひどく歪だ」と感じたのをよく覚えています。
だからこそ、社員が向かう方向性を整え、それぞれの成長目標をしっかり追える環境さえ整えば、この会社はもっと大きな力を出せると確信しました。しかし、外から来た人間がいくら役職を背負って号令をかけても、人の心は動きません。
「共に苦労をして、同じ目線で仕事をし、信頼を勝ち取らないといけない」
そう思ったからこそ、私は役職を持たない1メンバーから始めました。自ら数字を出し、やがてチームを率いるポジションに就いてからは周囲の仲間を支え、時には厳しい意見をぶつけ合いながら、信頼を積み上げていきました。
もちろん、その過程は決して楽なものではありませんでした。たとえば「結果」に対する考え方一つとっても、取り組みの成果が目立つ人の声が優先されやすく、一方で地道に基本基礎を積み上げ続けているメンバーは、その努力や成長が評価されにくいといった意識のギャップがありました。
社員一丸となって成果を出していきたいのに、意見の対立や価値観の違いなどの理由から会社を後にする社員を何度も見送り、当時はその都度「何か出来ることはなかったのか」を自らに問いかけました。この時の苦い経験が、後に「SymVal AI」の設計思想へと繋がっています。
メンバーとの別れや都度の振り返りを経て、それでもよりよいチームづくりを目指しながら、地道な行動と成果を積み重ねていった結果、私はだんだんと一社員としての信頼が積み上がっていくのを感じていました。
そうした時期を乗り越えて信頼が集まったところで、まず自分のいるチームだけで、KPIをゼロから作り、検証を始めました。その動きが周囲に波及し、やがてシンフォニードの人事評価制度やクレドができあがっていきました。
組織の土台が固まってからは、社名変更や新規事業の創出にも携わり、入社から1年半後には役職を持って、本格的に経営に取り組むようになりました。
一社員からチームを束ね、組織を土台から整えていった経験を振り返って、私はひとつの確信を得ました。
同じ目線に立ち、相手をちゃんと見て、見ていることが相手に伝わったとき、信頼が生まれ、組織は強くなっていく。
逆に言えば——組織が壊れるのは、努力が足りないからではない。努力が、誰にも見えていないからだ。
この確信が、「SymVal AI」開発の土台になりました。
■開発のはじまり——マネジメントとしての葛藤と、時代の変化
「SymVal AI」の着想は、特別な経営理論から生まれたものではありません。私自身が現場でチームを率いるなかで抱き続けていた、マネジメントとしての強い葛藤と、自責の念でした。役職者としてチームを見ていると、どうしても、普段よく話す人や雑談が弾むメンバーのことはよく見えます。「今、裏でめちゃくちゃ泥臭くやっているな」「結果はまだ出ていないけれど、すごくいい動きをしているな」というプロセスが、手に取るように伝わってくるからです。
でもある日、ハッとしました。
「では、入社したばかりでまだ遠慮している人は? 他部署から異動してきた人は? リモートワークのメンバーや、私と性格のタイプが違って、黙々と静かに作業している人は……?」
考えを巡らせれば巡らせるほど、そういった「見えていない」メンバーがたくさんいました。私と会話する機会が多いメンバー達と同様に、もしかしたらそれ以上に、彼らは裏で歯を食いしばりながら努力しているかもしれません。
でも、コミュニケーションの相性や声の大きさだけで、「見てもらえる人」と「見落とされる人」が生まれてしまう。十数年間、人材紹介の現場で「上司が自分の努力を見てくれない」と悔し涙を流して会社を去っていく求職者を何人も見てきたはずなのに、私自身が現場で、その不条理を生み出してしまっていたのです。
「個人の主観や相性に頼らず、みんなの見えない努力や負荷の偏りを、ちゃんと言葉や数字にして見つけてあげたい」
その一心で、私はチームメンバーが普段どんな業務にどれだけ時間を使い、どこで苦戦しているのか知るべく、日々の稼働データと本気で向き合い始めました。
しかし、現場の実態を掘り下げていく中で、もうひとつの重大な時代の変化に直面しました。
急速に広がる生成AIによって、現場の業務スピードは劇的に上がっています。当社も例外ではありません。現場を見れば、メンバーが工夫を凝らし、新しいツールを試行錯誤して成果を出そうとしている。その前向きな姿勢自体は、役職者として本当に頼もしく、応援したいものでした。
しかし一方で、強い危機感を覚えたのです。
「これだけ日常的にAIを使う環境になったのに、現場でどんなツールがどう使われているのか、会社も管理職も実態をまったく把握できていないのではないか」
「もし悪気のない操作ひとつで情報漏えいが起きてしまったら、誰がこのメンバーを守れるのだろう」
