◆プロボクシング ▽WBA世界ミニマム級(47・6キロ以下)王座決定戦12回戦 〇石井武志ーウィルフレド・メンデス(2日、横浜BUNTAI)

 WBA世界ミニマム級王座決定戦は、WBA世界同級1位・石井武志(26)=大橋=が、同級2位ウィルフレド・メンデス(29)=プエルトリコ=に勝ち、新王者となった。開始ゴングと同時に猛攻。

左ボディーをねじこみ、グラリとかたむいたメンデスに最後は、右フックが火を噴いた。メンデスはダウン。10カウント内に立ち上がれず終了ゴングが打ち鳴らされた。1回1分5秒、KO勝ちとなった。65秒での世界戦勝利は日本ボクシング史上最速。石井はプロ13戦目の世界初挑戦で、大橋ジムからは6人目の男子世界王者となった。石井の戦績は12勝(9KO)1敗、メンデスは20勝(6KO)4敗2分け。

 試合後の勝利者インタビューで、石井はベルトを右肩に下げ「人生で一番うれしいです! 最高です!」と歓喜の絶叫を上げた。「きょう死んでもいいと思って覚悟を決めてリングにあがった。まだまだ強い選手たちがいっぱいいる。そういう選手たちに挑戦していきたい」とさっそく世界王者としての意気込みもアピールした。

 石井は「やれることは全部やってきたので、何の不安もなく、やってきたことを出すだけ。

熱い試合をしたい」と意気込んでリングに向かった。

 メンデスは元WBO世界同級王者で、これまで世界戦では日本人選手とは2選手と対戦し、21年12月、谷口将隆(ワタナベ)に11回TKO負けし、23年4月には重岡優大(ワタナベ、引退)とWBC世界同級王座決定戦を戦い7回KO負けを喫している。

 元キックボクサーの石井は、福岡・うきは市出身。地元の道場で空手5年、キックボクシングは3年間、励んだ。キックでのプロ戦績は4勝3KO。「K―1に出たかった」ものの、階級が合わずに断念し、ボクシングを始めるために上京。元K―1王者で元WBO世界バンタム級(53・5キロ以下)王者・武居由樹(大橋)が所属していたパワー・オブ・ドリームとのつながりで紹介してもらった大橋ジムの門をたたいた。現在も武居とは週1~2回、マスボクシングなど一緒に練習をして「キックボクサーにしか分からないこともあるので、アドバイスももらっている」という。

 左構えのメンデス対策としてサウスポーとのスパーリングを多くこなしてきたが、一方で積極的に出稽古も。今回は、松本流星(帝拳)が返上して空位となった王座を争ったが、石井は帝拳ジムに足を運んで松本とも実戦練習を行ったという。世界ベルト奪取に向けては、元世界3階級制覇王者の八重樫東トレーナーにも指導を求めた。「好きではなかった」フィジカルトレーニングにも積極的に励んだが、今回と同じWBAのベルトを持っていた八重樫氏の経験値は石井の大きな“武器”となった。

 これで大橋ジムからは川嶋勝重、八重樫東、井上尚弥、井上拓真、武居由樹に続き、6人目の男子世界王者誕生だ。「素晴らしいチャンピオンしかいない。ジムで6人目のチャンピオンになれることを誇りに思う。必ずチャンピオンになりたい」という思いを実現させた石井。今後は防衛を重ねていくことになるが、同じ階級の松本は9月27日にラッセル・アコスタ(27)=メキシコ=とWBO世界同級暫定王座決定戦を行うことが決まった。「僕はミニマム級で強いと言われている選手全員とやりたい」という野望を胸に秘める石井は近い将来、他団体との統一戦へも夢を広げた。

 石井は「ここは夢の舞台で、ど田舎で育って小さい時から身長も常に前で、何の才能も無い人間だったけど、周りの方に支えられて、一つのことをやっていれば夢がかなうことを証明できた」とかみしめていた。

 ◆石井 武志(いしい・たけし)1999年10月26日、福岡・うきは市生まれ。26歳。高校卒業後にプロキックボクサーとなり、大和KICK52・5㌔級王者に。キック戦績は4戦全勝(3KO)。小柄な体に合う階級を求めてボクシングに転向し、前WBO世界バンタム級王者・武居由樹の紹介で21年に大橋ジムに入門。

22年5月、プロデビュー。同年12月、全日本ミニマム級新人王獲得。24年9月、東洋太平洋同級王座獲得。身長156センチの右ボクサーファイター。

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