先週はAI関連の主力株・エヌビディアの好決算にもかかわらずAI株の反発は短期間で収束。今週は米国で重要雇用・景気指標の発表が相次ぎ、強い結果なら金利上昇や円安で潤う銀行株や外需株、弱い結果なら金利低下でAI株の見直し買いが進みそう。
今週のトピック:AI株調整の引き金「米国ブロードコム」決算。米国の8月雇用統計
日付 イベント 8月31日(月) ・G20財務相・中央銀行総裁会議(9月1日まで) 9月1日(火) ・米国で8月ISM製造業景況指数、7月雇用動態調査(JOLTS)求人件数・米国でデル・テクノロジーズ(DELL)が決算発表 9月2日(水) ・日銀の高田創審議委員が金融経済懇談会であいさつ
・米国で8月ADP民間雇用統計
・米国でブロードコム(AVGO)、スノーフレイク(SNOW)が決算発表 9月3日(木) ・米国で8月ISM非製造業景況指数 9月4日(金) ・米国で8月雇用統計
・円安や米国の人工知能(AI)企業決算と日米の早期利上げ観測という強弱材料がきっ抗して一進一退の展開? 株価の方向性を決めるのは米国の重要雇用・景気指標! 9月4日(金)の8月雇用統計に注目。
・AIを活用して収益を上げるソフトウエア株が相場の主役になり、「ソフトウエア株の死」は死語に? 今週3日(木)早朝の米国半導体メーカー・ブロードコム(AVGO)決算で第2の「ブロードコム・ショック」発生の恐れも。
・金利上昇で銀行など金融株が相場をけん引! 東証株価指数(TOPIX)の史上最高値更新が間近?
8月31日(月)の日経平均
前週末比737円安となる6万5,668円で大幅反落スタート。一時1,500円安まで下げ幅を拡大し、前場は前週末比1,043円安で終えました。後場では下げ幅を縮小し、前週末比151円安の6万6,254円で終えました(8月31日 15時半現在)。
先週(8月24~8月28日)の主要株価指数
終値 前週末比 前週末比率 日経平均株価 6万6,405円 +389円 +0.59% TOPIX 4,146.7pt +79.4pt +1.95% ダウ 5万3,559ドル +282ドル +0.53% S&P500 7,711pt +37pt +0.49% ナスダック 2万6,402pt +221pt +0.85%今週のマーケット:「ソフトウエア株の復活」相場が今週も続く!AI・半導体株はブロードコム・ショック再来に警戒!
今週の株式市場は、米国でも日本でも9月の早期利上げ観測が強まっていることから、金利上昇という下げ材料と、円安進行や米国AI企業の好決算という好材料が綱引きする一進一退の展開になりそうです。
先週28日(金)、米国で開催された経済シンポジウム・ジャクソンホール会議で米国連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長はインフレ継続なら「やるべき仕事がある」と、早期利上げを匂わせる発言を行いました。
これを受けて為替市場では7月末の日米協調の為替介入以降、初めて1ドル160円10銭台まで円安が進み、米国10年国債の利回りは再び4.7%台まで上昇。
今週は米国で9月4日(金)の8月雇用統計をフィナーレに多数の重要雇用・景気指標が発表されるため、結果が良いものになると逆にインフレ加速や早期利上げ懸念が高まり、株価の下げ要因になりそうです。
一方、今週も米国では日本時間9月2日(水)早朝にAI向けサーバーの販売が好調なデル・テクノロジーズ(DELL)、3日(木)早朝にはエヌビディア(NVDA)のライバルと目される高速半導体メーカーのブロードコム、AIクラウドサービスのスノーフレイク(SNOW)などが決算発表。
これら米国のAI関連企業が好決算を発表すると、AI株を中心に株価が続伸する可能性も高いでしょう。
先週8月26日(水)には、AI半導体業界の覇者といえるエヌビディアが予想を大きく上回る好決算を発表。
今期2026年8-10月期の売上高も前年同期比89%増を見込むなど、引き続きAIデータセンター向け投資が活況であることが判明。同社の株価は27日(木)、前日比8.7%上昇しました。
しかし、翌28日(金)はウォーシュFRB議長の利上げを匂わす発言もあって反落。週間では前週末比1.3%上昇の小幅高にとどまりました。
日本でも、5兆円規模の設備投資計画を発表した半導体メモリの人気株・キオクシアホールディングス(285A)が過剰投資懸念で11.8%も下落。
エヌビディア好決算によるAI株の反発は短命に終わりました。
しかし、市場には新たなAI相場の主役が台頭。それが2026年前半はAI脅威論で売られたソフトウエア株でした。
先週、AIを取り入れた顧客管理ソフトの提供が好調で市場予想を上回る決算を発表した米国のセールスフォース(CRM)が22.4%高。
市場予想を上回る過去最高の売上高を発表したサイバーセキュリティ大手のクラウドストライク(CRWD)が13.8%高。
日本でも、弁護士向け営業支援サイトの弁護士ドットコム(6027)、クラウド会計サービスのマネーフォワード(3994)、ウイルス対策ソフトのトレンドマイクロ(4704)といったウェブ関連株が軒並み10%以上も上昇。
中でも目を引いたのは、証券会社が目標株価を引き上げ12.0%高となったリクルートホールディングス(6098)です。
リクルートといえば人材派遣会社で一見、AIとは関係のない企業のように思えます。
しかし、米国のヒューマンリソース(HR)テクノロジー事業はAIによる人材発掘などを駆使して絶好調を持続。8月上旬には今期2027年3月期の最終利益を前期比51.9%増に大幅上方修正しました。
前期比50%超の利益成長はAIだけが理由とはいえないものの、同社の躍進は既存企業でもAIを活用すると人件費削減や業務効率化で、誰もが驚く好業績を上げられるモデルケースになりそうです。
