2026年の下半期相場となる7月、SOX指数は連日の大幅安、一極集中的に買われてきたAI・半導体株から、出遅れ銘柄への資金シフトが本格化する兆しが見え始めています。中東情勢にも落ち着きがみられ、それに伴う原料高懸念も後退しています。
日経平均株価は一時7万円台乗せも、高値圏で乱高下の動き強まる
6月第2週から7月第1週(6月5日終値~7月3日終値)までの日経平均株価(225種)は4.7%の上昇でした。期間中前半は調整色が強まり、6月11日には一時6万2,335円まで下落しました。ただ、その後は急反発、15日には6万9,682円と6月3日の高値を更新し、翌16日には初の7万円台乗せを達成しました。22日には高値を7万2,831円まで伸ばしています。
7月に入ってやや利食い売りが優勢となっていますが、5月中旬安値、6月安値同様に、25日線割れ後にすかさず下げ渋る状況となっています。なお、6月15日には史上第2位の、25日には史上第4位の上げ幅を記録した一方、8日、23日、26日の下げ幅はそれぞれ下落幅ベスト7に入る水準となっています。
期間中前半は、雇用統計が予想以上の上振れとなったことで、米国の利上げ観測が強まりフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が急落し、東京市場でも人工知能(AI)・半導体関連株に売りが波及しました。また、中東情勢の緊張感があらためて強まったことや、日本銀行の利上げ観測が強まったことなども売り材料視されました。
その後は、トランプ米大統領がイランと戦闘終結で合意したとSNSで発表、ホルムズ海峡開放に伴う原油供給の正常化期待でリスクオンの動きが強まり、日経平均株価も急反発となりました。
6月22日の高値示現後は、非常にボラティリティ(有価証券など価格の変動性)の高い相場展開が続いています。主に、指数寄与度の高いAI・半導体関連株に強弱感が対立し、乱高下の動きが強まっていることが背景となります。とりわけ、韓国半導体株の動向が世界的な関連株の行方を左右しました。
この期間で上昇が目立った銘柄は半導体関連株といえます。SCREENホールディングス(7735)、KOKUSAI ELECTRIC(6525)、SUMCO(3436)、イビデン(4062)、東京エレクトロン(8035)などがそれぞれ20%以上の上昇となっています。
半面、AIインフラ関連で大きく下落するものが目立ちました。武蔵精密工業(7220)が約半値となったほか、日本電波工業(6779)、古河電気工業(5801)、住友電気工業(5802)、MLCC関連の堺化学工業(4078)などが15%以上の下落となっています。また、オープンAIの上場延期観測が伝わり、ソフトバンクグループ(9984)の下げも目立ちました。
AI・半導体株からの資金シフト本格化を想定
7月は海外投資家にとって2026年の下半期相場入りとなります。このタイミングでは、ポートフォリオのリバランス(資産配分の再調整)なども活発に行われると考えられ、物色の変化が生じる局面ともいえます。実際、7月に入って2日間、米SOX指数は6.3%安、5.4%安と大きく下落しています。
一方で、ダウ工業株30種平均はこの2日間底堅い動きになっており、リバランスの動きが強まっている状況と捉えられます。そもそも、AIデータセンター投資の資金の出し手となるハイパースケーラー各社の株価は、総じて6月はさえない推移となっていました。
こうした動きが、今後はAIインフラ関連銘柄や半導体関連銘柄に波及する可能性は高いとみられ、これは日本株にも同様に影響すると考えます。これからは、AI・半導体関連から出遅れ銘柄への資金シフトが本格化していくと想定します。
7月7日には韓国サムスン電子の暫定決算が発表され、四半期ベースで過去最高売り上げとなりました。
さらに7月最終週には国内主力企業の決算発表も第1のピークを迎えます。AI・半導体企業は総じて好決算の発表が見込まれますが、おおむね期待感は織り込まれている印象が強いです。
一方、中東情勢悪化の影響が懸念されてきた景気敏感株などは、想定以上のペースとなっている原油相場の下落から、上方修正などが多く行われる可能性もあるでしょう。今回の4-6月期決算発表は、銘柄リバランスの動きを強めさせるものになると考えます。なお、原油相場の先行きについては、「OPECプラス」の今後の生産目標なども注目されてくるでしょう。
株式市場全般のリスク要因としては長期金利の上昇が挙げられます。7月3日には10年債利回りが一時2.8%超の水準にまで上昇、1997年5月以来の高水準となっています。高市政権の財政拡張的な政策や日銀の利上げ遅れへの警戒から、国内金利の押し上げ圧力は強く、目先は節目の3%台突入なども意識される状況にあります。
日本銀行の早期追加利上げを催促するような展開となる可能性もあるでしょう。
ほか、短期的には、上場投資信託(ETF)分配金捻出のための売り需要発生など需給イベントも控えています。決算日である7月8日および10日の大引けで売り需要が発生するとみられており、それぞれ6,000億円程度、9,000億円程度の売りインパクトになると試算されているようです。
