ゲストは、石橋財団アーティゾン美術館 広報課の宮武麻衣子(みやたけ まいこ)さん。京橋で70年以上の歴史を誇り、2020年に新たに生まれ変わった「アーティゾン美術館」では、20世紀イタリアを代表するデザイナー、エットレ・ソットサスの大回顧展が行われています。

色鮮やかで遊び心たっぷりのソットサス作品は、いまなおデザイン界に絶大な影響力を与えているんだとか。日本随一のコレクションを誇るアーティゾン美術館が満を持して開催する、この夏必見の展覧会についてうかがいます。

東京の中心で「アートの地平」を感じる

西田 アーティゾン美術館は、どちらにあるんでしょうか?

宮武 東京駅からもほど近い、京橋に建つ美術館です。

西田 かつては「ブリヂストン美術館」でしたね。

宮武 1952年開館の「ブリヂストン美術館」が前身で、建て替えを経て2020年に「アーティゾン美術館」として生まれ変わりました。

この夏待望の大回顧展。「アーティゾン美術館」で20世紀イタリ...の画像はこちら >>

西田 「アーティゾン」には、どんな意味が込められているんですか?

宮武 “アート”と“ホライゾン(地平)”を組み合わせた造語です。「時代を切り拓くアートの地平」をみなさまに感じてもらいたいという思いを込めています。

西田 印象派をはじめ、西洋絵画のコレクションが充実していますよね。

宮武 所蔵する約3,000点の作品の礎は、ブリヂストンを創業した石橋正二郎の洋画コレクションです。最近は日本画や現代アートなど、幅広いジャンルの作品を迎え入れています。

西田 東京のど真ん中にある、とても綺麗な美術館という印象です。

宮武 ありがとうございます。京橋は“骨董通り”もあり、もともと骨董品や古道具のお店がたくさんあるエリアです。

近年は、美術館やギャラリーなども増えているんです。

西田 昔の芸術から最新の作品まで。京橋は、いろいろなアートを一日中たのしめる街なんですね。

60年前のデザインがいまなお新しい!?

西田 アーティゾン美術館でこの夏、待望の展覧会を開催するんだとか?

宮武 当館初のデザイン展「エットレ・ソットサス —魔法がはじまるとき、デザインは生まれる」を、6月23日から10月4日まで開催します。

この夏待望の大回顧展。「アーティゾン美術館」で20世紀イタリアデザインを味わう

アーティゾン美術館公式サイトより引用

西田 ソットサスとは、どんな芸術家ですか?

宮武 20世紀のイタリアを代表する、デザイナー・建築家です。いわゆる「ポストモダン」の名手とよく評されます。

西田 「色や形がシンプルで、機能的なデザインがすぐれている」というモダニズムに対して、人々の感性や感覚を呼び戻そうとした先駆者のひとりが、ソットサスですよね。

宮武 おっしゃるとおりです。彼が手がけたタイプライター『ヴァレンタイン』(1968年)には、そうした特徴がよく表れています。

この夏待望の大回顧展。「アーティゾン美術館」で20世紀イタリアデザインを味わう

アーティゾン美術館公式サイトより引用

西田 タイプライターの定番カラーは黒か白という時代に、真っ赤なデザインは革新的です。いま見ても、まったく古さを感じません。

宮武 一台置いてあるだけでオフィスの雰囲気がガラッと変わる鮮やかさですよね。その後、1981年には代表作となる『カールトン』をデザインします。

この夏待望の大回顧展。「アーティゾン美術館」で20世紀イタリアデザインを味わう

アーティゾン美術館公式サイトより引用

西田 色とりどりの直線が組み合わさった棚ですね。大きさはどのくらいですか?

宮武 高さは2メートル弱あり、かなりのサイズです。

この夏待望の大回顧展。「アーティゾン美術館」で20世紀イタリアデザインを味わう

西田 赤、黄、緑......。さまざまな色を使った遊び心たっぷりの作品ですね。

宮武 「シンプルで機能的なデザインこそ至高」という、それ以前の発想を覆した力強さを感じます。展覧会では、このデザインのアクリルスタンドキーホルダーをグッズとして販売するんです。

西田 名作デザインを、バッグにつけて持ち歩けるわけですね(笑)。

「自宅にこんな家具があったら?」を思い浮かべながら......

西田 展覧会のみどころはなんですか?

宮武 日本ではじめてとなるソットサスの大回顧展です。100点以上のソットサス作品を所蔵するアーティゾン美術館だからこそできる展示だと自負しています。

この夏待望の大回顧展。「アーティゾン美術館」で20世紀イタリアデザインを味わう


西田 キャリアの初期から晩年まで、作品が網羅的に展示されていると?

宮武 おっしゃるとおりです。晩年に手がけたガラス作品もたくさん展示していますよ。

西田 彼のデザインの変遷も、しっかり味わえるということですね。

宮武 展示室の設計にもこだわりました。あえて展示室に柱や壁をたくさん設けて、いくつも部屋が並んでいるような空間をつくりだしています。

西田 ソットサスがデザインした家具が、部屋のインテリアとして使われている様子を想像できると。彼のデザインの色褪せなさを体感できそうです。

宮武 “20世紀のデザイン”と聞くと古びたものに感じるかもしれません。ですが、ソットサスは今もなお、プロダクトデザインの世界に絶大な影響力を与えています。

西田 家具はふだん使うものだから、わたしたちの暮らしに溶け込んでいる芸術作品ですね。

宮武 「自宅にこんな家具があったらどうかな?」と思い浮かべながら展示をたのしんでもらいたいです。この夏、ぜひ足を運んでください!

この夏待望の大回顧展。「アーティゾン美術館」で20世紀イタリアデザインを味わう

(TBSラジオ『見事なお仕事』より抜粋)

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