TBS日曜劇場「VIVANT」第2シーズン(日曜・午後9時)が26日にスタートする。続編決定が発表されたのは今から1年以上前となる2025年6月。

異例の年月をかけて宣伝活動が行われてきた。3年ぶりの放送へ向け、長期的なSNS戦略でファンの考察熱を目覚めさせ、MLBとのコラボレーションなど多様な形でプロモーションが行われてきた。そのアピールの裏に、前作超えの使命感を感じさせる。

 今年4月。同局の定例社長会見で龍宝正峰社長は「VIVANT」続編について「満を持して」と表現した。世帯平均視聴率19・6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録した最終回から3年。続編のプロモーションが始まったのは2025年6月11日で、主演の堺雅人が「THE TIME,」(月~金曜・午前5時20分)で続編決定を発表した。当時はまだ放送時期を明言せず、26年中とだけ伝えていた。

 異例の早さで始まった「VIVANT」の宣伝活動。今やドラマと切っては切り離せないツールであるSNSを中心に、多様な形でプロモーションが行われた。25年7月1日に公式SNSが本格的に再始動し、3、4週間おきに風景写真がアップされ、「超親日国だけど、日本人にはあまり知られていない」(福澤克雄監督)という“ヒント”をもとにロケ地の予想合戦がスタートした。同年10月にはNHK「あさイチ」(月~金曜・午前8時15分)に堺がゲスト出演し、「某大型ドラマ」とタイトルを伏せながらも他局で約15分間特集するなど、放送時期が伝えられていない中で立て続けにプロモーションが行われた。

 今年7月からの2クール連続と正式発表されたのは、年が明けて今年3月31日。怒涛の攻勢が始まった。4月29日から6月2日にかけて約35回にわたって登場人物と思われるキャラクターがイラストで公開されたが、説明は一切なく、“意味深投稿”でファンの興味を引き続けた。ネットの世界だけでなく、リアルな交流でもVIVANTファンを喜ばせた。公安・野崎守(阿部寛)の相棒・ドラム(富栄ドラム)が全国の都道府県を回って魅力を発信する企画を実施。今月にはMLBオールスターが開催された米フィラデルフィアに渡って山本由伸選手&村上宗隆選手と対面。まさかのMLBとの“コラボレーション”は意外性のあるPRだった。

 これらの斬新かつグローバルなメディア戦略に、前作超えを目指す意気込みが見て取れる。2023年7月期に放送された前回は役柄やストーリーがベールに包まれた状態で物語が始まった。堺をはじめ阿部寛、二階堂ふみらメインキャストは発表されたが、詳しい内容は明かされないまま。初回放送で堺が商社マン役であることが初めて描かれ、第4話で「もう一つの顔」が明らかになるなど視聴者を何度も驚かせた。

 第2シーズンは、前作のラストシーンで主人公・乃木(堺)の前に、新たなミッションに取りかかる合図である赤い饅頭(まんじゅう)が置かれた直後の場面から幕を開けるという。

ロケ地はアゼルバイジャンやタイだと発表されているが、ストーリーは不明だ。ただ、これまでの物語やキャラクターが分かっている今回は、何も知らされていなかった前回以上に視聴者の期待が膨らんでいるのは間違いない。

 長期的なSNS戦略でコアなファンの考察熱をあおり、異業種とのコラボレーションでこれまで関心のなかった人々にもアピール。“VIVANT熱”を最高潮にして続編を迎えたい狙いが透けて見える。2クール連続のため、もし一度離脱したら半年間、他局に客を奪われることになる。途中からの参戦が難しい考察ものであるうえに、前回の続きである「第11話」からスタート。3年前の視聴者の関心を呼び覚まし、初回で心をつかんでおきたいのだろう。

 日本の連続ドラマとしては、今時珍しい長期に渡る海外ロケを敢行した超大作。前作は初回世帯視聴率こそ11・5%だったが、最終話で近年珍しい高数値を叩き出した。今月1日の会見で龍宝社長は「視聴率は年間のドラマのトップはとらないといけないと思うし、配信に関しては史上最高の数字を獲得することを期待している」と使命感を口にした。放送局の社長が、一番組の視聴率に関してここまで踏み込むのもまれだ。果たして続編は前作を超えるインパクトを残せるのか。

ハードルの上がったVIVANTの、半年間の長い旅が始まる。(小林 静香)

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