マーベル・テクノロジーの2027年1月期2Qは36.5%増収、58.6%営業増益。AIデータセンター内の配線高速化需要の増加に伴い、光インターコネクト、スイッチなどが増加。
毎週月曜日午後掲載
本レポートに掲載した銘柄:マーベル・テクノロジー(MRVL、NASDAQ)
1.マーベル・テクノロジーの2027年1月期2Qは、36.5%増収、58.6%営業増益。
マーベル・テクノロジー(以下マーベル)の2027年1月期2Q(2026年5-7月期、以下今2Q)は、売上高27.39億ドル(前年比36.5%増)、営業利益4.60億ドル(同58.6%増)となりました。
セグメント別に見ると、データセンターが売上高21.72億ドル(同45.7%増)と伸びを牽引しました。AIデータセンターを効率運用するためにAIデータセンター内の配線高速化の要求が高まっていますが、この動きに伴い、銅配線→光ファイバー配線→NPO(Near-Packaged Optics。光電融合の一歩手前)→CPO(Co-Packaged Optics、光電融合)への配線高速化の動きが出ています。マーベルは図2にあるような、「スケールアップ」「スケールアウト」「スケールアクロス」の各段階に向けたインターコネクト、スイッチなどの製品を揃えています。
この中でAIデータセンター内でAIサーバー間を接続するための「スケールアウト」に関する製品群、光DSP(光トランシーバーや光ネットワークの中で、光信号の歪みやノイズをデジタル技術で補正する半導体)、スイッチング(データセンター内のサーバー、ストレージ、外部ネットワークの間で、大量のデータを高速低遅延で送受信し制御するネットワーク機器)、ブロードバンドアナログコンポーネント(高帯域幅のアナログ信号を処理・増幅・変換するための半導体)の売上が大きく伸びています。
一方、コミュニケーションその他(通信会社向け5G関連製品など)は、5.68億ドル(同10.1%増)となりました。今1Q5.85億ドルと比べると若干の減収となりました。
表1 マーベル・テクノロジーの業績
表2 マーベル・テクノロジー:セグメント別売上高(四半期)
図1 AIデータセンター用半導体の階層構造
図2 AIデータセンターの計算能力拡張の各段階
2.AIデータセンター内の配線高速化需要が強い。特注型AI半導体は今下期から増加へ。
1)AIデータセンター内の配線高速化需要が増加中。
今3Q以降もAIデータセンター向けが伸びる見込みです。会社側は今3Qのデータセンター向け売上高を前年比約75%増と予想しています。データセンター事業者は、現在のところスケールアップネットワーク(高性能化したAIサーバーの内部配線と相互接続)に銅線インターコネクトを採用していますが、データセンターの規模拡大に伴い、銅線では接続距離と帯域幅に限界があるため、光インターコネクトや、UALink(AI半導体同士を高効率かつ低遅延で直結するための、業界標準の相互接続(インターコネクト)規格)、ESUN(Ethernet for Scale-Up Networking。次世代AIデータセンター向けのネットワーク新規格)、NVLinkスケールアップスイッチ(エヌビディアが開発したネットワーク技術。複数のAI用GPU間を直結し、ラック内の全GPUを1つの巨大な仮想GPUとして高速動作させるための専用スイッチ半導体、インターコネクト技術)への移行が進んでいます。この先にはNPO、CPOがあり、NPO、CPOともに顧客での採用が進んでいます。マーベルはこの分野に積極的に投資を行っています。
会社側によれば、スケールアップネットワークにおける銅線から光への移行には数年かかる見込みですが、マーベルの顧客は早ければ来年からスケールアップ光ネットワークを導入することを計画しています。
スケールアウトに関しては、前述の光DSP、スイッチング、ブロードバンドアナログコンポーネントなどのプラグインモジュールが主要な製品になると思われます。
また、CXL用カスタムチップでも成果が上がっています。CXL(Compute Express Link)とは、CPU、メモリ、AI用GPUなどの間を高速・低遅延で結ぶ業界標準インターフェース規格です。マザーボード上の物理的な制限を超えて、外付けのメモリモジュールを追加したり、複数サーバー間でメモリを共有することができます。すでに複数のハイパースケーラーで大規模に導入されている模様です。メモリ不足もあって今後もこの分野の伸びが続くと予想されます。
2)特注型AI半導体事業ではアルファベット向けに加えて新規顧客が加わる。
特注型半導体(カスタム半導体)事業については、会社側は今3Q以降に売上高が大幅に増加すると予想しています。この分野はXPU(特注型AI半導体(AI推論アクセラレータ))、XPU周辺半導体であるストレージコントローラ、ネットワークインターフェースコントローラ、メモリインターフェースコントローラ、ニアメモリコンピューティングなどです。現在の最大手顧客はアルファベットで、アルファベット独自のAI半導体「TPU」と各種のカスタム半導体を設計、生産(生産はTSMCに委託していると思われる)、販売しています。これまでTPUは主にブロードコムが生産してきましたが、マーベルでもTPUの供給が本格的に増加することになります。
なお、2028年8月、マーベルはアルファベット子会社のグーグルとのカスタム半導体供給契約を開示する際に、グーグルに対するワラントの発行を開示しました。
XPUとXPU周辺半導体の事業では、アルファベットに次ぐ新顧客(マイクロソフト?)向けが今後増えると予想されます。
3)2027年1月期、2028年1月期ともに好業績が続こう。
会社側の今3Q業績ガイダンスは表3の如くです。ここから計算すると、今3Q会社予想業績は、売上高31.50億ドル(前年比51.8%増)、営業利益6.70億ドル(同87.3%増)となる見込みです。
また会社側は、データセンター向けの好調によって、2027年1月期売上高を約120億ドル(同46.4%増)、2028年1月期売上高を180億ドル(同50.0%増)と予想しています。
このような状況から、楽天証券ではマーベルの2027年1月期を売上高120億ドル(前年比46.4%増)、営業利益23.20億ドル(同75.4%増)、2028年1月期を売上高180億ドル(同50.0%増)、営業利益43億ドル(同85.3%増)、2029年1月期(参考値)を売上高270億ドル(同50.0%増)、営業利益72億ドル(同67.4%増)と予想します。前回予想から上方修正します。
表3 マーベル・テクノロジー:2027年1月期3Q業績ガイダンス
表4 マーベル・テクノロジー:セグメント別売上高(今期)
3.マーベル・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の410ドルから330ドルへ引き下げる。引き続き中長期で投資妙味を感じる。
マーベル・テクノロジーの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の410ドルから330ドルへ引き下げます。
楽天証券の2028年1月期予想1株当たり利益(EPS)3.45ドルに対して、AIデータセンター内の配線高速化需要の成長性と米国の金利上昇がハイテク成長株の株価に与えるネガティブな影響の両方を評価しました。そして、2028年1月期の想定PEG(予想株価収益率(PER)÷予想営業増益率)を1.2~1.3倍とプレミアムを付けて評価し、想定PER90~100倍を当てはめました。
目標株価は引き下げますが、今の株価よりは高くなると評価されます。引き続き中長期で投資妙味を感じます。
本レポートに掲載した銘柄:マーベル・テクノロジー(MRVL、NASDAQ)
(今中 能夫)

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