「よくこう聞かれる。『株式市場では何をすべきですか』と。
もし日本が自由市場に未来を委ねていれば、とっくにこの苦境から抜け出せていたはずだ
日本銀行が約31年ぶりの水準まで利上げした。日銀が利上げしても円は買われなかった。引き締めサイクル的な連続利上げはないからだ。市場から催促されないと利上げしないというビハインド・ザ・カーブだ。いずれにせよ、利上げで円安を止めることができていない。
ドル円(日足)
ユーロ円(日足)
ポンド円(日足)
豪ドル円(日足)
メキシコペソ円(日足)
南アランド円(日足)
「1%の金利では状況は変わらないだろう。債券市場と為替相場を現在の水準に維持するには、日銀による継続的な支援が必要となる。日本は、過去35年間に西側諸国が試みたあらゆる愚かな中央銀行政策の先駆けとなってきた。
そのすべては、プラザ合意後のホットマネー流入により市場が崩壊した1991年に始まった。もし日本が自由市場に未来を委ねていれば、とっくにこの苦境から抜け出せていたはずだ。その代わりに、次から次へと政策を試行錯誤し、35年を浪費した……歴史上最大の世界的なバブルを生み出す一助となりながら、ほぼ2世代を無駄にしたのだ。この事態の終結は、ベルリンの壁の崩壊よりも重要な意味を持つことになるだろう」
出所:Bogachan Ozdemir
「財政支配」の中では金融政策は効かないのである。日銀は以下のようなジレンマに悩まされている。
- 利上げのジレンマ:金利を上げると政府の国債利払い費が急増し、国家財政が破綻の危機にひんしてしまいます。財政への従属:そのため、中央銀行は実質的に低金利政策を維持したり、国債を買い支えたりせざるを得なくなる。
- 終わらないマネー印刷:放漫な財政政策をとる国は、借金を目減りさせるためにインフレ(通貨の価値低下)を頼る傾向がある。
- インフレ抑制の限界:過去(1970年代など)のように高い金利でインフレを抑え込もうとすれば、現在の巨額な政府債務では財政赤字が爆発してしまうため、中央銀行は強力な利上げに踏み切れない。
- 金利の制約:政府が財政規律を失うと、中央銀行は独立性を保てず、金融政策の自由度が奪われる。
「財政支配」とは、政府の財政赤字が拡大し、中央銀行が国債の引き受けや大量購入を強いられることで、金融政策が財政に従属してしまう状態を指す。この財政支配(フィスカル・ドミナンス)が現代の中央銀行を大きく縛り付けており、インフレと資産価格の上昇をもたらす根本的な原因である。
現在の状況は18世紀初頭にフランスで起きた「ミシシッピ・バブル」のひな形に酷似している。通貨インフレと資産投機を組み合わせて富の効果を偽造したが、国家による過剰な通貨発行は最終的に破綻の歴史をたどった。
中央銀行による過剰な流動性供給(金融緩和)や財政拡大によって、企業の業績や実体経済の成長がないままに資産価格だけがつり上げられている状態で「カジノ化」した上昇相場では、投資家は本来の企業価値よりも投機的な熱狂やマネーゲームに依存するようになり、市場のボラティリティ(価格変動)が非常に大きくなる。
「仮想的な富の効果」とは、金融緩和や財政出動によって生み出されたバブル相場において、実体経済の成長を伴わずに資産価格(株価など)が上昇し、投資家や市場が一時的な錯覚によって浮遊感を抱く現象だ。
日経平均CFD(日足)
TOPIXCFD(日足)
ケビン・ウォーシュ新FRB議長の初の記者会見は、かなりタカ派的だった
米国の米連邦準備制度理事会(FRB)は昨日、金利を据え置いた。新FRB議長のウォーシュは、FRBの金融政策の運営方法と情報発信のあり方を抜本的に見直す野心的な改革に着手すると表明した。
ウォーシュは今後6カ月間、これまで通り米連邦公開市場委員会(FOMC)委員18名が示したドットプロットを発表するが、来年からはカンファレンスもせずドットプロット発表もなく、完全に新しい方法で金利を決定すると述べた。
ウォーシュは多くの伝統的な経済指標の有用性を疑問視し、公式データの多くが過去の経済を反映していると述べ、FEDはリアルタイムで現在の状況を捉えるツールにより焦点を当てるべきだと語った。
ドットプロットを出さなかったのが自分自身だったことを告白し、将来予測が廃止される可能性があると述べた。ウォーシュは市場と話すことを減らし、データにより焦点を当てることを明確にした。
ウォーシュ新FRB議長の初の記者会見は、かなりタカ派的だった。少なくとも、次の危機が来るまでタカ派を続けるだろう。しかし、まともなウォーシュFRB議長であっても、危機が起こりもし何か対策を取るとすれば、それは彼の意にそぐわない紙幣の増刷だけだろう。
