建設・土木業の業績が好調です。人件費・建設資材の上昇という逆風はありますが、採算割れのムリな受注が減って建設単価が上昇していることから、業績拡大が見込まれます。
半導体・AI関連など業績好調な銘柄群に投資が集中する傾向がありますが、建設・土木など内需関連の好業績企業にも分散投資をしていった方が良いと思います。
最高益の建設・土木株を日本株ポートフォリオに少し入れておきたい
建設・土木業に、近年新たにさまざまな需要増加要因が出てきています。
【1】国土強靭化
政府が推進している「国土強靭化(きょうじんか)」は、これまではインフラの老朽化対策が中心でした。今後は「防災」のための土木工事が増えそうです。スーパー台風や線状降水帯の頻発により、護岸強化や斜面安定化工事が必須となりつつあります。
夏のゲリラ豪雨や大型台風によって河川の氾濫や堤防の決壊などが懸念される地域が各地に残っています。地震や津波に対する備えもまだ十分ではありません。また、橋梁(きょうりょう)、トンネル、ダムや、水道管など老朽化した社会インフラのリニューアルも必要です。
予算の制約で全てに手をつけられないと思いますが、それでも関連の土木事業はこれから長伸が期待されます。
【2】データセンター建設
各地でデータセンター建設が進んでいます。電気を大量に消費するので、電気工事や冷却設備設置の仕事が増えています。
【3】原発再稼働
原発再稼働にともない、原発関連の仕事も増えています。
こうした中、純利益で最高益を更新していく見込みの建設・土木株を、日本株ポートフォリオに少し入れておきたいと思います。
<建設・土木、投資の参考銘柄、6月17日時点の投資指標>
日本の建設・土木業は、世界でもトップクラスの技術を有します。ただし、業者数が多いので、投資候補を選ぶ際には差別化された技術を持つことを重視しました。
株価がやや割安で、配当利回りの高めな銘柄が多いのも投資対象としての魅力を高めています。
【1】大手ゼネコン:清水建設・鹿島
建設・土木のあらゆる分野で、差別化された技術を有します。データセンター建設や原発再稼働においても、熟練のノウハウが生きます。近年は、人手不足に対応して、建設ロボット(フィジカルAI)活用を積極的に行っています。フィジカルAI関連として注目されることもあります。
【2】橋梁補修:ショーボンドHD
全国で老朽化した橋梁や、高速道路の補修需要が増えています。中長期で、緩やかな業績拡大が続くと期待されます。
【3】海上土木:五洋建設
海上土木は、羽田空港の沖合拡張プロジェクトが終わってから、需要が低迷していましたが、近年新たに需要が増える兆しがあります。
高度経済成長期に建設された港湾施設や防波堤の老朽化が深刻であり、これらを「長寿命化」させる大規模な補修・補強工事が、今後数十年続く安定的な需要となる見込みです。
五洋建設は、河川補修でも強みを発揮しています。異常気象による河川氾濫を防ぐため、河床を掘り下げて流下能力を高める「しゅんせつ工事」や、堤防の強化工事を各地で手掛けています。自社で「大型作業船(SEP船やしゅんせつ船など)」を保有している強みが生かされています。
【4】電気工事:関電工・きんでん
データセンター建設において、中核的役割を果たします。大手ゼネコンは箱(建物)をつくりますが、電気工事会社は、より付加価値の高い心臓部分をつくります。電気設備工事に加えて、サーバーを冷やすための設備がデータセンターにおいて重要です。
【5】プラント専業:太平電業
太平電業は原発の心臓部(機器、配管、電気計装)の据付やメンテナンスを担う、原発再稼働で重要な役割を果たす企業です。
原発は巨大なプラントであり、原子炉本体やタービン、冷却系統の配管など、精密かつ高度な施工技術が求められます。太平電業は長年、電力会社(特に東電系など)との強固な信頼関係のもと、原発の建設から定期点検、メンテナンスまでを一貫して請け負ってきました。
近年、原発の再稼働に向けた「新規制基準」への適合工事(防潮堤の建設、緊急時対策所の整備、配管の補強など)が各地で実施されています。これらの現場でも、太平電業は欠かせない存在となっています。
バブル崩壊を経て復活した日本の大手ゼネコン
以下、ご参考まで、ゼネコン株の過去約30年の推移を簡単にレビューします。まず、建設業株価指数の推移をご覧ください。
<東証プライム・建設業株価指数の月次推移:1995年~2026年6月(17日まで)>
【1】1990年代:バブル崩壊期
大手ゼネコン株は、1980年代後半、不動産・建設バブルで高騰しました。1990年代に入ってからは、バブル崩壊で暴落しました。1980年代後半に、ゴルフ場への投資を膨らませた建設・土木業は、1990年代は、財務内容が悪化し、破綻も増えました。
1995年に阪神淡路大震災が起こった時、復興需要が出る思惑で、一時株価が上がりましたが、すぐにまた急落に転じました。不動産・建設バブル崩壊の影響は2000年代初頭まで続きました。
【2】2007年ミニバブルで復活、ミニバブルはすぐに崩壊
2003年を過ぎ、建設・不動産バブルの処理が終わると、建設業の株価はようやく底打ちしました。2007年の「不動産ミニバブル」に向けて、再び、株価上昇が続きました。
ところが、2007年のミニバブルは、2008年にリーマンショックが起こると、あえなく崩壊しました。
【3】アベノミクスで復活
2013年、アベノミクスがスタートすると、建設株は次のブームを迎えます。「アベノミクスの3本の矢(三つの基本戦略)」の2本目に、「機動的な財政」が挙げられ、10兆円の公共投資が発動されました。不動産価格も底打ち、民間の建設ブームも復活しました。
そのうち東京オリンピック、リニア新幹線、国土強靭化政策などのプロジェクトがスタートし、建設業界は活況に沸きました。ただし、2013~2014年は、過当競争体質が変わらず、採算無視の受注が多かったため、建設業界は「利益なき繁忙」に陥りました。
やがて、人手不足から施工能力に限界が生じ、ゼネコンは選別受注を始めました。そこから、建設粗利が改善し、建設会社の利益拡大が進みました。2014年ころから「利益なき繁忙」が終わり、「利益拡大をともなう繁忙」に変わりました。
2014年4月に消費税が引き上げられましたが、その時、「消費税引き上げを下請けに転嫁するのは禁止」と政府から指示が出ました。公共投資について、あまり厳しく競争入札を実施して、価格を下げさせてはいけないとする風潮が広がりました。その後、公共投資の受注採算も改善しました。
こうして大手ゼネコンは軒並み最高益を更新しました。
- 建設業界に不正建築が次々と見つかったこと
- リニア新幹線で談合問題が起きたこと
- 東京オリンピックや、豊洲(築地新市場)関連の工事で価格が高過ぎると問題視する動きが広がり、一部価格の引き下げもあったこと
こうしたニュースフローが、ゼネコン業界にネガティブに響きました。
【4】2020年コロナショックとその後の回復・成長
2020年コロナショックによる建設工事遅延で、大手ゼネコンの業績は軒並み悪化しました。ただし、そこから建設・土木業の復活が始まりました。人件費・建設資材価格の高騰というマイナス要因はありますが、建設単価の上昇によってカバーして、業績拡大が続いています。
「超」成長株の見つけ方
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(窪田 真之)

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