「SaaSの死」という言葉が独り歩きし、今年に入ってから売られるソフトウエア株が増えましたが、エンタメやコンテンツ関連株もその余波で売られてきました。今、その見直しが始まっています。

今、投資すると面白いと思うエンタメ関連株を紹介します。


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ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
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「SaaSの死」で売られたセクターに復活の兆し

 最近、株式市場で「SaaSの死」で売られたセクターの見直しが始まっています。最高益を更新するなど、業績好調な銘柄から株価が反発し始めています。


ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
出所:楽天証券経済研究所作成

 私は4月4日と8月18日のレポートで、「SaaSの死」で売られたAIエージェント、SIerの買い推奨をしてきました。


 今日は、「SaaSの死」の余波で売られてきたコンテンツ、無形資産、エンタメ、ゲーム株に焦点を当て、投資の参考銘柄を紹介します。


 その前に、「SaaSの死」の意味が分からない人のために、以下説明します。


<参考:「SaaSの死」とは>

 今年に入ってから「ビジネス用の人工知能(AI)が高度化すると、既存のソフトウエアは不要になる」という極端な考えが広まり、米国・日本を含め世界中でソフトウエア株が一斉に売られました。これが、「SaaSの死」といわれる現象です。


【注】SaaS(サース)とは
 Software as a Service(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の頭文字を取った造語。クラウド経由で提供されるソフトウエアのこと。


 きっかけとなったのは、米国のAI開発企業アンソロピックがリリースしたビジネスAIツール「クロード・コワーク」です。これまで人間やSaaSがやってきた業務の多くを、将来AIが自律的にこなしていくという期待が高まりました。


 SaaSの死で売られたのは、ソフトウエア株だけではありませんでした。


 システム開発企業・SIer(システム・インテグレーター)も売られました。プログラミングなどAIが自動でやってくれることができる時代になったことを受け、システム開発企業も不要になる、という誤解が広がったためと思われます。


 同じように、SaaSの死の余波で売られたのが、エンタメ関連株です。コンテンツ、無形資産などの知的財産権(IP)で稼ぐビジネスモデルですが、「AIが音楽でもデザインでも自動で作ってくれる時代になる」という誤解から売られたものと思われます。


 当然ですが、AIによる著作権侵害に対しては、世界中でさまざまな訴訟が起こされています。AIによる学習が「どこまでが許容されるか、どこからが違法となるか」については、すぐに結論は出ません。それでも、音楽やデザインについて、AIの行き過ぎには規制がかかっていく方向に向かっていると考えられます。


注目のコンテンツ、無形資産、エンタメ、ゲーム関連5選

 SaaSの死の余波で売られていたものの、足元、見直し機運が出ている銘柄で、私が投資していきたいと考えている銘柄は表の通りです。


<投資の参考銘柄:無形資産、コンテンツ、エンタメ、ゲーム関連株:2026年9月7日時点>
ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
出所:QUICKほか各種資料より作成。配当利回りは、2027年3月期1株当たり予想配当金を9月7日株価で割って算出。東宝のみ2027年2月期告知事項:筆者は円谷フィールズHD株を4,000株保有

 表の5銘柄は、いずれも映画、音楽、ゲーム、アニメ、ドラマ、キャラクターなどで魅力的なコンテンツを作り、IPビジネスで安定的に稼ぐビジネスモデルを有しています。


 日本企業にはかつて、魅力的なコンテンツを持っていても、それをマネタイズできない時代がありました。近年は、米国のウォルト・ディズニーのようにIPでしっかり稼ぐ企業が増えています。日本には魅力的なコンテンツがたくさんあるため、それで稼ぐビジネスモデルが定着してくれば、成長セクターとして注目できます。


総合エンターテインメント企業として成長を期待するソニーグループ

 エンターテインメント企業として日本でのトップ企業はソニーグループ(6758)だと私は判断しています。映画、音楽、ゲームなどを展開する総合エンターテインメント企業として、世界でもトップクラスの実力を持つと評価しています。


<ソニーグループの株価と連結純利益推移:株価は1990年1月末~2026年9月7日>
ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
出所:QUICKほか各種資料より作成

 私はソニーグループの経営力に感服しています。同社は20世紀には、製造業で世界トップクラスの地位に上り詰めました。21世紀に入り、製造業では稼げない時代となり、ビジネスモデルを完全に転換しました。極めて困難な道のりでしたが、それをやり遂げて、今はゲーム、映画、音楽など無形資産で稼ぐ企業となりました。


<ソニーグループのセグメント別営業利益:2026年3月期>
ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
出所:同社有価証券報告書より楽天証券経済研究所作成。▲はマイナスを示す