イベント前には先回りの売り圧力が強まる可能性もありますが、逆に、イベント通過後は需給改善への期待が高まる余地もあります。
出遅れ高ROE銘柄などは海外投資家のリバランス買いの対象に
過熱警戒感が依然として拭えないAI・半導体関連株のリバランス売りが今後も続くようであれば、今後、海外投資家が「非AI関連株」に代わる新たな投資対象として何を選ぶのかに関心が向かうでしょう。
この点、投資指標として注目されるのは、海外投資家が重視するとされる「自己資本利益率(ROE)」と考えられます。足元での株価が出遅れている高ROE銘柄などには、今後投資家のリバランス買いによる株価の水準訂正を期待したいところです。
高ROE銘柄は相対的にグロース株が多いとみられ、高配当利回りなどのバリュー株は少ない印象もあります。ただ、実際には高い配当利回り水準の銘柄も多くあります。こうした銘柄群は、今後の株価上昇に伴って割安感が解消(配当利回りが低下)して、バリューから脱却していく銘柄群と捉えられます。
(表)高ROEの出遅れ高配当利回り銘柄 コード 銘柄名 配当
利回り(%) 7月3日
終値(円) 時価総額
(億円) 株価
騰落率(%) ROE (%) 9744 メイテックグループ
ホールディングス 5.77 3,139.0 2,448 ▲4.24 30.9 1878 大東建託 5.30 3,073.0 10,589 ▲17.88 20.5 6417 SANKYO 4.99 1,604.0 3,689 ▲18.48 17.6 1719 安藤ハザマ(安藤・間) 4.65 1,808.0 3,272 ▲10.32 15.7 9434 ソフトバンク 4.21 209.1 100,482 ▲4.43 19.3 注:配当利回りは会社予想ベース
注:株価騰落率は3カ月前比
注:決算期はすべて3月
注:すべてプライム市場上場 銘柄選定の要件
楽天証券のスーパースクリーナーにおいて、上記四つの選定要件で銘柄をスクリーニング。スーパースクリーナーにおける配当利回りはコンセンサス予想であるため、スクリーニングされた銘柄の中において、会社側の配当計画をベースにして新たに配当利回りを算出、4.0%以上の銘柄を選出しています。
厳選・高配当銘柄(5銘柄)
1 メイテックGHD(9744・東証プライム)
技術者派遣大手企業の一角を占めます。機械や電機分野の設計や開発が中心で、エンジニア社員数は1万2,400人強(2026年5月)となっています。業種別売上高では、デンソー(6902)など自動車、三菱重工業(7011)など産業用機器、電気電子機器で過半を占めます。
2026年3月期営業利益は199億円で前期比5.7%増となりました。主要顧客が技術開発投資を継続しており、稼働率が堅調に推移しました。
2026年4月の新卒採用やキャリア採用が苦戦したため増収率こそ低下を見込んでいますが、増収効果が採用強化による販管費増加を吸収して、小幅増益を確保する見通しです。年間配当金は前期比15円減配の181円を見込んでいます。
同社の利益配分方針としては、総配分性向100%以内を原則とし、配分方法は配当を基本としています。そのため、2026年3月期実績、2027年3月期計画ともに、配当性向は100%の水準となっています。
また、株価純資産倍率(PBR)が3倍を下回るときに自己株式の取得を検討としています。中期計画2028を公表していますが、キャッシュフローの安定を前提とした利益配分方針は維持するとしています。新中計では2029年3月期営業利益は230億円を計画。
今後、フィジカルAIが進化していくことにより、機械エンジニアの役割も変化していく可能性があり、同社にとってのビジネスチャンスにつながる余地もあると考えます。なお、2026年3月末の外国人持株比率は32%の水準にあります。
2 大東建託(1878・東証プライム)
賃貸建物の設計・施工を行う建設事業、建設した賃貸建物の管理・運営代行などを行う不動産事業を展開しています。家賃ベース入居率は業界上位の高水準となっています。
2026年3月期営業利益は1,352億円で前期比13.8%増となっています。
2027年3月期は1,420億円で前期比5.0%増の見通しです。引き続き不動産開発事業の売り上げ拡大を見込むほか、建設事業も粗利益率改善によって増益転換を想定しています。年間配当金は、株式分割を考慮した前期比12.6円増の163円を見込んでいます。
配当性向は50%をめどとしており、2027年3月期は6期連続での増配見通しとなっています。また、会社側ではROE20%を重要な経営指標として認識しているもよう。現在実施予定はないものの、機動的な自社株買い取得などが行われることも想定されます。
中東情勢緊迫化による影響は業績予想に織り込んでいないものの、株価は4月以降大きく調整しており、建設業界の一角として状況の改善は安心感につながるほか、THEグローバル社の買収効果、ホテル運営事業への参入計画などは今後のカタリストとして注目できるでしょう。なお、2026年3月末の外国人持株比率は45.2%と高水準にあります。
3 SANKYO(6417・東証プライム)
