先週の国内株市場は、AI・半導体株の売買が交錯し荒い値動きとなったものの、グロースからバリューへのシフトなどの「循環物色」が支えとなり、日経平均・TOPIXは上昇しました。今週は、オプションSQや国内企業の決算発表、米FOMC議事録の公開など、注目イベントが多く、材料の組み合わせ次第で株価が上下に振れる神経質な展開が見込まれます。


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【今週の日本株】AI・半導体に暗雲?…循環物色すすむ相場の「注目イベント」を整理
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先週の日本株:「循環物色」の支援で上昇

 7月相場入りとなった先週末3日(金)の日経平均株価ですが、6万9,744円で取引を終えました。


 前週末の終値6万9,360円からは384円(0.55%)上昇の小幅高にとどまりましたが、1週間の株価の推移を追っていくと、前週と同様に、値幅(高値と安値の差)が4,000円を超える荒い値動きとなりました。


<図1>日経平均の5分足チャート(2026年6月29日~7月3日)
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出所:MARKETSPEEDII

 図1は、先週1週間の日経平均の値動きを5分足チャートで示したものですが、株価の上げ下げが慌ただしかった様子が読み取れます。


 相場の牽引役であるAI・半導体関連株への買いと売りが入り乱れていることが影響していますが、7月3日公開「3分でわかる!今日の投資戦略」のレポートでも指摘したように、「グロース株からバリュー株への買い」と、「AI・半導体関連銘柄内での資金移動」による、2つの「循環物色」が相場を支える格好となりました。


▼あわせて読みたい

2026年7月3日: 2026年後半の日本株戦略:AI半導体の押し目買いと割安株妙味。「循環物色」を考えよう(土信田雅之)


 とりわけ、前者のバリュー株に買いが向かったことについては、東証株価指数(TOPIX)の値動きを見ても感じ取ることができます。


<図2>TOPIXの5分足チャート(2026年6月29日~7月3日)
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出所:MARKETSPEEDII

 図2は、先週1週間のTOPIXの5分足チャートですが、図1の日経平均のチャートとは異なり、TOPIXは株価の上げ下げを繰り返しながらも、右肩上がりの上昇基調を続けていたことが分かります。


 実際に、先週末3日(金)のTOPIX終値は4,064pで、前週末の3,963pからは101p(2.54%)の上昇となっただけでなく、この3日(金)の終値は週間の高値でもあります。


 さらに、日経平均の寄与度ランキングからも、バリュー株が優位だったことが把握できます。


<図3>週間の日経平均寄与度ランキングの状況

■日経平均の週間上昇幅:384円(6月26日と7月3日の終値比較)


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出所:MARKETSPEEDIIデータおよび日経平均プロフィル公表の係数・除数を基に作成

 図3は、日経平均構成銘柄における、先週1週間の指数寄与度のランキングです。


 京セラ(6971)や太陽誘電(6976)、ファナック(6954)、SCREENホールディングス(7735)などが上昇寄与度に名を連ねる一方、アドバンテスト(6857)やキオクシアホールディングス(285A)、フジクラ(5803)、ソフトバンクグループ(9984)、イビデン(4062)などが下落寄与度の上位にランクインしており、AI・半導体関連銘柄の中でも株価の騰落が分かれています。


 また、上昇した銘柄数(179銘柄)が下落銘柄数(45銘柄)を圧倒しており、「指数寄与度は大きくなくても、多くの銘柄が上昇したことによって、日経平均がプラスを維持した」ことが読み取れます。


今週の見通し:注目イベント多く、読みにくい相場展開

 そんな中で迎える今週の株式市場も、基本的には循環物色が相場を支える構図が続きそうです。今週の予定を確認すると、意外と注目イベントが多く、株価の振れ幅が大きくなりやすい状況も引き継ぐことになりそうです。


 まず、需給面では、週末の10日(金)が国内株価指数のミニ先物およびオプション取引のSQが控えていることや、株価指数に連動する上場投資信託(ETF)の決算に伴う、分配金を捻出するための売りも想定されます。


