【ワールドカップ】サッカー日本代表とブラジルに快勝したノルウ...の画像はこちら >>
 ラウンド32では日本に先制を許しながら、さすがの強さで逆転勝利を収めたブラジルだったが、歓喜もつかの間、続くラウンド16でノルウェーに1-2と敗れた。

 情けないやら、悲しいやら。

 ブラジルは、常に試合の主導権を握りながら、一瞬のスキを突かれて敗れたわけではない。内容に照らして、順当と言ってもいいノルウェーの勝利は、日本が間接的に世界との力の差を見せつけられた格好だ。

 試合は、序盤からノルウェーが優勢に進める展開だった。前半4分には、結果的にオフサイドで取り消しになったが、きれいな崩しからパトリック・ベルグがゴールも決めている。

 それでも前半10分、ブラジルが中盤でのボール奪取から繰り出したショートカウンターでPKを獲得。これを決めていれば、試合は違った流れになったかもしれない。

 ところが、多くのブラジル人記者が「なぜ?」と首をひねった、ブルーノ・ギマランイスがPKキッカーを任されると、ノルウェーのGKエルヤン・ニーランに防がれてしまう。結果論とはいえ、これで試合の流れは大きくノルウェーに傾いた。

 先制点は後半79分まで待たなければならなかったが、ノルウェーは90分間を通して、ブラジルと互角に渡り合うどころか、押し気味に試合を進めていたと言っていいだろう。

 では、ノルウェーのブラジル対策とはどんなものだったのか。

 ノルウェー代表を率いるストーレ・ソルバッケン監督は、その狙いを「ボールを保持して、ボールを動かし、ブラジルを疲れさせようとした」と語る。ハーフタイムに早くも交代カードを2枚切る積極策も、「ボール保持を高めるための戦術的交代だった」という。

 結果的に、後半開始から交代で入ったオスカー・ボブは右サイドで何度も好機を作り出し、同じくアンドレアス・シュルデルップは左サイドからのクロスでアーリング・ハーランドの先制ゴールをアシスト。ソルバッケン監督の見事な戦略、そして選手起用だった。

 翻(ひるがえ)って、日本代表はどうだったのか。

 森保一監督は大会前、「主体的なサッカーをする」と話していたが、実際にブラジル戦のピッチ上で繰り広げられたのは、ブラジルの攻撃にさらされ続けることだけだった。

 自らボールを保持してブラジルを動かそうとしたノルウェーと、ただただ引いて守った日本。どちらが主体的であったかは、考えるまでもないだろう。

 加えて、今大会でのノルウェーの躍進を見ていて感じるのは、『本当に世界のトップと伍していこうと思えば、UEFAチャンピオンズリーグで優勝を争うクラブで主力を務められるレベルの選手が必要だ』ということ。チーム全体の戦力の底上げ、つまりは選手の平均点を上げることも重要だが、おそらくそれだけでは世界には通用しない。

 ソルバッケン監督いわく、「みんなが助け合うすばらしいチーム」であるノルウェー代表は、ハーランド(マンチェスター・シティ)、マルティン・ウーデゴール(アーセナル)がいることで、単純な選手の能力の足し算以上に、総合力が引き上げられるのだ。

 確かに日本代表も、いわゆる5大リーグでプレーする選手は増えた。平均点は間違いなく上がっている。だが、マンチェスター・シティやアーセナルで攻撃の中心を担えるだけのタレントは、残念だが、いない。

 実際、ノルウェーはハーランドという切り札を持つがゆえ、ボールポゼッションを重視しながらも、ロングボール1本でチャンスを作ることもできた。

 上田綺世がなかなかボールをキープさせてもらえなかったブラジルのセンターバックコンビ、マルキーニョスとガブリエウ・マガリャンイスを背負ってもなお、力強い競り合いで味方にボールをつなぐことができたからである。

 とはいえ、上田とハーランドを比較しても仕方がない。日本とノルウェーの明暗が分かれたのは、センターフォワードの差だけが理由ではない。

 要は、試合に臨む姿勢の問題だ。

 仮にノルウェーもまた、ブラジルに敗れていたとして、日本とノルウェー、どちらが前向きな負け方になっていただろうか、という話である。

 負け方という点では、延長戦の末、アルゼンチンに2-3で敗れたカーボベルデも見事な散りざまだった。

 ディフェンディングチャンピオンを相手に、一歩も引かずに打ち合い、いずれも鮮やかな得点で2度のビハインドを追いついた。その勇敢な戦いぶりを目の当たりにした世界中のサッカーファンが、人口わずか60万人足らずの小国を称えたはずである。

 残念ながら、日本にはハーランドも、ウーデゴールもいない。だから、やり方によってはブラジルにも勝てた、などと軽々に言うつもりはない。

 しかし、試合に臨む姿勢次第では、負け方の印象は大きく異なるものになっていたはずである。

 残念なのは、日本を下したブラジルがあっけなくノルウェーに負けてしまったことではない。

 日本がノルウェーのような姿勢で、ブラジルに挑みかかれなかったことである。

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