浦和レッズと子ども食堂とのつながりは、コロナ禍でJリーグが約半年間中断した2020年に始まった。埼玉スタジアムの飲食売店業者がすでに仕入れてあった食材や飲料を、レッズを通じて埼玉県子ども食堂ネットワークに寄贈したのがきっかけだった。
それを契機に、レッズのパートナー企業と連携した支援活動を行ったり、レッズランドでのイベント開催などを通じて連携したりと、交流を深めてきた。そうした取り組みをさらに発展させる形で、レッズは今年、「REDSスマイルリレープロジェクト」という新たな取り組みを開始した。
これまで在庫品や賞味期限などの理由によりやむを得ず廃棄していた食品およびグッズを有効活用し、必要とする人や団体へ届けるという活動で、フードロス削減やCO2排出量削減といった環境負荷の低減に加え、地域の子どもたちや困窮家庭へのサポートを通じて、SDGs(持続可能な開発目標)達成に貢献しようというもの。
このうち、食品は「一般社団法人さいたま市子ども食堂ネットワーク」を通じて、グッズは「認定NPO法人キッズドア」が運営する「キッズドア・ファミリーサポート」を通じて、埼玉県内の困窮家庭約300世帯へ寄付・提供される。「REDSスマイルリレープロジェクト」という名称は、地域の子どもたちや家庭に笑顔をつなげ、その笑顔がさらに広がっていく未来を創出したいという思いが込められているという。
今回のチョコレートの寄贈は、同プロジェクトの食品部門における第1弾の取り組みとなる。
■子ども食堂は地域のつながりを大切にする場■
こうしたクラブの取り組みは、地域の現場でどのように受け止められているのか。 6月21日(日)。今回、チョコの寄贈を受けた三団体のうち、さいたま市緑区の「子ども食堂 結(むすぶ)」を取材した。
午前11時になると、予約した親子連れが食事に来たり持ち帰ったりと入れ替わりで「結」を訪れ、スタッフは大忙しだった。ここで調理された食事以外にレッズのチョコと、セブン-イレブンのフードドライブ活動(家庭で余った食品を店舗で回収するもの)に地域の人たちから寄せられた食材も手渡されていた。手渡す際には必ず「これはセブン-イレブンのフードパントリーからです」「今日は浦和レッズからチョコが届いています」と伝えられていた。
「結」の代表、池田きみかさん(36)によると、開所した当初は15人程度だった利用者が、回を重ねるごとに登録者が増え、現在は登録が50人ほどで、申し込みはそれ以上になるという。
池田さんは、自分のお子さんに「夢を追いかけなさい」と言い続けてきたが、あるとき「自分は実際に何か夢を追いかけているのか」と自問した。「追いかけていないなと、気づきました。それで、元々やってみたかった子ども食堂を『やっちゃえ』と始めたんです」
お子さんに、自分が動く姿を見せたい。その気持ちで1年間続けてきた中で、食事の提供だけでなく、講話などを頼まれたり、外部で講演などの機会も増えてきた。「結」のスペースは広くなく、数人はイートインできるが、ほとんどがテイクアウトのサービスとなっている。大勢で何かをじっくりすることには適していない。
「子ども食堂って貧困の場じゃない。地域のつながりを大切にしている場所なんだということはずっと伝え続けています」
この日、「結」を訪れた浦和レッズ・ホームタウン本部のスタッフは、「地域の皆さんの課題をお聞きして、私たちがどうやってお役に立てるかをいろいろ考えてみたいと思います」と語っていた。そうした思いが形になったのが、この日のチョコレートの寄贈だった。そして、チョコを受け取った男の子は「お父さんが興梠選手のユニフォームを持ってます」と教えてくれ、「どれがいいかな」とパッケージのデザインに見入っていた。
■SDGs活動が次のステージへ■
「REDSスマイルリレープロジェクト」は地域への支援だけではなく、環境への取り組みも柱の一つとしている。浦和レッズはこれまでも環境面でさまざまな取り組みを重ねてきた。そして、その積み重ねが今、次の段階を迎えようとしている。
まず、試合時の埼玉スタジアムでのゴミ削減を目指し、かねてからリサイクルのための分別を呼びかけてきた。その結果、現在ではスタジアムで出たゴミのうち約半分がリサイクルに回されている。空のペットボトルを捨てる際に、本体からラベル、キャップを外す人は多いときで90パーセントに上るという。回収したキャップは再生資材として活用され、ファン・サポーターの利便性のためのものに生まれ変わって、新シーズンからお目見えするという。
またオフィシャルショップなどで商品を渡す際に使用していたプラスチック製の袋は全面的に紙袋に移行し、これまで配布したプラスチック製の袋も、試合日に回収ボックスを設置して回収し、それも再生に回す予定だ。飲食売店で提供される食器や包材もプラスチックから紙素材へ、そしてリユース食器へと展開していく計画だという。
昨年10月には、クラブの事務所を浦和の中心部に移転したことを機に、全事業所から排出されるゴミを10種類に分別する取り組みも始めた。スタッフ自身が環境への意識を向上させることで、ファン・サポーターや地域への呼びかけにも説得力が増し、新たな取り組みへとつながっていくことが期待される。
「REDSスマイルリレープロジェクト」の活動が、ファン・サポーターやパートナー企業と共同して広がっていくことで、子どもたちに笑顔が広がるだけでなく、環境負荷低減という二つの取り組みがさらに前進するだろう。その積み重ねにより、埼玉スタジアムがJリーグNo.1の“エコロジー・スタジアム”となって、浦和レッズの新たな誇りになっていくことを期待したい。
取材・文=清尾 淳

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