9月に入り、急速に為替レートの円高が進んでおり、一時は今年の最高値水準に近いところまで達しました。円高が進んだ場合、株価への影響も無視できませんが、どのような点に注意すべきでしょうか。


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為替レートが急速に円高方向に動いている

 9月に入り、為替レートが急速に円高方向に動いています。


 7月31日、日米両政府は円安是正のための協調介入を実施。従来の円安水準を脱してさらに円高方向へ動き、9月8日には1ドル=152円台まで達し、2026年の最高値水準に肉薄する形となっています。


 株式投資をするにあたり、為替レートの変動は大きな影響を与えます。その一方で、為替変動はプロでも先行きが読めないくらい難しいものですから、読みづらい未来を決め打ちして投資行動を決めるのも危険です。


 ですから、将来の為替の先行きを予測して、それを踏まえた投資行動を選択するのではなく、株価のトレンドに沿った売買をしていくのが無難です。


株価指数への影響は?

 日本株の特徴として、特に日経平均株価の構成銘柄や、東証株価指数(TOPIX)の主要構成銘柄の多くが、輸出により売り上げ・利益を稼いでいる「輸出型企業」である、という点が挙げられます。


 典型例としては自動車メーカーをイメージしていただければ分かりやすいでしょう。


 海外での売り上げ(現地通貨ベース)を円に換算する際、円安の時の方が円高の時よりも大きな金額になります。


 100万ドルの売り上げは、1ドル=160円なら1億6,000万円ですが、1ドル=140円まで円高になると1億4,000万円に減少してしまいます。


 また、各企業は来期業績予想を発表する際、想定為替レートを決めた上で予想数値を算出しています。


 この想定為替レートは、保守的にみて、足元の水準より多少円高水準に設定されることが多いのですが、20円、30円と急激に円高が進む…という想定はまずなされていません。


 そのため、多少の円高程度であれば、各企業の業績への影響は大きくないのですが、「かなり円高が進みそうだ」と投資家が判断した場合は、将来の輸出型企業の業績悪化を懸念した売りが出てくる可能性がありますし、ひいてはそれが日経平均株価やTOPIXといった株価指数の下落につながります。


個別株への影響は銘柄ごとに大きく異なる

 ただ、これは株価指数や、株価指数に大きな影響をもたらす輸出型の大型株の話であり、個別銘柄への影響度は、銘柄ごとに大きく異なります。


 例えば、食品産業や小売業など海外からの仕入れ率が高い業種であれば、円高により調達コストが下がるため、利益はプラスに働きます。


 また、グロース市場などに上場しているベンチャー系の新興企業は、まだビジネス展開を国内でのみ行っていることも多く、この場合も為替レートの変動が業績にダイレクトに影響することはありません。


 一方、円高の急速な進行により、株価指数の大きな下落など、マーケット全体がネガティブな雰囲気になると、円高メリットのある銘柄であっても連れ安してしまう、という可能性も大いにあります。


 従って、仮にここから、急に円高が進んだとしても、あくまでも個別銘柄ごとに株価のトレンドを確認し、上昇トレンドなら保有継続、下降トレンドなら売却する、といった対処を淡々としていけばよいと思います。


米国株投資への影響をどのように考えるか

 コラムをご覧の個人投資家の中には、米国株へ投資している方も少なくないと思います。


 日本の個人投資家が投資している米国株の個別銘柄(メジャーな大型株)においては、円高に振れることによって企業業績に大きな影響を受けるような銘柄はあまりないと思います。


 そのため、それほど為替レートを気にする必要はないと思いますが、私たちには気付かない理由で株価が変動することもあります。


 株価チャートをウオッチして、移動平均線割れなど株価が下降トレンドに転換したと思われる場合は、いったん売却するなどの対処はしておくべきと思います。


 また、私たち日本人投資家は、米国株に投資し、その後為替レートが変動することにより、為替差損益が発生します。つまり、米国株のドルベースの株価は変わらなくても、為替レートの変動によって円換算した価格は変わってしまうのです。


 この点についての考え方はさまざまだと思いますが、米国株への投資の場合、為替差損益は私たちにとっては影響が大きいものの、為替レート変動による企業そのもののファンダメンタルズへの影響は無視してよいでしょう。


 従って、米国株への投資判断にあたっては、ドルベースでの株価チャートで株価のトレンドを測り、売買の判断を行うのが望ましいと思います。


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(足立 武志)

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