つまり、専任の情報システム部門がいない組織では、社員の努力が見えないのと同じように、「現場の善意の工夫の裏に潜むリスク」もまた、完全な死角になっていたのです。かといって、リスクを恐れて「AI一律禁止」にしてしまえば、メンバーの前向きな挑戦や生産性を、すべて奪ってしまうことになります。
そのとき、私の中でバラバラだった想いが、強く結びつきました。
「積み重ねている努力を見落とさず、ちゃんと認めること。」と、「悪気のない事故から、会社とメンバー自身を守ること。」この2つは別々の話じゃない。
『見えない手元をちゃんと見つめて、誰もが安心して全力で働ける環境をつくる』という意味では同じなのだと、腑に落ちたのです。
だからこそ、社員を縛り付けるためではなく、見落とされがちな努力をちゃんと拾い上げて、背後に潜むリスクからは、そっと守ってあげるようなシステムをつくりたい。現場で悩み抜いた役職者としての悔しさと、現場で直面したリアルな危機感から、「SymVal AI」は生まれました。
■「SymVal」という名前の由来
「SymVal」という名前は、当社の社名「シンフォニード(Symphony × Need)」に由来しています。シンフォニードは、シンフォニー(交響曲)とニード(必要)を掛け合わせた造語です。個性豊かな音色が重なり合う交響曲の中で、ここぞという瞬間に鳴り響き、楽曲全体を支えて引き締める——そんな楽器の「シンバル」のような存在として、組織の節目や成長を支えるプロダクトになってほしいという想いを込めました。■こだわり抜いた設計思想——"信頼をつくる"ための3つの絶対条件
「SymVal AI」を設計するにあたり、最初から最後まで妥協しなかったことがあります。それは、「このツールを、"社員を縛り付けるための道具"には絶対にしない」という強い意志でした。そのために、3つの思想を設計の根幹に据えました。①プライバシーを犠牲にしない——パソコンの中での自動マスク
世の中には、カメラの常時稼働やキーストローク(打鍵)の全記録といった手法をとるツールもあります。
代わりに選んだのは、個人のプライバシーを守りながらパソコン全体の安全な挙動を捉えられる、技術的難易度の高い通信記録等の解析です。個人情報や認証情報は、従業員のパソコン(端末)の中で自動的にマスク処理をしてから送信する構造を標準とし、加工前のデータをそのまま預からない設計にすることで、働く人の尊厳とセキュリティの両立を目指しました。
②本人にも開示するからこそ、「共通言語」になる
「本人にスコアを見せたら、評価を気にして社員が萎縮したり、反発したりするのではないか?」——社内でも当然、そうした懸念や議論はありました。管理職だけが見られる"裏のツール"にした方が、導入は簡単かもしれないという意見もありました。
しかし最後は、「本人と管理者が同じ事実(スコアと解説)を見られる設計でなければ、絶対に信頼は生まれない」と考え、双方向開示の設計にしようと決断しました。
隠れて見られるから、人は不信感を抱く。自分自身のマイページで「自分の努力や課題、改善のヒント」が同じように開示されるからこそ、評価面談も感覚の押し付け合いではなく、「共通のデータをもとにした建設的な対話」に変わるのです。
③「時間」ではなく「質の変化」を捉える、本質的な指標設計
目指したのは、単なる「残業時間の集計ツール」ではありません。見落とされがちな努力をちゃんと拾い上げ、メンバーが働く時間の質そのものを高めていくことこそが、「SymVal AI」の趣旨です。だからこそ、先述の3スコアのうち、セキュリティ以外の2スコアは以下のように設計しました。
コンディションスコア:深夜稼働の有無だけでなく、日々の稼働パターンの変化などの多角的なデータから、「いつもと違う負荷の偏り」の兆候をいち早く察知する。
生産性スコア:パソコンを開いていた時間の長さではなく、「AIやツールを活用してどれだけ業務効率が高まったか」「限られた時間の中でどれだけ集中して仕事に向き合えたか」という、本質的な質をスコア化します。
■開発の壁——「机上の空論」を現場で使える形にするまで
構想を描くのは簡単でした。しかし、それを実際のプロダクトとして成立させるまでの開発現場は、まさに壁の連続でした。優秀なエンジニアチームの執念と尽力なくしては、「SymVal AI」は決して完成しなかったでしょう。
具体的にどのような壁があったのか、以下に一例を紹介します。
壁①:「本当のパソコン稼働」が判別できない
開発初期、最大の難所となったのが、「人がパソコンの前で何をしているのか」を正確に判定する難しさでした。「操作の記録が止まっている時間」ひとつ取っても、集中して資料を読み込んでいるのか、オンラインで商談・会議中なのか、離席して昼食に行っているのか。ルールベースの単純な判定では、現場の実態と大きくズレてしまいます。
