地図上で「海のなかを延々と通っている」ように見える道路が九州にあります。近くでカーナビを見ると、縮尺によっては「あれ、途切れているような……?」――果たして通れるのか、気になったので走ってみました。
この道路は長崎県の諫早湾を突っ切っており「雲仙多良シーライン」と呼ばれます。南は島原鉄道が通る島原半島の雲仙市の国道251号、北はJR長崎本線が通る諫早市北部の国道207号に連絡しています。
島原半島側の国道251号から右折した場所が道路の入り口で、国道251号をオーバーパスして大きくカーブすると、その先はひたすら直線です。
じつは、この道は諫早湾を仕切る「潮受堤防」の上を道路として開放しているもの。長崎県によると、諫早湾を回り込むと約24kmの道のりを、約8kmでショートカットし、所要時間も約45分から10分に短縮するといいます。島原から佐賀方面へ抜ける場合などにはかなり便利な無料ルートです。
走ってみると、車窓の西側は有明海と遠くの諫早市街をのぞめますが、東側は高い築堤となっており、海は望めません。なので、海の中を通っているというよりも「海沿いの道」という印象を覚えます。
なお、縮尺によっては地図上で途切れているように見えているのは全線の両端付近にある水門で、そこだけ堤防が途切れているため。その部分は橋で道路が結ばれています。
中間付近には駐車場と、道路の上をまたいで築堤の東側に出られる展望所があります。この日は曇っていたのですが、展望所から南を望めばまっすぐ先に雲仙岳が、北を望めば多良岳が見え、「これが路線名の由来か」と膝を打ちました。
この巨大な堤防が造られたのは、1986年に事業着手された「国営諫早湾干拓事業」のため。堤防の完成後、1997年に諫早湾奥部の“締切り”が行われます。巨大な干拓農地の造成と背後の低地における高潮や洪水リスクの解消などを目的としました。ちなみに堤防の高さは伊勢湾台風級の台風を想定して決定しているそうです。
その10年後、2007年12月に道路が開通しました。これは、堤防の管理用道路を長崎県が「農道」として、国から使用許可を得て整備したものだとか。このため正式には「諫早湾干拓堤防道路ふるさと農道」とされています。

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