パチンコ・パチスロ機の大手メーカーです。1980年に開発したパチンコ機「フィーバー」が大ヒットするなど、開発力の高さに定評があります。パチンコ機販売台数は4年連続でトップシェアとなっているもようです。キャッシュリッチ企業とも位置付けられます。
2026年3月期営業利益は624億円で前期比15.1%減となっています。主力タイトルや人気アニメ作品とのタイアップ機、「LT3.0プラス」搭載機種などラインアップ充実でパチンコ機の販売は好調でした。ただ、新規タイトル投入が低水準にとどまったパチスロ機販売の減少が響きました。
2027年3月期は560億円で同10.4%減を見込んでいます。パチスロ機は八つの新タイトルを投入予定で急回復を見込む一方、市場が縮小するパチンコ機は数量減少や単価下落を見込み落ち込む見通しとしています。2027年3月期配当金は前期比10円減の80円を計画しています。
配当性向40%を目安とした業績連動型配当を基本としています。また、2025年12月にかけて大規模な自社株買いを行いましたが、今後も機動的な自社株買い実施の可能性はあるでしょう。2026年3月末の現預金は1,324億円、一方で長・短借入金はゼロであり、ネットキャッシュは総資産比で46%、時価総額比でも35%と極めて高い水準にあります。
2026年は東証の改革がキャッシュリッチ銘柄の剰余資金の使途に向けられるとみられることは注目ポイントとなってきそうです。株価は2026年初めから下落トレンドが続いていますが、足元では25日移動平均線を明確に突破し、今後のリバウンド期待が高まりつつあります。なお、2026年3月末の外国人持株比率は35%となっています
4 安藤ハザマ(安藤・間:1719・東証プライム)
中堅ゼネコンの一角で、トンネルやダムなどの大型土木工事に実績が豊富です。2013年4月に安藤建設とハザマが経営統合して現体制になっています。フュージョンエネルギー(核融合)実用化に向け、Helical Fusionとの資本業務提携を発表しました。
2026年3月期営業利益は336億円で前期比4.6%減となっています。建築事業の売り上げが伸び悩み、販管費などの増加をカバーしきれませんでした。一方、個別受注高は5,335億円で同24.8%増と大きく拡大、国内での受注が増加しました。
2027年3月期営業利益は340億円で同1.1%増の見通しです。建築事業を中心に売上高は2ケタ増見通しですが、資材価格や労務費の上昇などを織り込んでいるようです。年間配当金は前期比4円増の84円を計画しています。
2029年3月期まで3カ年の株主還元として400億円以上を計画しています。直近3カ年累計では302億円でした。下限配当80円での累進配当を導入し、機動的な自己株式の取得も想定しているようです。
一方、技術開発やエネルギー事業などの成長投資は500億円以上を想定しています。期末受注残が膨らむ中で、2027年3月期の利益見通しはやや保守的な印象です。中東情勢悪化による材料費上昇などを想定しているとみられますが、足元での状況改善を受けて、過度な懸念は後退していくと考えられます。
今後は他の建設会社同様に、見直しの余地が大きくなるとみられます。なお、2026年3月末の外国人持株比率は20%となっています。
5 ソフトバンク(9434・東証プライム)
「ソフトバンク」や「ワイモバイル」を展開する通信大手の一角です。非通信領域で大型の経営アクションを次々と実行、ヤフー、ZOZO、LINE、PayPayを子会社化しています。7月には、米国でネオクラウド事業を展開する事業会社「SB Neo」をソフトバンクグループと設立しました。
2026年3月期営業利益は1兆425億円で前期比5.4%増となっています。主力のコンシューマ事業は端末売上増加などで順調に拡大したほか、PayPay連結効果でファイナンス事業が大きく貢献しました。
2027年3月期は1兆1,000億円で同5.5%増の見通しです。ファイナンス事業続伸のほか、アスクル(2678)の回復、クラウド・AIやモバイルを中心としたエンタープライズ事業の伸長を見込んでいます。2027年3月期年間配当金は前期比0.2円増の8.8円を計画しています。
2026年3月期まで3カ年の株主還元はトータルで1.2兆円、2027年3月期からの3カ年では計1.3兆円を想定しており、配当は継続的な増配を目指すとしています。AI計算基盤の商用化やAIデータセンターなどのAI関連事業は今後本格的な収益貢献が始まるとみられ、会社側の事業目標ではクラウド・AIの売上高を2030年度までに2025年度対比で倍増を目指すとしています。
一方、これまでの株価はディフェンシブ銘柄と位置づけられ、2025年2月以降で株価は横ばいとなっています。今後はAI関連の側面が強いディフェンシブ銘柄として、水準訂正の余地が大きいと考えます。なお、2026年3月末の外国人持株比率は18%となっています。
ぜひ投票に参加してください
【高配当銘柄に投票】「配当利回り4%超」かつ「高ROE」注目の“出遅れ株”5選
(佐藤 勝己)

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
