先週の日経平均株価は前週末比4,416円安と大幅下落しました。短期的な調整色が強まる一方、週足チャートでも13週移動平均線を割り込み、中長期の上昇トレンドが継続するかどうかの分岐点に差し掛かっています。
週末の株価急落で印象が良くない先週の国内株市場
先週末17日(金)の日経平均株価は6万4,141円で取引を終え、前週末の終値(6万8,557円)からは4,416円安の大幅下落となりました。
<図1>日経平均の5分足チャート(2026年7月13日~7月17日)
図1は先週1週間の日経平均の値動きを5分足チャートで捉えたものです。
改めて、先週の値動きを振り返ると、週初の13日(月)から週半ばの15日(水)にかけては、売りに押されながらも、下値で買いが入る動きも見られ、前週末終値(6万8,557円)の株価水準を意識する展開が続いていました。ちなみに、15日(水)の東証株価指数(TOPIX)は高値引けで、この時につけた終値(4,088p)が週間の高値になっています。
ただし、その後は再び売りが優勢となり、週末17日(金)の日経平均は6万2,000円台まで下落する場面を見せるなど、下げ幅が大きくなりました。この日の下げ幅(2,694円)だけで、週間の下げ幅(4,416円)の6割を占めています。
<図2>国内主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年7月17日時点)
また、図2は2025年末を100とした国内主要株価指数(日経平均、TOPIX、東証スタンダード指数、東証グロース市場250指数)のパフォーマンスを比較したものです。
図2でも、週末17日(金)の株価急落が日経平均だけでなく、他の株価指数でも見られた様子が読み取れますが、6月以降に下値を切り上げてきたTOPIXや東証スタンダード指数が崩れてしまったことで、下方向への意識が強まっていることが少し気掛かりです。
分岐点に差し掛かる中長期の上昇トレンド
では、先週の値動きによって、日経平均のトレンドにどんな影響があり、変化が生じているのかについて、もう少し細かく見ていきます。
まずは、短期のトレンドから確認していきます。
<図3>日経平均(日足)の多重移動平均線とMACD(2026年7月17日時点)
図3は、日経平均の日足チャートに多重移動平均線を描き、下段にMACDを示したものになります。
図3は前回のレポートでも紹介し、株価が多重移動平均線の束を下抜けた後の値動きのシナリオについて考察しました。
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具体的には、2026年3月~4月にかけて見られた、「しばらく下値を探る動きが続く」シナリオと、2025年11月下旬から12月半ばにかけて見られた、「下値も堅いが上値も重たい」シナリオの2つです。
週の半ばまでは想定通りの展開でしたが、先週末の株価急落によって、MACDが0円ラインを下抜けてしまったことや、直近の高値(6月22日の7万2,831円)から、調整局面入りの目安となる「10%押し」の水準も下回ってしまったことで、短期的には下落トレンド入りしていると見ることができます。そのため、目先は下値を探る展開に備えておく必要がありそうです。
とはいえ、ここ2~3年の相場は「崩れかかっても、早い段階で持ち直して高値を更新していく」パターンが繰り返されてきただけに、足元の株価下落は押し目買いの好機と判断することも可能です。その場合、株価が底打ちしたタイミングで、中長期的なトレンドが上昇基調を維持しているかどうかを確認していく必要があります。
そこで、週足のチャートも見ていきます。
<図4>日経平均(週足)とMACDの動き(2026年7月17日時点)
図4にもあるように、週足チャートでは、13週・26週・52週の移動平均線が全て上向きの「パーフェクト・オーダー」と呼ばれる形状を保っており、中長期的な上昇トレンドはまだ継続中です。
ただし、先週末17日(金)の株価が13週移動平均線を下抜けて取引を終えているほか、下段のMACDもシグナルを下抜けしつつあるため、上昇トレンドの継続と終焉(しゅうえん)の分岐点に差し掛かろうとしている状況と言えます。
今後の展開を考える上でカギを握るのは13週移動平均線になります。先週末17日(金)の13週移動平均線の値は6万5,283円ですので、今週はこの6万5,000円あたりの株価水準が強く意識されることになりそうです。
もちろん、目先の株価がこの13週移動平均線を下放れする場面もあるかと思われますが、13週移動平均線が上向きを維持し、早い段階で株価が13週移動平均線よりも上の位置を回復できるのであれば、上昇基調が続く見通しが強まることになります。反対に、13週移動平均線の傾きが下向きに転じてしまった場合には注意が必要ということになります。
移動平均線の傾きが上方向をキープするには、新たに移動平均線の計算に加わる株価が、計算から抜けていく株価よりも高い必要があります。日経平均の13週移動平均線で見た場合、今週の株価が13週間前(4月24日)の株価(5万9,716円)を上回っていれば移動平均線は上向きを継続できることになります。
今週の注目材料は?
こうした状況下で迎える今週の株式市場ですが、国内では3連休明けで4営業日となる中、6月分の貿易統計や消費者物価指数(CPI)、米国では住宅関連の経済指標(6月新築住宅販売)などの公表が予定されています。
ただ、来週に控えている金融政策イベント(日本銀行金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC))を前に、重要度の高い経済指標(消費者物価指数など)はすでに先週のうちに公表されているため、金融政策をめぐっては経済指標よりも足元で緊張感が高まっている中東情勢の動向に左右されやすくなりそうです。
また、企業決算面でも、国内ではディスコ(6146)や信越化学(4063)、米国ではIBM(IBM)やアルファベット(GOOG、GOOGL)、インテル(INTC)などが注目されそうです。
しかし、こちらもハイパースケーラーの決算が出揃う来週に視点が向かっていることや、先週に決算を発表した蘭ASMLと台湾TSMCが好業績だったにもかかわらず、株式市場の反応はイマイチだったことから、それだけ市場の期待値が高かった点には留意しておく必要があります。
また、AI・半導体関連銘柄については、先週から浮上してきた中国絡みの材料も影響しそうです。
先週16日(木)に中国の新興AI企業「月之暗面(Moonshot AI)」が発表したAI新モデル「Kimi K3」が、米企業のAIモデルに匹敵する性能を有していることが話題になったほか、米アップル(AAPL)が高騰するメモリ価格に対応するために、中国のメモリ企業(CXMT社やYMTC社)からの調達を検討していると報じられました。
なお、中国CXMT社は7月27日に上海証券取引所のハイテク企業向け市場「科創板」に上場する予定であることも注目を集めています。
これらの材料は、AI・半導体関連企業の競争激化や、コモディティ化の加速による「利益の圧迫懸念」、「優位性の確保」、「投資の継続力(財務力)」などを意識させ、先週の日米株式市場で関連銘柄が売られる要因のひとつになりました。
確かに、先週の株価急落の反動もあって、買い戻しが入りやすい状況ではありますが、「積極的に上値を追えるか?」については慎重さが必要です。
中東情勢の不透明感や、AI・半導体関連銘柄の推進力の減退などの相場環境を踏まえると、目先の株価反発が「強気の罠(株価の大幅下落後に急反発を見せ、上昇基調へ転換と思わせながらも、再び下落トレンドに戻ってしまう値動きのパターン)」となる可能性もあり、神経質な相場展開はしばらく続くことになりそうです。
<図5>相場のムードから見た下落トレンドの波とポイント
(土信田 雅之)

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