378日ぶりのホーム帰還を果たした。瀧澤は昨年9月6日にEピースで行われたWEリーグ第5節のRB大宮アルディージャWOMEN戦で負傷。右ひざ前十字じん帯損傷と外側半月板損傷と診断され、9月16日に手術を受けた。昨季は赤井秀一監督体制1年目の新たなスタートで、右サイドの主力として好調ぶりを発揮していた最中で無念の長期離脱となっていた。
ひざのケガは、2024年3月に左ひざ内側側副じん帯を損傷して以来。今回の前十字じん帯のケガでは手術を受け、長い安静期間やひざを使う怖さとも向き合った。「思ったよりもスムーズに進まなかった時期が長かったので、そこから抜け出すのが1番きつかったです」という苦しさもあれば、「何もしなかったらどんどん落ちていく一方だし、かといってやりすぎたら負荷が多すぎて逆にリバウンドがくるので、やりたい気持ちと止めないといけない気持ちとの葛藤がありました」ともどかしさも感じていた。
チームメイトが試合に向けて試行錯誤しながら戦うかたわら、瀧澤は大好きなサッカーから離れて難しい日々を過ごしていた。「みんなに弱いところを見せるのは好きじゃないし、みんなといる時間だけでも笑ったりふざけたりして楽しむ方がいいと思っていました」と表では苦悩を感じさせない明るさがあったが、それも1人になると悩みや不安に襲われるときもあった。
「1日でも早く戻ることを目指していたけど、ひざが伸びないとか、筋力が戻ってこないとか、そういう現実とのギャップがありました。毎日コツコツやらないといけないけど、積み上がっている実感はあまりないし、筋肉がつくのも長い目で見ないといけないのに、1日ごとに何か変化がないとやっぱり飽きるし、『頑張ってはいるけどできているのかな』ってふと思うこともありました」
先が見えないリハビリの日々。難しいときでも前へと踏み出せたのは、「自分が納得すること」にこだわったからだった。
「1つひとつのことに意味を作るというか、これは何に活きるのか、何のために必要なトレーニングなのかっていうことを納得できないとやれないタイプなので、チームのトレーナーや長野のときから見てもらっているパーソナルトレーナーの人にも今まで以上に『なんでそれをやらないといけないのか』を説明してもらっていました。ボールを蹴るために必要だよとか、軸足が踏ん張るために必要だよとか、対人に入る時に必要だよって、ちゃんと理由を言ってもらって、自分が納得して1つひとつやっていく感じでした」
そうして難しいリハビリ期間を一歩ずつ進んできた瀧澤は、今シーズンに向けてチームが始動した7月1日から全体練習に合流した。徐々にトレーニングの強度を上げながら取り組み続け、9月12日に行われたWEリーグクラシエカップ・リーグステージ第1節のアルビレックス新潟レディース戦の86分に途中出場して復帰を果たした。
「本当にいろんなことがありましたけど、ピッチに戻ってこられて良かったです。改めてサッカーが楽しいなって感じられたので、いろんな支えてくれた人に感謝の気持ちしかないです」
今節はホームでの復帰戦。試合の前日には、「日頃から『待ってるよ』っていう声をたくさんいただいてすごく頑張れたので、その感謝を込めてプレーで見せられたらいいなと思います。ホームのピッチに立って、やっと『ただいま』って言えると思うので、自信を持ってピッチに立ちたいです」と意気込んでいた。
出番が回ってきたのは59分。予想以上に早い時間帯だったが、瀧澤は「もう気持ちで行くしかない」と胸を叩き、「出る以上は復帰明けとか関係なく責任を持ってやらないといけない」と覚悟を決めてピッチに入った。
1点ビハインドの追いかける状況で25歳のアタッカーは「シンプルにプレーすること」を心がけた。「個で打開しようという気持ちもありましたけど、途中から入って相手のプレッシャーや速さもありましたし、自分もリズムをつかむためには、なるべく早めにボールを離して、いっぱいボールに触ろうと思っていました」。
右サイドに戻ってきて、「思った以上に気持ちが高ぶっていた」。緊張感を持ちながらも、レジーナの10番らしいアグレッシブな姿を見せて、「やっぱり声援の中でプレーできるのは本当に幸せなことでした」と久々にEピースのピッチで浴びた声援を噛み締めていた。
試合は得点が遠いまま、0-1で敗れた。広島は千葉のプレッシャーに押されて攻守にアグレッシブさを欠き、攻め急ぐシーンも多く技術や連携のところでミスも目立った。約30分プレーした瀧澤は、「今日は特に自分たちが相手の罠にかかりに行っている感じがありました」とピッチ上での感覚を明かし、「点を取りに行きたかったのもあったけど、前がかりになりすぎて、もっと冷静にいくところと強気でいくところを使い分けられたら良かったです」と改善点を口にした。
ホーム復帰戦は悔しい結果に終わったが、瀧澤は「ここで落ちることなく、毎日少しずつでもブレずにやり続けるしかない」と切り替える。この1年間は外から見るしかなかった戦いの日々がまた動き出した。「次に向かってみんなでまた1つになってやっていきたいです」。タイトル獲得のために欠かせないピースが帰ってきた。
ついにカムバックを果たしたが、ピッチで戦い抜くためにはまだまだコンディションを上げないといけない。それも瀧澤にとっては「試合に出ないと、このしんどさは味わえない」とピッチで取り戻した感覚だ。「最後はしんどくても出ながらやり続けないと戻らない部分だと思うので頑張ります」と笑顔の背番号10が完全復活に向けて走りだした。
取材・文=湊昂大

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