午(うま)年企画「馬さんぽ」夏のスペシャル版は、5月16日に東京競馬場で誘導馬デビューを果たしたダノンベルーガを取り上げます。ドウデュース、イクイノックスと同世代で日本ダービーでは1番人気に推された同馬が、新たなステージでも輝いている。

 偉大な同期たちに負けじと、第2の馬生で非凡な才能を見せている。ダノンベルーガは昨年12月に引退し、東京競馬場の乗馬センターに移動。誘導馬としてのトレーニングを積み、今年5月16日にデビューを迎えた。「ものすごくおとなしいし賢いですよ。すぐいろんな事を覚えてくれるし。初めて誘導にいった日だけはピリッとしたけど、走らなくていいと分かったらすぐノンビリとして」と担当する東京競馬場業務課の吉田誠さんは目を細める。「今まで見てきた馬で一番賢いんじゃないかな」。馬に携わって30年余りのベテランも、その性格面の良さを絶賛する。

 走るために訪れていた競馬場。レースの記憶が残る馬の多くが、最初はなかなかおとなしくしていられないという。「やっぱり競走馬と誘導馬はやることが正反対じゃないですか? 地下馬道を歩くと、これからレースだと思って入れ込む馬は多いんですよね」。だが、ベルーガはすぐ順応した。

「訓練の数をこなしてジッとしていることを練習して褒めてあげて…。その繰り返しなんですけど、かなり早く覚えましたね。地下馬道も入れ込んだのは最初だけでした」。記者が頬をなでても全く嫌がるそぶりを見せず、気持ちよさそうに目を細める。その姿にたけだけしい現役時の面影はない。

 競走馬としては21年11月に東京でデビュー。2連勝で共同通信杯を制し、翌年のダービーではドウデュース、イクイノックスを抑えて1番人気にも支持された。ビッグタイトルには手が届かなかったが、注目度は現役を退いた今でも高い。「今年のダービーの日の午前中も誘導をしたんですけど、写真を撮る人はめちゃくちゃ多いですね」と吉田さん。「妹(ボンドガール)が、誘導デビューした次の日(ヴィトクトリアM)に走ったんですよ。そのことをお客さんから言われたりもして。とても人気があるなと実感します」。

特にトレードマークとなっている左目の三白眼をカメラに収めるファンが多いようだ。

 今後はキャリアの幅を広げる可能性もあるという。「今は僕しか乗っていないですが、そのうち少年団だったりも乗れるようになると思いますよ。それだけおとなしいですし。夏は競馬がないので色々訓練やってみて、どうなるかですね」と競技馬術への転身も視野。だが、やはり一番は競馬を盛り上げる使命が大きい。「有名な馬なので、なるべく誘導に使えるようにしていきたいです」。ビッグレースが目白押しの東京競馬場。それを彩る新たな輝きに、今後も目が離せない。(角田 晨)

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