2019年の初来日以来、日本の競馬や文化を愛し続けるフランス出身のミカエル・ミシェル騎手(30)。20、24、25年には地方競馬の短期免許を取得し、川崎競馬所属として活躍。

現在は南アフリカを拠点に騎乗し、G1勝利も果たした。そのミシェル騎手に南アフリカの競馬事情、生活、日本への思いを直撃した。

(取材・構成=松井 中央)

 ―南アフリカで騎乗しようと決断した理由は。

 「オーストラリアで騎乗していた時にマシュー・デ・コック調教師に出会いました。その後、彼は故郷の南アフリカに戻ることになり、『いつか遊びに来ないか』と誘ってくれました。昨年の南関東での短期免許期間が終わった際、冬のフランスのレースはあまり盛り上がらないこともあって彼に連絡を取り、南アフリカへ行くことに決めました」

 ―南アフリカの競馬場の特徴は。

 「ほとんどの競馬場が非常に大きく、最後の直線が800~1000メートルもあるので、それに合わせた騎乗が求められます。また短距離戦は最終コーナーの途中からスタートするので浦和競馬場に少し似ています。そのためゲートを素早く出て、いい位置を確保しないといけないです」

 ―最も印象に残っているレースは。

 「やはりスターメジャーとのコンビで初めてG1(デイリーニュース2000)を勝利したことです。勝つチャンスは十分あると思っていましたが、実際にゴール板を過ぎるまでは確信が持てなくて本当に特別な経験でした」

 ―南アフリカでの生活で最も大変だったことは。

 「車を壊され、鞍とバッグを盗まれたことです。

今でもそんなことが実際に起きたなんて信じられないです。盗まれた鞍は多くのレースで勝利を共にした特別なもので、私が見習い騎手だった頃にオリビエ・ペリエ騎手からプレゼントされたものでした」

 ―おいしい食べ物など食生活はどうですか。

 「食事はとてもおいしく、肉の質も高いです。素晴らしいレストランがたくさんあります。海に近いので魚も絶品です。南アフリカには古くから多くのインド系の人々が移住してきたため、食文化が多様で非常に興味深いです。特にカレーとビルトン(干し肉)がお気に入りです」

 ―G1勝ちを含めすでに40勝以上を挙げる活躍。とてもすごいことだと思いますが、技術面、精神面でスキルアップしたと感じるところは。

 「自分自身でも素晴らしい成績だと思います。特にG2を2勝、G1を1勝できたことは本当にうれしいです。様々な国を転戦した経験を通して、自分自身大きく成長できたと感じています。精神的には落ち着きと自信が生まれました。

身体面では標高の高いヨハネスブルグで生活しているおかげで、とてもいいコンディションを保てています」

 ―南関東での騎乗経験が生きているところはありますか。

 「はい。南関東で騎乗した経験は大きな助けになりました。具体的にはゲートの反応が速くなりましたし、身体的にも強くなったと感じます」

 ―騎乗予定だったスターメジャーは回避してしまいましたが、キュリオスガールとのコンビで挑んだ南アフリカ最大のレース、ダーバンジュライ(13着)を振り返って。

 「スターメジャーが体調を崩したと聞いたときは本当に悲しく、胸が痛みましたが、キュリオスガールに騎乗できたことはいい経験になりました。雰囲気は最高でしたし、この経験を糧に来年のダーバンジュライでは勝利をつかみたいと思っています」

 ―現時点での今後のプラン、そして目標は。

 「南アフリカでのシーズンが終わるまでに50勝に到達したいです。7月末には家族に会うためフランスへ帰る予定です。その後はJRAで騎乗したいと願っています。私の最大の夢であり、長年努力を続けてきた理由でもあります。G1勝利という実績が、この夢を叶える助けになればと思っています。南アフリカは11月から再び大きなレースが始まるので10月に戻りシーズンを通して騎乗する予定です」

 ―日本にはミシェル騎手のファンがたくさんいます。

 「世界中のどこへ行っても日本のファンの皆さんが応援してくださることに心から感謝し、幸せを感じています! 大きな支えであり、私にとって本当に意味のあることです。また日本でお会いできるのを楽しみにしています」

川崎は第二の故郷といってもいいほど大好きな街

 ミシェル騎手は2020年1月に地方競馬の短期免許を初めて取得。川崎競馬所属として約3か月間の期間中に30勝を挙げ、外国人騎手の短期免許期間中の最多勝記録を更新した。その後はコロナ禍の影響で来日がかなわなかったが、24年秋に約4年半ぶりに短期免許を取得して17勝を挙げ、翌25年秋も来日して10勝をマークした。ミシェルは「来シーズンの計画などを立てている途中で未定ではあるけど、川崎はとても住みやすく、第二の故郷といってもいいほど大好きな街です。日本のレースの雰囲気が恋しいです」と再来日へ意欲を見せた。

 ミカエル・ミシェル 1995年7月15日、フランス・イエール生まれ。30歳。2018年に女性騎手として初めてフランスの開催リーディングを獲得。19月8月に札幌競馬場で行われたWASJで初来日し3位。20、24、25年に地方競馬の短期免許を取得。南関東で騎乗し通算57勝をマーク。

158センチ、48キロ。好きな食べ物は餃子とイチゴ。

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