AIによる挙動推測の調整を幾度となく重ね、機械だけで判断しきれない部分は直感的なUI/UXでスムーズに補正できる設計にたどり着くまで、途方もない試行錯誤を繰り返しました。
壁②:AI解析とプライバシー保護の、究極のトレードオフ
「スコアリングに高度なAI解析を行いたい。しかし、企業の機密情報や個人情報をクラウドサーバーにそのまま送るわけにはいかない」
この技術的な矛盾も、大きな壁でした。サーバー側で一括処理した方が、開発スピードは圧倒的に早い。しかし、私たちはお客様に安心してお使いいただけるように、決して安全性に妥協しないと決めました。
「端末の中でマスク処理をしてから送る」という、極めてハードルの高いアーキテクチャにあえて挑戦しました。リソースの制約がある中でこの軽量化と安全性を実現できたことは、エンジニアチームの執念の結晶です。
壁③:専門用語を「誰もが直感で動ける言葉」へ——AIとの格闘
どれだけ正確なデータを集めても、難解な記録や専門用語が並んだ画面では、現場導入のハードルが高くなってしまいます。それでは、忙しい経営者や管理職は使ってくれません。
だからこそ、収集した事実データを、意思決定者や働く本人が一目で理解し、「明日から何を改善すればいいのか」が直感的に伝わる日本語の解説へと変換する——このAIプロンプトのチューニングには、数え切れないほどの修正とテストを重ねました。「専門家がいなくても、現場で対話が生まれる画面」に落とし込む作業こそが、最も泥臭く、時間をかけた部分でした。
■「報われない努力を終わらせる」ために——SymVal AIの展望
開発の間、私の胸にずっとあったのは、「ちゃんと"見てる"。だから、信頼される。」という言葉です。製品のために用意した言葉ではありません。私がこれまでのキャリアで確かめてきた実感を、そのまま言葉にしたものです。この想いは、2026年8月12日の正式提供開始を経て、8月26日の産経新聞(東京23区版)全面広告で掲げるメッセージ『"何でもできる"時代だから "誰もが気づける"環境を』につながっています。AIで"何でもできる"ようになった時代だからこそ、リスクも、努力も、疲れも——組織の"見えない"に、経営者も、管理職も、働く本人も、それぞれの立場で気づける環境が必要だと考えています。
過去のキャリアで私は、銀行で「モノや金の流れ」を学び、人材会社で「社外から人を送り込む立場」を知り、事業会社の人事で「社内で人を評価し育てる立場」を経験してきました。"人を送り出す側"と"受け入れる側"の両方を見てきたからこそ、「人が辞める前に気づく」「人が辞めない信頼をつくる」プロダクトを牽引するなら私しかいないと思い、事業戦略責任者に就任しました。
「SymVal AI」が目指すのは、声の大きさや第一印象ではなく、日々の積み重ねそのものが正しく届く組織を、一社でも多くつくることです。「報われない努力を終わらせる」——この想いの実現に向けて、これから展開を進めてまいります。
私は、"努力が見えていない"ことに苦しむ組織を、これ以上増やしたくありません。組織の状態把握や評価制度の見直しをお考えの経営者様、離職の予兆や情報漏えいリスクに不安を抱える経営者・人事担当者様は、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
(株式会社シンフォニード 取締役副社長 兼 COO 植田 祐介)
■組織可視化AI「SymVal AI」について
サービス名:SymVal AI(シンバル エーアイ)正式提供開始日:2026年8月12日
内容:社員のパソコン上の行動(稼働記録)をAIが解析し、セキュリティ・生産性・コンディションの3つのスコアと、専門知識がなくても読める「スコアと解説」で組織の状態を見える化
導入方法:SymValデスクトップアプリをインストールするだけ(社員の操作はゼロ)
対応環境:macOS/Windows
料金:1人あたり月額780円(税別)~・20名から導入可能 ※料金は2026年8月現在
サービスサイト:https://lp.symval.net
■会社概要
会社名:株式会社シンフォニード(Symphoneed Co., Ltd.)所在地:〒135-0091 東京都港区台場2-3-1 トレードピアお台場7階
代表者:代表取締役社長 松田 智久
設立:2009年11月17日
事業内容:組織可視化AI「SymVal AI」の開発・提供/中途採用支援事業/新卒採用支援事業/RPO事業
理念:「いつか叶う」を「今」にする
URL:https://www.symphoneed.co.jp/
本件に関するお問い合わせ:株式会社シンフォニード SymVal AI 事業担当
お問い合わせフォーム:https://www.symphoneed.co.jp/contact