 また、国内の企業決算では、ファーストリテイリング(9983)やセブン&アイホールディングス(3382)、イオン(8267)、良品計画(7453)などの消費関連企業のほか、安川電機(6506)なども決算を発表する予定です。


 とりわけ、安川電機は、いわゆる「フィジカルAI」関連銘柄でもあり、同社の決算内容次第では、AI・半導体関連銘柄の動きにも影響を与えることが考えられます。


 さらに、経済指標関連については、国内の景気ウォッチャー調査(6月分)をはじめ、米国では6月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録の公開や6月ISM非製造業景況指数が公表されます。


 中国でも6月分の物価関連指標(消費者物価指数および生産者物価指数)の公表が予定されているほか、8日(水)には国際通貨基金(IMF)の「世界経済見通し(WEO)」が公表されます。


 これら経済指標の結果をにらみながら、日米の金融政策への思惑も働きやすく、債券利回り(金利)が低下していけば株式市場にとって追い風になります。しかし、反対に金利の高止まり、もしくは上昇基調を強めてしまうと、許容できる株価収益率(PER)も切り上がってこないため、グロース株・バリュー株関係なく、株価の上値が重たくなる可能性があります。


 このほか、地政学リスクにも警戒が必要です。最近になってロシアとウクライナ双方による攻撃が活発化しています。また、今週9日(木)まで行われるイランの故ハメネイ師の国葬が終了した後に、新たな動きが出てくるかも注意しておきたいところです。


材料の組み合わせと日経平均の予想レンジ

 そのため、今週の株式市場は、先ほどまで見てきた材料の組み合わせがカギを握ることになります。好材料が重なれば、株式市場が上値を試す展開が想定される一方、ネガティブな材料が多ければ、株価水準が引き下がる可能性もあります。


 では、仮に株式市場が楽観に傾いた場合の日経平均の上値の目安について考えていきます。


<図4>日経225オプション取引(7月限)のコール買い建玉残高の状況(2026年7月4日NS終了時点)
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出所:Bloombergデータを基に作成

 図4は、日経225オプション取引(7月限)のコール買い建玉残高の状況です。


 現在の株価水準よりも高い権利行使価格の建玉状況を示していますが、前週から目立って増加しているのは、権利行使価格7万2,000円です。その他の権利行使価格については、横ばいか減少しているものが多く、余程の好材料が重なるか、新たな買い材料が出てこない限り、7万2,000円を超えたあたりから上値が重たくなる可能性が高そうです。


 続いて、日経平均の下値についても探っていきたいと思いますが、日足チャートで見た足元の日経平均は下方向への意識が強まりつつある様子が感じとれます。


<図5>日経平均(日足)多重移動平均線とMACDの動き(2026年7月3日時点)
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出所:MARKETSPEEDII

 図5は、日経平均の日足チャートに多重移動平均線を重ねて描き、下段にはMACDを示しています。


 最近の日経平均は6月22日の取引時間中に7万2,831円の高値をつけて以降、上値が切り下がる状況が続き、この高値から「5%押し」あたりのところまで株価水準が切り下がっています。


 また、足元のローソク足は、多重移動平均線の下限の線あたりに位置しており、ここをサポートにできるかが目先の焦点になります。もし、ここを下抜けてしまうと、下段のMACDも下向きとなっているだけに、下値を探る展開になっていくことが考えられます。


 その場合、株価の調整局面入りの目安とされる、「高値から10%押し」の水準である6万5,547円までの範囲内で下げ止まれるかが焦点になります。


 したがって、今週も相場展開が読みにくい状況が続くことになりそうです。今月の半ばから本格化する日米の決算シーズンを前に、相場の基調はまだ上を向いていると思われますが、決算シーズンまでは上値が重たくなりつつあることと、下値の水準が切り下がる可能性が高まっています。


 これらを踏まえると、これまでのような「反発の勢いに乗って、一気に高値を更新する」展開は見込みにくくなっているため、目先の株価の振れ幅(特に株価上昇)に惑わされることなく、冷静な判断が求められる局面であると言えそうです。


(土信田 雅之)

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