ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――夏の北海道開催における大一番、GⅡ札幌記念(札幌・芝2000m)が8月16日に行なわれます。

大西直宏(以下、大西)札幌記念は夏競馬唯一のGⅡ戦。

しかも、1着賞金が7000万円という高額に設定されていることもあって、「スーパーGⅡ」とも呼ばれています。

 また、サマー2000シリーズ対象レースのなかでも、獲得できるポイントは高めの設定(GⅢは1着=10ポイント、2着=5ポイント、3着=4ポイント...。GⅡは1着=12ポイント、2着=6ポイント、3着=5ポイント...)。おかげで、同シリーズで上位を目指す面々と、秋のGⅠ戦線を目標とする面々とが入り混じった組み合わせになることが多く、予想のしがいのあるレースと言えます。まさに夏競馬における最大の"お祭り"と言っても過言ではないでしょう。

――確かに近年の勝ち馬を見てみても、ブラストワンピース(2019年)、ノームコア(2020年)、ソダシ(2021年)、ジャックドール(2022年)など、GⅠ馬やのちのGⅠ馬の名前がズラリ。多くの実力馬が集う華やかなレースといった印象が強いです。ただ、今年はGⅠ馬の出走はナシ。やや寂しい顔ぶれになった感じがします。

大西 その理由としては、これまでハンデ戦で行なわれていた夏の重賞、GⅢ新潟記念(新潟・芝2000m)が昨年から別定戦へ移行。それにより、秋の大舞台を目指す実績馬たちにとっては選択肢が増えた、ということが影響しているかもしれませんね。

 それでも、GⅠ天皇賞・春(5月3日/京都・芝3200m)3着のアドマイヤテラ(牡5歳)や、昨年のGⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)で3着に入ったショウヘイ(牡4歳)など、今年もGⅠで好走歴のある強豪が名を連ねています。

ビッグタイトルを保持する馬が不在とはいえ、ハイレベルな激戦が繰り広げられるのではないでしょうか。

――となると、今年も見応えのあるレースになりそうですが、やはり名前の挙がった2頭が中心となるのでしょうか。

大西 前提として、2頭の実績は今年のメンバーのなかでは最上位クラス。展開や騎手の乗り方ひとつで、上位争いは可能と見ています。

 とはいえ、アドマイヤテラは2500m以上の長距離レースに実績のある馬。それに、この秋には海外GⅠの凱旋門賞(10月4日/パリロンシャン・芝2400m)へ挑戦するプランを明かしています。ここは大舞台へ向けて余力を残しての参戦でしょうから、"取りこぼし"があっても不思議ではありません。

 一方、ショウヘイは年明けのGⅡアメリカジョッキークラブC(1月25日/中山・芝2200m)を快勝。小回りを苦にしない機動力と先行脚質が魅力です。札幌・芝2000mという舞台も問題なくこなせると思います。ですが、こちらは力を発揮できるかどうかが道中の折り合いに左右される部分があります。それが、初めての北海道での競馬でどう出るか。

 いずれにしても、ともにつけ入る隙は多分にありますから、ここは実績だけでなく、別の選択肢も視野に入れて狙い目を絞り込んでいってもいいかもしれません。

――では今回、大西さんが注目しているのはどの馬になりますか。

大西 サクラファレル(牡4歳)が面白いと思っています。

【競馬予想】「スーパーGⅡ」札幌記念は実績馬に死角あり 気鋭...の画像はこちら >>
 今回はメンバーのなかに明確な逃げ馬が不在で、ハナを切るのはこの馬か、岩田康誠騎手が手綱をとるホウオウビスケッツ(牡6歳)のどちらか。さらに、どちらも果敢に飛ばしていくタイプではないため、それほど厳しい流れにならない可能性が高く、前を行く馬に展開の利が期待できます。

 そうしたなか、サクラファレルはキャリア8戦とまだまだ伸び盛り。前走のGⅢエプソムC(5月9日/東京・芝1800m)でも、初の古馬相手の重賞で、決して得意とは言えない瞬発力勝負の形になりながら5着と善戦し、今回はそこからの上積みが大いに見込めます。

 加えて、北海道では過去に2勝を挙げており、適性のある洋芝コースに替わるのは間違いなくプラスに働くでしょう。

 鞍上は、佐々木大輔騎手。堀宣行厩舎が管理する有力馬に跨ることが多い気鋭の若武者です。そうした経験を重ねて、近年は安定した成績を残しています。結果、最近は他厩舎からも有力馬の騎乗依頼が増えたように思います。

そんな恩に報いるためにも、ここは堀厩舎の管理馬できっちり結果を出したい気持ちが強いはずです。

 さまざまな要素から、サクラファレルへの期待は膨らむばかり。よって、この馬を札幌記念の「ヒモ穴」に指名したいと思います。

武藤大作●取材・構成 text by Daisaku Mutoh

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