イギリス議会は2026年6月7日、国防省(MOD)が「AJAX(エイジャックス)」装甲車の騒音・振動問題を解決していないにもかかわらず、兵士たちに対して現実離れした運用上の要求をしていると警告しました。
この指摘は、2025年11月に実施された演習において、エイジャックスに搭乗した兵士33名が騒音や振動による症状を訴えたため、演習が中止されたことを受けたものです。
国防省はこの件について、「設計上の運用条件を守り、適切な整備を行えば安全である」と説明しているものの、演習が具体的にどのような形で運用上の制限を超えていたのかについては明確な説明を行っていないことが問題視されています。
そのため、イギリス下院の公共会計委員会(Public Accounts Committee:PAC)は、「国防省は現在、兵士たちに対し、車両を停止するたびに整備点検を行うことを求めている。しかし、兵士が戦闘中に長時間車両を運用しなければならない可能性を考えると、これは非現実的に思われる」と指摘。さらに、「兵士たちが装甲車両を運用するために必要な技能を習得し維持する必要があることは明らかだ。しかし、その車両自体が任務に適したものでなければならない」との見解を示しました。
また国防省は、乗員の負担軽減などを目的とした「Ajax 2(エイジャックス2)」と呼ばれる改良パッケージを開発中としていますが、PACはこの件についても「エイジャックス計画に対して国防省が最終的に支払う総額を明確に示すべきだ」と求めています。
エイジャックスは当初、2017年頃に配備が開始される予定でしたが、さまざまな技術的・契約上の問題により、計画は長期にわたって遅延してきました。
騒音問題もイギリス陸軍への配備が遅れている大きな要因のひとつです。2020~2021年の試験では、異常な車体振動や騒音によって耳鳴りや聴力低下を訴える兵士が相次ぎ、11人が長期的な医療監視対象となりました。
現在納入されている車両では問題は概ね改善されたとされていましたが、結局演習開始後に、同様の騒音・振動に関する問題が報告されました。この件は重大と判断され、エイジャックス計画の成果を最終的に保証する最高責任者であるSRO(シニア・レスポンシブル・オーナー)を務めていたクリス・ボウブリック氏が更迭されています。
修正後のスケジュールによると、イギリス陸軍はエイジャックスおよびその派生型を合わせて589両発注しており、全車両の納入は2030年末までに完了する予定です。

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