 製造業では唯一、半導体(画像センサー)を有するイメージング&センシング・ソリューション部門で高い利益を上げています。半導体は、ゲーム、音楽、映画と並ぶ収益の柱として、ソニーグループの利益をけん引していくと予測しています。


IPで稼ぐビジネスモデルができあがったサンリオ

 サンリオ(8136)は、「ハローキティ」ほか魅力的なコンテンツを多数保有していることから、20年以上前から、「日本版ウォルト・ディズニー」として成長する期待がありました。ところが、なかなかその期待は実現しませんでした。グッズ販売などで利益を出すだけで、IPビジネスでの収益成長ができませんでした。


 2020年以降、長年の努力が実って、やっとIPビジネスによって海外での利益成長が軌道に乗りました。それを好感して、株価は大きく上昇しました。


<サンリオの株価と連結純利益推移:株価は2010年1月末~2026年9月7日>
ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
出所:QUICKほか各種資料より楽天証券経済研究所が作成

 過去4年間に同社利益を急拡大させたのは、海外でのロイヤリティ収入拡大です。長年にわたって努力してきたIPビジネスでの利益成長が結実しました。


<サンリオの地域セグメント別の売上高・利益:2026年3月期>
ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
出所:同社有価証券報告書より楽天証券経済研究所作成

 背景として、IPビジネス収益の構造転換があります。かつては物販主導のモデルでしたが、現在は海外有力企業とのライセンス契約を軸とした「アセットライト(資産を抑える)」モデルへ完全にシフトしました。これにより、在庫リスクを負うことなく、キャラクターのロイヤリティ収入がダイレクトに利益へ積み上がる体制が整いました。


 海外では、特に北米市場における「ハローキティ」のリブランディングと、アジア(特に中国、東南アジア)での「クロミ」や「マイメロディ」といったキャラクターの人気爆発が、増収増益の最大のエンジンとなりました。


 現地の若年世代をターゲットにしたデジタルマーケティングが奏功し、ライセンス許諾範囲が飛躍的に拡大したことが、利益率の大幅な改善をもたらしました。


円谷フィールズHDはウルトラマンIPの成長を期待

 円谷フィールズホールディングス(2767)は、2010年にパチンコ、パチスロ開発大手のフィールズが、ウルトラマンのIPを持つ円谷プロダクションを買収(完全子会社に)して誕生しました。そこから円谷プロの復活成長が始まりました。


 ウルトラマンの制作会社であった円谷プロは、2000年代に深刻な経営難となりましたが、2010年以降にフィールズの資金を使って新たな成長期に入りました。


 2013年開始の「ウルトラマンギンガ」以降、毎年新作を投入する新世代シリーズを定着させ、テレビ放送と連動した玩具、ライセンス収入の安定化を図りました。2022年公開の「シン・ウルトラマン」は、興行収入40億円を超えるヒットとなりました。


 ウルトラマンIPビジネスでは、海外展開を急速に進めています。YouTubeやNetflixなどでの配信を増やし、世界中の視聴者が同時に新作を視聴できる環境を整えました。


 現在、世界で100以上の国と地域で視聴可能であると推定されます。

台湾、香港、タイなどのアジア諸国では、特に1960年代の「ウルトラQ」「ウルトラマン」から始まる長い配信の歴史があります。海外のIPビジネスでは、特に、中国の貢献が大きくなっています。


<円谷フィールズHDのセグメント情報:2026年3月期および2027年3月期(会社予想)>
ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
出所:同社有価証券報告書および中期経営計画より、楽天証券経済研究所作成。▲はマイナスを示す

東宝もIP収入による成長軌道へ

 東宝(9602)は映画や演劇の興行収入で稼いできた会社ですが、近年、興行後1~2年のIP収入が安定的に拡大するようになりました。配信権、パッケージ販売、地上波放映権などが含まれます。


 また、「名探偵コナン」や「ゴジラ」などの長寿シリーズおよび東宝が保有する膨大なライブラリー作品からも、安定的に収益が生み出されるようになりました。


<東宝セグメント別営業利益:2026年2月期>
ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
出所:同社有価証券報告書より楽天証券経済研究所作成

「超」成長株の見つけ方

 成長株投資にチャレンジしたい方に、私の新著をご紹介します。幻冬舎より5月27日に出版されました。私がファンドマネージャー時代に、実際にやっていた成長株投資の手法を解説しています。


2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーが明かす「超」成長株の見つけ方
ソニー、サンリオ、東宝…「SaaSの死」で売られたエンタメ株を見直し(窪田真之)
「2000億円超を運用した伝説のファンドマネジャーが明かす「超」成長株の見つけ方」書影

(窪田 真之)

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