現在の市場は、中央銀行が巨額の政府債務に左右される「財政支配(フィスカル・ドミナンス)」の状態にある。このため、米国も日本も金利を大きく引き上げることができない。今、中央銀行は物価の安定やインフレ抑制よりも、政府の財政破綻を防ぐことを重視せざるを得ないのだ。
S&P500CFD(日足)
NYダウCFD(日足)
ナスダック100CFD(日足)
ウォーシュのタカ派な姿勢を受けて、株式市場は下落した。金利上昇に敏感な貴金属市場も急落した。シルバーが6.81%下落、ゴールドが3.37%下落、プラチナが3.16%下落、パラジウムが5.35%下落と流動性が急速に失われた。うわさではファンドがマージンコール(強制決済)に追い込まれたようだ。
ゴールドCFD(日足)
シルバーCFD(日足)
ビットコイン(日足)
元ブラックロックのファンドマネージャー、エド・ダウドが面白いことを言っている。
ドルインデックスCFD(日足)「我々はドルの隠れた強気相場の中にいる。しかし悪いニュースは、新しい通貨システムが到来しているということだ。私は常に、ドルは上昇しながら失敗するだろうという意見だった。そして彼らがリセットするのだ。
ドルシステムは、絶え間ない信用創造のために設計されている。そして簡単に言えば、より多くの信用創造はドル安、少ない信用創造はドル高だ。だから脱ドル化は、実は短期的にドルにとって強気なのだ。なぜなら常にドル流動性を求める人々が殺到するからだ。もしドルがあまりにも速く、急激に上昇すれば、他の国々を締め付け、深刻な経済的苦痛を引き起こす。ドルはまさに金融兵器であり、そのように使われている。だから良いニュースは、ドルが当分消えることはないだろうということだ。悪いニュースは、新しい通貨システムが到来しているということだ。いつになるかはわからないが、それはゴールドに関わるだろう。なぜならシグナルがゴールドに関わるからだ。中央銀行がゴールドを買い入れている…そして商業銀行がゴールドを買い入れているのは、彼らがそれを再び一次資本としたからだ。それは本質的に、ゴールドからお金を作り出す能力だ。だから私は長期的にドルに強気だ。チャートが崩れるのを見るまでは。そしてまだ崩れていない。だから人々が私に尋ねてくるんだ。株式市場で何をすべきか?って。私は言う。現金に一部のお金を移せ、と。彼らは言う、でもインフレが私を殺しているよ。まあ、インフレはあなたを殺しているかもしれないが、もし株式市場が50%下落したら、あなたの現金は…ずっとマシだよ」
マーク・ファーバーも同じことを言っている。ファーバーは、現在の状況で分散投資を行い、巨大なリスクを避けることを強く勧めている。ほぼ全員が株式、不動産、収集品に殺到しており、低リターンの現金は群衆から愛されずに取り残されている。
この事実こそが、現金を今まさに興味深いものにしている。
「誰もが次のバブルを追いかける時、現金が王様だ」
(マーク・ファーバー)
いずれにせよ、株式市場で長期にわたり収益を上げるには、市場にとどまらないといけないということだ。
中央銀行による過剰な流動性供給(金融緩和)や財政拡大によって、企業の業績や実体経済の成長がないままに資産価格だけがつり上げられている状態で「カジノ化」した上昇相場では、投資家は本来の企業価値よりも投機的な熱狂やマネーゲームに依存するようになり、市場のボラティリティ(価格変動)が非常に大きくなる。
こうした状況で大きくレバレッジをかけた取引をおこなっていると、市場から退場命令をくらうことになる。
6月17日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」
6月17日のラジオNIKKEI「楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー」は、愛宕伸康さん(楽天証券経済研究所 所長兼チーフエコノミスト)をゲストにお招きして、「日銀の内情と金融政策に対する本音」を聞いてみました。ぜひ、ご視聴ください。
ラジオNIKKEIの番組ホームページ から出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。
6月17日:楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー
<セミナーのお知らせ>2026年6月27日(土)楽天証券 為替・経済アカデミー名古屋
2026年6月27日(土)10:30~15:20
募集は締め切られました。オンラインで、ぜひ、ご参加ください。
(石原 順)

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