為替市場で1ドル160円台まで円安が進んだことで、今週は海外で収益を稼ぐ自動車、鉄鋼、商社など外需株も調子が良さそうです。
また、日本国内でも10年国債の利回りが2.93%台まで上昇し3%の大台乗せが目前のため、金利上昇が収益増につながる銀行株の続伸にも期待がかかります。
逆に円安によるインフレ加速で国内消費の減速に対する警戒感が高まると、小売、食品、不動産、建設といった内需株には逆風が吹くかもしれません。
注目イベント:米国で相次ぐ雇用・景気指標
今週は米国の重要雇用・景気指標が強すぎると株安、弱いと株高につながりそうです。
まずは9月1日(火)に発表される全米供給管理協会(ISM)の8月製造業景況指数に関心が集まるでしょう。
7月の同指数は米国内のAIデータセンター向け巨額投資もあって約4年ぶりの高水準で着地。
今回の8月分も好調が持続すると、活況なAI投資による景気過熱が利上げ懸念につながって逆にAI株の首を絞める結果になりかねません。
2日(水)に発表される給与計算代行会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の民間雇用統計の前回7月分は市場予想を下回っており、4日(金)発表の米国雇用統計も前回7月分の非農業部門新規雇用者数は前月比2.3万人の減少と予想外のマイナスでした。
今週発表される8月雇用統計が予想を下回る弱い結果になると、米国の早期利上げ懸念が後退して、AI株中心に株価上昇のきっかけになるかもしれません。
市場別マーケット動向
日本市場
8月31日(月)~9月1日(火)、米国で開催される20カ国・地域(G20)財務大臣・中央銀行総裁会議に片山さつき財務相と日本銀行の植田和男総裁が出席。
再び1ドル160円を超える円安トレンドが進行する中、米国のベッセント財務長官の圧力もあり、日銀の植田総裁が利上げの継続に積極的な発言をすると、株価にとってネガティブです。
9月2日(水)には日銀の中でも利上げに前向きなタカ派といわれる高田創審議委員が札幌市の金融経済懇談会であいさつ。
同氏は7月の金融政策決定会合でも利上げ票を投じているため、その発言が注目されます。
米国市場
米国では、先週のエヌビディアの好決算に「あまりにも良すぎる」という疑心暗鬼の声も上がっており、AI半導体メーカーなどが顧客企業に巨額資金を融資した上で高額な自社半導体などを購入させる「循環取引」に対する懸念が根強くなっています。
今週は同じく顧客の債務保証が問題視されているAI半導体メーカーのブロードコムが3日(木)早朝に決算発表。
前回6月の決算発表では、市場の過度な期待値に業績が届かず、AI株全体が急落する「ブロードコム・ショック」が発生。その後、日米AI株の調整が長引く前兆となっただけに、今回の決算発表も注目されます。
業種・銘柄の動き
銘柄 先週の騰落率 ポイント 弁護士ドットコム(6027) +14.2% 8月は前月末比2.2倍高。どこまで上昇するか見もの? 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) +4.3% 国内の金利上昇で今週も上昇? ブロードコム(AVGO) +0.1% 先週はエヌビディア決算を好感して下げ止まり。3日(木)早朝の決算に注目! デル・テクノロジーズ(DELL) +3.2% AIサーバーの販売絶好調で2026年に株価が3.6倍に。2日(水)早朝に決算発表先週までの振り返り:ウェブ関連株の多いサービス業や証券、銀行、保険株上昇!AI株は強弱まちまちで関心薄れる
先週は弁護士ドットコムなどウェブ関連企業が属するサービス業が週間の業種別上昇率1位でした。
株式市場が活況だと収益増加に期待できる証券・商品先物取引セクターが2位になり、主力の野村ホールディングス(8604)が前週末比7.0%上昇しました。
国内の金利上昇を好感して、日本株に占める時価総額の割合が大きい銀行株、保険株なども好調で、TOPIXが8月28日(金)まで7連騰して、前週末比1.95%上昇する原動力になりました。
個別株では半導体の高誘電率材料の原料に使われるレアメタル「ハフニウム」の製造技術を確立したと発表した化学メーカーの第一稀元素化学工業(4082)が45.4%高。
レアアースの海底採掘技術を持つ東洋エンジニアリング(6330)が19.5%高となるなど、レアメタル関連株が盛り上がりました。
一方、円安による物価高や燃料高を懸念して内需株が小幅安となり、業種別下落率ワースト1位は水産・農林業でした。
ただ、下落幅は1.67%に過ぎず、33業種中21業種が上昇。全体として見ると、AI活用の期待が高まるウェブ関連サービス株や金利上昇が追い風の銀行など金融株以外は横ばいで推移しました。
AI株はキオクシアホールディングスが11.8%下落して株価が5万円の大台を割り込んだ以外、光ファイバーの古河電気工業(5801)が2.2%高、積層セラミックコンデンサーの太陽誘電(6976)が0.6%安、AI事業に巨額投資を行うソフトバンクグループ(9984)が1.8%安となるなど、ほぼ横ばいで強弱まちまち。
これまで上昇も下落も大きな値幅だったAI株に対して投資家の関心が薄れている傾向が鮮明でした。
セクター・業種(上昇・下落)
銘柄 騰落率 備考・要因 サービス業 +7.01% リクルートHD(6098)の急騰が貢献 証券・商品先物取引 +6.20% 日本株活況で信用取引の金利収入増加に期待感 銀行業 +4.47% 金利上昇を好感 ガラス・土石製品 ▲1.43% AI関連で買われた日本特殊陶業(5334)の続落が影響 水産・農林業 ▲1.67% 円安や燃料高で下落 注:▲はマイナスを示す(トウシル編集チーム)

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