日経平均株価がついに7万円を超えてきて、活況な日本の株式市場は投資家たちの資産を増やすことに役立っています。ただ長らく日本株式市場への期待値は海外株式市場に比べると低い傾向にあり、その上昇に懐疑的な人も少なくないでしょう。
お悩み
投資している商品が高値を更新しているが上がりすぎている気がする
田中敏昭さん(仮名)・会社員・35歳男性(共働き、子どもはいない)
田中さんが投資を始めて3年ほどの月日がたちました。始めはNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で積立投資をすることから始めて、徐々に個別株式への投資など対象を広げていきました。
まだ資産形成の段階という意識と、今は共働きだけど子どもができたら妻はしばらく専業主婦として過ごしたいという希望も聞いていたので、投資よりも貯金の方を重視していました。当初はほとんど気にもとめない金額でしたが、積み立てている金額もだいぶ増えてきて株式投資でも順調に資産を増やすことができていました。
順調に資産が増えていることはうれしかったのですが、株価がどんどん上がっていく中で、さすがに上がりすぎではないかと感じるようになりました。その中で妻の妊娠が分かり、今後のことを考えて引っ越しを検討するなど大きな費用がかかる予定ができたので、いったん資産運用をやめようかと考えています。
ただ株価も高値更新をしてきて、せっかく資産を増やすことができたのに運用をやめることにも抵抗があります。
田中さんのように保有商品が高値更新した時には、どんな考えで投資判断をするべきでしょうか?
保有商品の高値更新は歓迎するべきだが、その後の投資判断は?
保有商品が高値を更新する時は、自分の資産が一段と増えていることですからいつでも歓迎するべきですが、その後の投資判断は投資家の状況や保有商品によっても変わります。正解は一つではありませんし、結果的には資産が一番増えた選択肢が最も良かったといえるかもしれません。
しかし、増えた資産はそのままずっと運用できるかというと、そうはいきません。資産形成をしている現役世代では、何かとライフイベントによる支出が増えていくものです。運用資金を取り崩さずに支出の資金を捻出できれば良いのですが、そうはいかない時もあります。
使う予定のない余裕資金での運用であればそのまま運用を継続できるはずですが、投資した商品が高値を更新していると「せっかく上昇した価格が下がったらどうしよう」と、早く利益を確定したくなるのも心情です。
そこで今回は、保有商品が高値更新した時の投資判断について、考え方の参考事例をご紹介したいと思います。
保有商品の高値更新時の参考事例1:株式投資系の投資信託が高値更新している時
投資信託はそもそも分散投資を行っている商品ですから、個別株式投資に比べると日々の値動きはかなり抑えられています。初心者でも投資をしやすいのが投資信託の利点でもありますが、もちろん投資経験がしっかりある方でも利用している商品です。
最近ではNISAを利用した積立投資で株式インデックスファンドを長期投資目的で定期購入している人が増え続けていますが、株式相場の変動を見ながらスポットで購入し、短期的な売買利益を得ようとする人もたくさんいます。
長期投資で積み立てをしているなら、価格が高値更新しようとも、何か支出でお金が必要ではない限りは対応する必要はないでしょう。機械的に投資をすることが大切な運用なので。
スポット購入で短期投資をしているなら、利益幅の目安をつけておくこと、そしてもし価格が調整して下落してしまった場合には、損切り(ロスカット)の水準もあらかじめ検討しておくことが重要となるでしょう。
もし何かの支出でお金が入り用であるならば、必要な金額を早めに現金化しておくことがおすすめですが、投資信託なら分散投資されているので慌てることはないかと思います。ただし一度全部を売却してしまうと、心理的に改めて投資をする時には以前よりも安い価格でないと損をしている気持ちになりやすいので、一定金額は投資を続けておく方が良いでしょう。
参考事例2:個別銘柄の株式が高値を更新している時
個別銘柄が高値を更新をしている場合には、その価格変動の大きさや、スピードに注意が必要です。投資先が分散されている投資信託であれば一日で5%も値動きがあることはあまりありませんが、個別銘柄であれば決算など何か重要な情報がでてくれば、10%や20%動いても珍しくありません。
保有の個別銘柄が高値を更新をしている時、それが値上がりする前から持っているのか、それとも株価が上昇する中で、短期的な利益目的で投資したのかによっても判断は変わってきます。
基本的には高値を更新をするような銘柄で、業績面などのファンダメンタルズの裏付けもあるのなら、できるだけ継続保有をしておきたいものです。逆に短期的なトレンドを狙った投資なら、テクニカルな側面から判断する方が良いでしょうが、外部要因などで大きく変動するため欲をかかない方が良いでしょう。
高値更新時にいつまで上昇するかは分かりません。切りのいい数字で止まる気もしますが結果論に過ぎず、上がるところまで上がり、その後下がることで結果的にここが新しい高値だと分かるのだと思います。投資判断としてはスタートする時にどんな投資目的で、投資期間をイメージしていたかが重要で、相場環境によってそれがぶれないことが大切だと思います。
参考事例3:投資したい投資信託や株式が高値更新している時
高値更新中の商品や株式をみると、少し下がったタイミングで投資したい!と考えたことはないでしょうか? 投資をする時にはできるだけ安い価格で投資したいと考える一方で、上昇の波に乗り遅れないように早く買っておきたいという気持ちにはなったことがないでしょうか?
個人的に高値更新中に買い付けをすることはほとんどしないのですが、お客さまからご要望があった際には、投資信託か個別株式か、短期投資なのか中長期目線の投資なのかによって、お伝えするアドバイスも変わってきます。
ただどちらにせよ投資金額を一括で買うのではなく、買い付けのタイミングを分散することをおすすめしています。分散しすぎてまったく買い付けできないと問題ですが、ピンポイントで購入するのは不確定要素が大きすぎます。
中長期の投資であれば慌てて投資する必要はありませんので、今回のタイミングを逃したなら、また次のタイミングを待つぐらいの気持ちでいた方が良いでしょう。特に個別銘柄では、高値更新後に大きく下落して調整すると、評価損が心理的な重しになってしまいます。
資産形成はできるだけ市場に残り続けることが大切
資産形成の段階では、まだ投資元本が多くないことから、投資先には株式投資を選択することが理にかなっているでしょう。多くの人がNISAで積立投資を機械的に行っていることから、株式相場の状況を見て売買をするというよりは、ただ市場の波に乗っているといえます。売買を繰り返すよりも、その方が失敗も少ないのではないかと思います。
ただ株式相場は日々変動しており、注目される情報もどんどん変わっていきます。一度株式市場から離れてしまうと、自分の資産への関係性が薄れてしまうことから情報への感応度も下がりやすく、また投資を再開しようとしても、せっかくの投資経験や知識がなくなってしまうことも考えられます。
常に相場には一定の資産を置くことで、自分事として情報をキャッチしやすくなり、金融リテラシーを高めることにも役立ってくれるでしょう。
【動画で解説!】
楽天証券「 トウシルの公式YouTubeチャンネル 」では、同筆者が執筆した「やってはいけない資産形成」のコラムを動画で視聴できます。
(西崎努)

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